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悩む管理職に伝授「部下を思い通りに動かす」コツ 「ナッジ理論」を活用して自発的に気づかせる

東洋経済オンライン / 2024年4月8日 16時0分

「ナッジ理論」を活用すれば部下のマネージメントもうまくいく(写真:kouta/PIXTA)

「ナッジ理論」とは、ちょっとしたきっかけを与えて人の行動を促す行動経済学による理論のことです。部下の指導・育成といった場面をはじめ、この理論を応用できるビジネスシーンは幅広く存在します。『企業実務』の記事を再構成し、人材開発のプロであるアクティブアンドカンパニーの大石英徳さんが、ナッジ理論活用のポイントを、国内外の事例解説を交えてわかりやすく説明します。

意外と身近な場面で活用されている「ナッジ理論」

スーパーマーケットのレジ前で、足あとマークと矢印を見かけることはありませんか。特に何も書かれていなくても、私たちは、そこに並んでレジ待ちをします。

【表】ナッジを活用するために提唱されている4つのフレーム

実は、これがナッジ理論によって促された行動なのです。

「ナッジ」(nudge)とは、そもそも「肘で軽くつついて注意を促す」ことを意味します。「ナッジ理論」とは、小さなきっかけを与えることで、ヒトの行動へ変容を促す理論のことです。

スーパーマーケットの足あとマークや矢印が、「肘で軽くつついて注意を促す」ナッジです。その足あとマークに気付いたことで、空いているように見えるレジに行くのではなく、足あとマークに沿って並ぶ行動に変わるのです。

ナッジ理論の基本は、あくまでも本人が自発的に行動を変えることにあります。促されていても、何を選択するかは本人の自由であり(割り込みをするという行動もある)、自らが選択するからこそ、そこに自己責任が生まれます。

ナッジ理論を知るには、まず行動経済学を知ることが大切です。行動経済学とは、簡単に言えば、人の行動を基にした心理学と経済学を融合した学問です。

行動経済学が研究される前は、「人は何か意思決定をする際は、理にかなった選択(=合理的な選択)をする」ものと考えられていました。しかし、現実には、そこに様々な人の心理が作用することで、必ずしも合理的な選択をするとは限らないことがわかってきたのです。

たとえば、たばこの害を知っていても禁煙できない。ダイエット中にお菓子を食べてしまう。こういった事象は、私たちの身の周りにたくさんあります。

多様な「バイアス」が不合理な選択を招く

このような、なぜ合理的な選択をしないのかを研究しているのが行動経済学であり、その原因の1つとして挙げられるのが、「バイアス」です。「バイアス」とは、思考のクセとも言われます。

たとえば、自分はAという考えを持っているとします。自分のAという考えを正当化したい、受け入れて欲しいという心理が働き、それに賛同している人の意見ばかりを集めてしまいます。Bという反対意見の情報を見つけても無視したり、都合よく解釈をしたりします。

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