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【逆説の日本史】「歴史家の使命」としていま述べておくべき日本人と全人類の将来にかかわる提言

NEWSポストセブン / 2024年12月30日 11時15分

作家の井沢元彦氏による『逆説の日本史』

 ウソと誤解に満ちた「通説」を正す、作家の井沢元彦氏による週刊ポスト連載『逆説の日本史』。今回は「新年特別編 前編」をお届けする(第1440回)。

 * * *
 本来ならば、今回はシベリア出兵のその後について一九一八年(大正7)以降の記述を進めるべきなのだが、新年1号となる今号では現時点で日本が抱える大きな問題について言及したい。時系列を飛び越した「特別編」ばかりでは、歴史の記述としては問題があるのではないかと考える読者もいるかもしれないので、少しご説明したいと思う。

 私は歴史家のもっとも重大な使命の一つに、日本のあるいは世界の長い歴史から汲み取った教訓を示し、日本人あるいは人類全体が誤った方向にいかないように提言することがあると思っている。それは、コマ切れされた時代の専門家にすぎない歴史学者には絶対不可能だし、また反感を買うかもしれないが、経済学や国際政治学といった分野の専門家にも困難なことである。

 なぜならば、歴史家ほど全体を見ていないからだ。それでも、その提言がたとえばこの『逆説の日本史』完結時に「あとがき」として加えてもいいような先を急がない話であったのなら、いまここでそれを述べる必要は無い。しかし、残念ながらこれから申し上げることは日本人と全人類の将来にかかわることであり、いつになるかわからない「完結時」に言及したのでは手遅れになる可能性が高いので、いま言っておく必要があるのである。

 どうしてそう思ったのかと言えば、二〇二四年十月に挙行された衆議院選挙で、政権与党である自民党や公明党だけで無く、他の野党も一斉に、なにをやりたいか、なにをやりたくないか、全国民の前に示したからである。一覧表を作ったりするつもりは無いが、ある政策について私はそれこそ自民党から共産党まで、すべての政党に共通する大きな欠点があると思った。そして、それに気づいているのは、ひょっとしたら日本の歴史全体を見ている歴史家である私しかいないとも考えている。傲慢不遜に聞こえるかもしれないが、読者のみなさんにはこれから申し上げる提言をぜひ検討し、判断していただきたいところだ。

 その提言とは、まず第一に日本は将来的に原子力発電所(原発)を廃止したり縮小したりする方向にいくのでは無く、むしろ積極的に新しく開発する道をいくべきだということだ。そして第二に、そのことに関して中国を無視してはならないということである。

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