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なぜグーグルでは別部署とランチするのか

プレジデントオンライン / 2015年2月6日 9時45分

サルサ部にはグーグル社員のほか、近隣企業の社員も参加する。

仕事がしやすい快適な環境づくりに最大限に注力しているグーグル。「グーグルカルチャークラブ」と呼ばれるコミュニティ活動も盛んだ。

※プレジデント誌の特集「トヨタvsグーグル」(2013年9月16日号)からの転載記事です。

社員の仕事がしやすい快適な環境づくりに最大限に注力しているのもグーグルの特徴だ。決められた始業時間はなく、労働時間を個人の裁量で決められるフレックスタイム制もその1つだ。

「自分の仕事を最大限やってくれているという会社の信頼があります。個人の裁量を尊重した柔軟性のあるワークスタイルがグーグルの特色であり、勤務時間を自分で選べる仕組みもその1つです」(アジアパシフィック・ピープルオペレーションヘッドのサラ・ロブ氏)

それだけではない。目に見える快適空間づくりの演出も独特。六本木ヒルズの東京オフィスは職場とは思えないフロアだ。部屋のいたるところにゆっくりとくつろげる場所が設けられている。会議室は山手線の駅名を表示してあるほか、廊下には落書きし放題のボードもある。社員の誰もが自由に使える個室も用意している。1人静かに仕事に没頭することもできれば、自宅のこどもに電話をかけて宿題を教えるために利用する社員もいる。

小腹が空けば30メートル以内に軽食が食べられるコーナーもある。食事はすべて無料であり、食堂ではビュッフェ形式のランチを提供し、指定の業者に頼めば夕食の弁当も無料だ。無料であれば当然社員も集まりやすい。くじ引きで決まった違う部署の知らない社員とランチをする「ミステリーランチ」と呼ばれるイベントも不定期で行われ、貴重なコミュニケーションの場にもなっている。

「グーグルカルチャークラブ」と呼ばれる、社員が自主的に集まるコミュニティ活動も盛んだ。フットサル部、野球部、ゴルフといった一般的なクラブもあれば、ラーメン好きが集まるクラブから、男性アイドルグループ嵐を応援する嵐部、テクノポップユニットPerfumeのファンが集うPerfume部まで、ユニークなものを含めて、クラブの数は100を超える。コミュニティは組織のカベを取り払いコミュニケーションの活性化にも貢献している。日本市場向け検索機能開発担当ソフトウェアエンジニアの大倉務氏が参加しているのはラジオ体操部だ。

「週に何回か昼の2時くらいに集まってラジオ体操をします。全然関わりのない知らない部署同士の人たちです。そこで出会ったスペイン出身の人に、スペイン語のキーワードで検索がうまく動かないという問題が発生し、助けてもらったこともあります」

毎週金曜日の5時からはTGIF(Thank God. It's Friday)と呼ぶねぎらい会が開催される。トップを含めた全社員がビールやワインを飲みながら交流する機会になっている。

有名なのが「20%ルール」。週1日ないしは月に4~5日、就業時間の20%を使って、会社と社会をよくするためであれば個人的に好きなテーマに割いてもよいというルールだ。

たとえばエンジニアが好きなプログラムを書いて世界中に発信し、皆からおもしろいと声がかかれば製品化されるケースもある。実際に「グーグルニュース」や「Gメール」も20%ルールから生まれており、イノベーションの源泉になっている。

20%ルールは入社直後の社員にとっては、自らの創造性を世界中に知らしめる場にもなっている。大倉氏もその1人だ。

「最初から検索を担当していたのですが、検索とは直接関係のない日本語入力ソフトであるとか、機械翻訳のプロジェクトを手伝うなどで貢献しました。他のプロジェクトに触れたことで、他の部門で使っている手法やシステムを学ぶことができるのでよい勉強になりましたね」

独自の快適空間や自由度の高い働き方は社員の成長を促すだけではなく、定着率の向上にも寄与している。

サラ・ロブ氏は「社員のリテンションをどうしていくかも重要な課題です。マネージャーが問題解決の機会を提供することも大事ですが、社員の意識調査を分析しながら社員に様々なチャレンジングの機会を与えることで組織がより強固になり、よい人材が長く働いてくれるように努力しています」と語る。

(ジャーナリスト 溝上 憲文 相澤 正=撮影)

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