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TOKIOにスピード負けした「ジェットカー」の“本当の実力”、“激安100円電車”、“えらい高い電車運賃”の理由《関西私鉄よもやま話》

NEWSポストセブン / 2025年2月12日 15時54分

一見普通の電車だが…"短距離”の威力は随一の「ジェットカー」5001形

 公共交通の主軸を担い、関西圏の発展に寄与してきた関西私鉄。その歩みはスピードやサービスの競争の歴史であった一方、各社が企業努力により独自色を強めたともいえるだろう。

大阪出身の元全国紙新聞記者・松本泉氏が、関西五大私鉄の歴史を綴った『関西人はなぜ「○○電車」というのか─関西鉄道百年史─』(淡交社)より、関西私鉄の日本一をお届けする。(同書より一部抜粋して再構成)【全5回の第5回。第1回を読む】

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 人気アイドルタレントのTOKIOが出演する日本テレビ(関西では読売テレビ)のバラエティー番組「ザ! 鉄腕! DASH!!」で、TOKIOが阪神電車とスピード対決したことがあった。

 高級外車やボート、流しそうめんなど、さまざまなものとTOKIOの5人があらゆる競争を繰り広げる「対決コーナー」が人気だった。そのコーナーで、阪神電鉄が誇る「ジェットカー」とバトンリレーで速さを競うというものだった。

 1998(平成10)年に2回対決して1勝1敗に終わっていた。そのため、最終決着を付けようと対決した2015(平成27)年、TOKIOが見事にジェットカーを破ったと話題になった。この番組で、鉄道マニアぐらいしか知らなかったジェットカーが一躍有名になった。

 ジェットカーは、高加速・高減速の日本一を誇る車両で、普通電車用として使われている。加速度が1秒当たり時速4.5キロ、減速度が1秒当たり時速5.0キロ。通常の車両は1秒当たり3キロ程度だから、その性能の高さが分かる。その加速はジェット機並みといわれている。

 要するにスタートダッシュが日本一の電車ということだ。

 阪神がなぜこのような車両を開発したのかは、駅間の距離が関係している。

 阪神の大阪梅田‐神戸三宮は31キロに32の駅がある。駅間距離は平均1キロ弱だ。並行して走る阪急の大阪梅田‐神戸三宮は32キロで16駅、JRの大阪‐三ノ宮は30キロで15駅。JRと阪急の駅間距離は阪神の2倍ある。

 駅間距離が短いと、発車した途端に加速する間もなく次の駅に近づいてしまう。すぐに停車するため減速しないといけない。各駅に停車する普通電車は“のろのろ運転”せざるをえない。

 困るのは特急や急行だ。普通がのろのろ走っていると、スピードを上げづらくなる。駅の数を減らすわけにはいかず、普通電車の本数を減らすわけにもいかない。解決策は「ビューンと発車させて、ビビッとストップさせる」ことしかなかった。

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