1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

日本人の98%に有効な「計画倒れ」防止法

プレジデントオンライン / 2018年10月17日 9時15分

(イラスト=MOROTA TSUYOSHI)

予定通りにことが運ばない「計画倒れ」の経験はないだろうか。挫折に悩み、計画自体をあきらめてしまう人もいるだろう。しかし、メンタリストDaiGo氏は「日本人は科学的に見て98%がネガティブ思考。慎重にじっくり考え行動するタイプなので、計画を立てたほうが成功しやすい」という。DaiGo流、「計画倒れ」にならないための計画術とは――。

※本稿は、メンタリストDaiGo『倒れない計画術』(河出書房新社)を再編集したものです。

■日本人の98%は計画を立てたほうが成功する!

日本人ほど、計画どおりにものごとが進むことを求める人たちはいません。なぜかというと、国民の98%がネガティブなタイプだからです。

マサチューセッツ州にあるウェルズリー大学の心理学者ジュリー・K・ノレム博士は、人間のメンタリティーを大きく分けて2つに分類しています。

1つは「防衛的ペシミスト」(DP)と呼ばれ、それまで成功していても「次は失敗するかも」と考えるタイプ。もう1つは「戦略的オプティミスト」(SO)で、根拠はなくとも「次も大丈夫でしょ」と考えられるタイプ。

「ネガティブ派」と「ポジティブ派」と言い換えてもいいでしょう。

そして、私たち日本人は脳科学的に見て不安(S型)遺伝子を持つ人が圧倒的に多く、98%は前者の「防衛的ペシミスト」に該当すると言われているのです。

■不安だからこそ、日本人はマジメで勤勉

とはいえ、不安遺伝子を持っているからと言ってものごとがうまく進まないかというと、そんなことはありません。

不安な遺伝子を持っている人のほうが相手に配慮するので、信頼感を得やすく、友人関係もよくなることが分かっています。また、慎重に行動するので交通事故に遭いにくいという統計もあります。不安を原動力にものごとを学んでいくので、記憶力が高く、集中力も上がることも分かっています。

日本人の国民性としてよく言われる「マメで、マジメで、勤勉」という姿勢はS型遺伝子の影響かつ、「防衛的ペシミスト」だからかもしれません。不安が強い国民性だからこそ、入念に準備し、段取りをつけていくことにも向いているのです。

■防衛的ペシミストの特徴を生かすには?

1つ勘違いしてはいけない点は、ポジティブな「戦略的オプティミスト」のほうが成功しやすく、ネガティブな「防衛的ペシミスト」は失敗しやすいという話ではないということ。「心配性な人は成功しない」「ポジティブに考える人が成功する」など、いろいろな迷信がある中で、「どちらのタイプでも成功します」というのが正解です。

ただし、ジュリー・K・ノレム博士は、タイプ別に取るべき戦略に違いがあると指摘しています。

重要なのは、あなたの性格がどちらのタイプに近いかを見極めたうえで、適した戦略に沿った行動を取ること。自分が「戦略的オプティミスト」に近いなら、失敗を恐れずに挑戦回数を増やすことを心がけ、「防衛的ペシミスト」に近いなら、事前の準備に時間をかけ入念な段取りや計画を心がけましょう。

■防衛的ペシミストだからこそ自分を変えられる

ちなみに、私も性格的に完全に「防衛的ペシミスト」です。

ものごとに対して、根拠なく「大丈夫でしょ」と思えることがないので、何ごとも1つずつ納得がいくまで調べ、試し、取捨選択しながら段取りを立てていきます。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/anyaberkut)

調べれば調べるほど、比較すればするほど安心するので、昔から「DaiGoは変わったヤツだ」と思われてきました。ただ、その積み重ねがあったからこそ、今こうやって科学的根拠に基づいた様々なジャンルの本を出すことができていると言えます。

正直、「将来、こんな自分でありたい」と目標を思い描き、今の状態になるまで10年かかりました。逆に言うと、10年間自分を変化させるプロセスを歩み続けられたのは、不安で仕方ない「防衛的ペシミスト」だったからです。

ものごとをネガティブに受け止めがちな人に対して、「ポジティブになってトライ&エラーを繰り返そう!」とアドバイスしてもあまり意味がありません。遺伝子が規定している傾向なので、後天的に変えることは難しいからです。

日本人の大部分は防衛的ペシミストなのですから、準備やスケジューリングを含めた正しい段取りや計画の方法を学ぶことで、目標の成功率を高めることができるのです。

■挫折を計画していない

しかし、私たちは何度となく、ものごとが計画どおりに進まない経験をしています。

表向き「よくあること」と平気な顔をしていても、自分で決めたことが果たせなかったことに対して落胆し、自己嫌悪に陥ることもめずらしくありません。

というのも、私たちの心には「計画したことは達成させたい」という性質「一貫性の原理」があるからです。計画倒れは、自分との約束を破ったことになり、気持ちを落ち込ませます。しかも、その傾向は入念に計画を立てる慎重な人ほど、強くなるのです。

■「うまくいくはず」という確証バイアス

こうした計画倒れはなぜ起きるのでしょうか?

