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イスラム圏で「たこ焼き」や「鯛焼き」の商売で大儲けする方法

プレジデントオンライン / 2015年5月11日 11時15分

『面と向かっては聞きにくいイスラム教徒への99の大疑問』佐々木良昭著 プレジデント社刊

■日本人のホスピタリティ精神を発揮しやすい分野が狙い目

トルコはいま、周辺70カ国とのビザ無し交流を続けていて、これらの国々で比較的自由にビジネスを展開できるという強みがある。実際、アラブ諸国や中央アジア諸国を訪れると、小規模店舗から大規模なスーパーに至るまで、トルコ人の経営する店舗が目に付く。

現在はエジプトやシリアとの関係がこじれてはいるものの、そこは何といっても旧オスマン帝国の末裔の国家である。トルコ人のもつ国際的人脈の多様さには、あたりを睥睨するものがある。

ということは、ビジネスパートナーとして見た場合、トルコ人は非常に頼もしい存在だということになる。

トルコは若年層人口の比率が非常に高く、人口約7500万人のうち29歳未満の若年層が約半分を占めている。とくに若い親たちは総じて子供の教育に熱心だ。なにせこの国も日本と同じ学歴社会であり、良い大学を卒業した者は、一流企業に就職する機会に恵まれるのである。

そこに着目した日本の教育関連の会社がイスタンブールに進出した。日本の教育のノウハウを武器にした学習塾をスタートさせ、手ごたえを得ているようだ。やがてトルコ国内にチェーン展開するはずだが、この会社が見据えているのはその先である。

この会社にとってのトルコという存在は、アラブ諸国や中央アジア諸国に進出するための橋頭堡なのだ。つまり、まずはトルコに進出し、トルコ人のビジネスマンや会社をパートナーに取り込む。そして、彼らの国際的ネットワークを活用しようという作戦なのである。

病院の運営をはじめとした医療ビジネスも可能性が高いと思う。

中東諸国全般に言えることだが、医師や看護師の質、とくにそのホスピタリティに問題を抱えている病院が多い。医師や看護師というのは選ばれた存在であり、端的に言えばふんぞり返っている者が多いのだ。

そんな中にあって、トルコの病院は医療技術が高く、院内も清潔で、なにより患者に対するホスピタリティの豊かさが評価を受けている。

同じ中東地域でも、経済的に余裕のある層は、わざわざトルコに治療を受けにいく。中にはヨーロッパから足を運ぶ患者もいるようだ。

そんな背景のある国だから、日本の医療機関が進出した場合、雇用するスタッフには困らない。あるいは現地の病院とタッグを組み、日本から医師や看護師を派遣して、日本特有の「痒いところに手が届くような」サービスを提供することも可能だ。

トルコで成功を収めれば、前述の教育関連産業と同様に、この国を足場として他の中東諸国に枝葉を広げていくことも可能だろう。

■「たこ焼き」「鯛焼き」はアレンジ次第

医療関連でいえば、サプリメントも可能性が高い。ネット上ではすでに日本のサプリが販売されているようだが、アラブ・中東地区に支店を設けて本格的に進出する青写真を描いている企業もあるのではないだろうか。

というのも、日本国内では、サプリ・健康食品産業の売上げは既に2兆円規模に達しており、市場は飽和状態なのである。

となれば、生き残りをかけて海外進出ということになろうが、健康志向の高まりを見せるアラブ・中東地区は確かに魅力的な市場である。

私の知る範囲内で一言アドバイスをしておくなら、医薬品としては販売せずに、あくまでもサプリメントであることを強調すべきだ。アラブ・中東地域のどの国にも言えることだが、健康産業に関しては後発国であるだけに、異常なまでに神経質になるところがある。医薬品に関しては、許認可をとるのに途方もない手間と時間がかかるはずだ。

食関連でいえば、タコ焼きや鯛焼きといった手軽に食べられる屋台ものは大ヒットする可能性がある。

何しろアラブ・中東の人々は間食が大好きで、いつも何かをむしゃむしゃと食べている。中でもインスタントな仕上がりでテイクアウトできるものは非常に人気が高いのである。

ただしタコを食べる食習慣がないので、代用品としてどんな具材を使用するかがテーマとなる。またアルコール成分を含むソースはハラーム(禁忌)だし、豚肉由来の成分を含む油や調味料の使用も禁じられている。

鯛焼きも同じだ。魚の形自体が面白いので、興味を引くことは間違いない。ただし、アンコがはたして現地の人々に受け入れられるかどうかは私にもわからない。

サイズを日本のものより小さくして、アンコの代わりにアプリコットジャムやイチゴジャム、あるいはチョコレートを使用するという手も考えられるだろう。

いずれにせよ、進出するにあたってはしっかりとしたマーケティングが必要だろう。中でも、現地の人はどんなインスタントものを食べているのか、あるいはどんな味を好むのかという調査が欠かせない。

彼らにとって日本人および日本という国は「なんかよくわからん」という存在であっても、日本ブランドには絶大なる信頼感を抱いているはずである。

※本連載は書籍『面と向かっては聞きにくい イスラム教徒への99の大疑問』(佐々木 良昭 著)からの抜粋です。

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佐々木 良昭ささき・よしあき)●笹川平和財団特別研究員。日本経済団体連合会21世紀政策研究所ビジティング・アナリスト。1947年、岩手県生まれ。19歳でイスラム教に入信。拓殖大学卒業後、国立リビア大学神学部、埼玉大学大学院経済科学科を修了。トルクメニスタン・インターナショナル大学にて名誉博士号を授与。1970年の大阪万国博覧会ではアブダビ政府館の副館長を務めた。アラブ・データセンター・ベイルート駐在代表、アルカバス紙(クウェート)東京特派員、在日リビア大使館渉外担当、拓殖大学海外事情研究所教授を経て、2002年より東京財団シニアリサーチフェロー。2014年からは経団連21世紀政策研究所ビジティング・アナリストに就任。

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(笹川平和財団特別研究員 佐々木 良昭)

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