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給与額は"合議で決定する"謎なベンチャー

プレジデントオンライン / 2018年9月17日 11時15分

武井浩三氏

■「給与は全員でオープンに話し合って決めるのが最もフェア」

働く時間や場所は自分で決める。上司や部下といった役職もない。そして極めつきは、役員・業務委託を含めてすべてのメンバーの給与は合議制で決定する――。「働き方改革」全盛の昨今において、その究極の進化系を見る思いである。

著者が率いるダイヤモンドメディアは、不動産業界向けのITソリューションを提供する、総勢30名のベンチャーだが、近年はその社内システムにスポットがよくあたる。

「会社を立ち上げる際、事業内容よりも先に、どういう組織であるべきかを考えました。何をやるかは二の次だったので、とりあえずどんなビジネスでも対応できるように、定款には様々な事業を片っ端から羅列しておいたんです(笑)」

そうまでして目指す組織像のヒントになったのは、かつてメジャーデビューまで経験した音楽活動なのだという。

「バンドは個人事業主の集まりのようなもの。活動を続けるうちにメンバー間の役割が明確になり、やがてリーダーが自然発生します。何より、皆、音楽が好きで自発的にやっている。肌に合わなければ、無理して続ける必要はありません。仕事も本来そうあるべきで、そういう働き方ができる会社をつくりたいと考えたんです」

実は現在の立場に至るまでに、2~3の事業を立ち上げては清算してきた過去を持つ武井氏。それは挫折の経験でもあり、経営者としての貴重な糧でもある。その経験から、こんな考え方に到達した。

「給料とは本来、非常に難しいものだと思います。その人が会社にもたらす価値は絶対的なものではなく、タイミングや環境によって変わります。それでも金額を決めなければならないなら、全員でオープンに話し合って決めるのが最もフェアではないでしょうか」

■給与額に不満があるなら、副業するか他の会社へ移る

そんな合議の場で行われるのは、徹底的なお互いへのフィードバックだ。自らの給与に言及したり、短期的な成果を給与に反映する場ではない。周囲が見て違和感があれば変更していく。そうして決まった金額に不満があるなら、副業をするか、もしくは自分が適正だと思う金額を提示してくれる他の会社へ移ればいい。

「その結果、人材の新陳代謝は非常にいいと思います。会社というのは離職率が低ければいいわけではなく、相性の問題が大きいため、結果的に自社に合う人材が残るのは、極めて自然な状況でしょう」

これは流行りのホラクラシーではなく、“自然(じねん)経営”と語るのも、納得なのである。

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武井浩三
ダイヤモンドメディア代表取締役
日本初のホラクラシー企業を創業し、働く場所、時間を自分で決めるなど「管理しない」経営手法で注目を集める。

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(友清 哲 撮影=村上庄吾)

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