『倒れない計画術』(メンタリストDaiGo著・河出書房新社刊)

その理由の1つは、私たちに備わっている「確証バイアス」にあります。確証バイアスとは、「こうあってほしい結論」を思い定めたとき、それに合致する情報だけを集め、合致しない情報は無視する傾向のこと。人が判断を誤る原因とされています。

確証バイアスの働きによって、防衛的ペシミストの人でもものごとの計画を立てるとき、「失敗」の可能性を考慮せず、「どうすればうまくいくか」にばかり目がいってしまうのです。

例えば旅行の計画を立てているとき、あの観光名所も回りたい、史跡も訪れたい、名物も食べたい、足湯にも入りたい、景勝地と有名な浜辺も歩きたい……と自分や家族の希望をすべてかなえようと1日の観光の段取りを立てたとしましょう。

タイムスケジュールは分刻み。それでも予定どおりに回ることができれば、全員満足の1日になるはず。我ながらよくできた段取りだと満足して迎えた旅行当日。

観光名所での待ち時間、移動時の事故渋滞、名物を買うための行列など、現地では立てた段取りを破壊するトラブルがいくつも起きます。分刻みのスケジュールは崩れ、計画どおりにものごとが運ばず、イライラ……。

■つまずきによって「どうにでもなれ!」と投げ出すことに

確証バイアスが働くと、人は「こうあってほしい結論」ありきの理由を集めて計画を立ててしまいます。本来であれば「理由→結論」という判断をすべきところが、「結論→理由」の順番になってしまうのです。

その結果、段取りが崩れ、目指していたゴールにたどり着きそうもないと分かったとき、モチベーションが一気に下がり、投げ出したい気分になります。

これは心理学の世界で「どうにでもなれ効果(The What-The-Hell Effect)」と呼ばれるもの。かなり砕けた名称ですが、論文でも使われている用語です。

「どうにでもなれ効果」が発動すると、人は自分の立てた計画、段取りを放り出してしまいます。

例えば「夏までに5キロ痩せたい」とダイエットをしている人が、業務上、どうしても断れない会食に参加。サラダやチキンだけで済ませようとしていたところ、取引先のキーマンから「この店でパスタを食べないのはもったいない!」と勧められ、口にしたら最後、「今日はいい。デザートのケーキも食べる!」となってしまうわけです。

■あらかじめ、失敗、挫折を計画しておく

こうして一度、立てていた段取りが崩れると立て直すには、より多くの努力が必要になります。実際に、暴食した一夜によってダイエットがなし崩し的に終わったケースは世の中に数多あるはずです。

旅先での計画ならば、立てた段取りを投げ出したまま、1日を終え、もう次の日からは成り行きまかせにしてしまうかもしれません。

失敗や挫折を想定せず、「うまくいくはず」という誤解をしたまま段取りを立てると、逆にうまくいかない可能性が高くなるというわけです。

段取りを立てるときは先に「失敗する、挫折する、計画外のことが起きる」ということを計画に盛り込んでおくこと。

失敗したとき、挫折したとき、計画外のことに直面したとき、自分がどんな感情を抱くのか。その結果、ものごとが進まなくなったとき、どう対処すればいいのか。

そこまで対策を立てておくのが、本当の意味での段取り上手です。

「段取りは挫折しないための対策であるということ」「失敗、挫折、計画外のことの発生をあらかじめ計画に盛り込んでおくこと」という2点を覚えておいてください。この2つを意識するだけでも計画倒れによって後悔する確率は著しく低くなるはずです。

----------

メンタリストDaiGo
慶應義塾大学理工学部物理情報工学科卒業。英国発祥のメンタリズム(人の心を読み、操る技術)を日本のメディアで初めて紹介し、多くのTV番組に出演。その後、活動を広げ、企業のビジネスアドバイザーやプロダクト開発、作家、大学教授として活動。ビジネスや話術から恋愛や子育てまで幅広いジャンルにおいて人間心理をテーマにした著作は、累計270万部を突破。

----------

(メンタリスト DaiGo 写真=iStock.com)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください