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健康を保つことは貯金をしているのと同じ

プレジデントオンライン / 2018年12月16日 11時15分

写真=iStock.com/Tomwang112

家庭や家計のことで悩んだときに、どんな解決策をとればいいのか。評論家の本田健氏とファイナンシャルプランナーの深野康彦氏。2人の達人に、5つの「場面別」でアドバイスを求めた。第2回は「貯金が少なくて将来不安」について――。(全5回)

※本稿は、「プレジデント」(2017年3月20日号)の掲載記事を再編集したものです。

【QUESTION】貯金が少なくて将来不安

本田の答え:松下幸之助さんは50歳で負債70億。貯金があるだけで、すごい

■お金がなくて悲観する必要はない

私が尊敬する松下幸之助さんの話をします。松下さんは9歳から働きはじめて、50歳くらいまでに700万円(今の価値で200億円)もの資産を築いていました。ところが1943年、軍から飛行機と船をつくるよう命じられた。しかも国にはお金がないからお金を立て替えてほしいと頼まれて、松下さん個人のお金で広い土地を買い、大きな工場をつくりました。しかし翌々年には終戦、「お金は全部返す」と約束したはずの軍の偉い方は自殺。現在の価値で200億円の資産家だったはずの松下さんは、戦後、70億円の負債を抱えてしまった。

踏んだり蹴ったりの人生ですが、その後はご存じのとおり。松下電器は快進撃を続け、94歳で亡くなるまでに、松下さんは日本で一番のお金持ちになられました。

そう考えたら、50歳で貯金があるというだけでもすごい。大富豪なんです。今から亡くなるまでざっくり数えて30年、ずっと働き続けてお金を稼いでもいい。だから今、お金がないだなんて、悲観する必要は全くありません。

■自分の才能を、世の中にどう提供していくか

そもそも、出るお金も入るお金も、小さく考えすぎているのだと思います。お金というものは、「自分が世の中に提供した価値と世の中から受け取った価値の差額」です。だったらより多くのものを世の中に提供すれば、より大きなお金を手にできます。ですから、これからの数十年、どうやって世の中に自分の才能を提供していくか、どうやってそれをお金に換えていくか、それこそを考える必要があると思います。

■才能を掘ることで人生は面白くなる

必ず才能はあります。それが卓球の福原愛ちゃんみたいに4歳で見つかる人もいれば、カーネル・サンダースさんみたいに70代で見つかる人もいる。いつ才能が見つかるか、わかりません。人によっては才能が出てくるまで、温泉を掘るみたいに、長く掘り続ける必要があります。でも、そうやって自分の才能を掘ることで、初めて人生が面白いものになる。それを本気でやるかどうかだと思います。

ただし、誤解のないように付け加えておくと、一つひとつの才能は巨大である必要はありません。それよりも「複数の才能のかけ算」が大切です。

私の知り合いのトップセールスマンはセールスが嫌いだと言います。でも、パーティで人と話すのが好きで、毎週のように人を集めてバーベキューやテニスなどをやっている。その中から「保険の相談もしたい」という人が現れて、セールスの仕事が回っている。そういう才能の使い方もあります。

これは私も同じです。これまでに出版した著書は700万部を突破していますが、私の才能は、作家や講演家、カウンセラー、ヒーラーのどれも中途半端です。私より文章がうまい人、話がうまい人、友達をつくるのがうまい人、英語が話せる人はいっぱいいます。でも、全部をかけ算することで、ワンアンドオンリーの「本田健」という世界になっている。私より才能のある人はいても、私より上手に本田健を生きられる人はいません。

才能のかけ算ができたら、収入はどんどん増えていくものなので、現在、貯金が少なくても、気にすることはありません。

「自分の才能を掘り起こせば、収入に変わる」

深野の答え:生活を変える覚悟があれば、不安を感じることはない

■健康を保つことは貯金をしているのと同じ

現時点で「貯金が少なくて不安」でも、生活の仕方やお金の使い方をリセットできるなら、大丈夫です。まずは、月々の支出を再検討し、「貯金をつくる仕組み」を整えましょう。

そもそもお金というものは、あったらあったで、なかったらなかったで、なんとかなるものです。老後の貯蓄として足りないならば、定年後も働けばいいだけのこと。それはそれで大変な決断でしょうが、今から不安を抱えて悶々とするのは、決して賢い態度とはいえません。ただし、健康には留意してください。体は「人的資本」そのものです。資本がなければ前提が崩れてしまうので、健康な生活を維持することは、貯金をするのと同義のものだと考えてください。

子供の進学、結婚、住宅ローンの返済などを何歳までに終えるかによってプランは変わってきますが、50歳から10年間、毎年100万円を貯めることができれば、1000万円以上の貯金ができます。この話をすると、「たかが年に100万円」なんて焼け石に水、という人がいますが、そういう人はいつまで経っても老後資金は貯まりません。

■貯金のタブーは一攫千金、一発逆転

貯金を形成するにあたって最もタブーとなるのは、一攫千金、一発逆転の発想を持つこと。これは絶対に成功しないやり方です。

日本マクドナルドの初代社長である故・藤田田氏は、その晩年に「人生で一番成功したことのひとつは、積み立て貯蓄だった」といったそうです。コツコツ貯めること。これに勝る資産形成の手段はないということです。

長らく続いている低金利の時代では、運用益をあてにした資産形成はなかなかうまくいきません。それでも原資をつくること、つまりコツコツお金を貯めることはできるのです。

この「コツコツ」を成功させる最大の要因は、どんなときでも継続するという強い意志です。「余ったら」貯蓄するという考えでは、いつまで経っても貯まりません。ですから、収入がいくらであろうと、「最初に貯蓄分を除いて」残りを生活費にする、という原則を徹底することが肝心です。

■低い金利より、割引のほうがお得

では、お金を貯めるコツとは何でしょうか。そこで私が提案したいのが「ひと手間生活」です。例えばSuicaやPASMOといったプリペイドカード。ショッピングにも使えますし、いくらかの割引もあるのでとても便利です。しかし、その割引率は回数券には及びません。

このほかにも、航空会社や旅館・ホテルなどの早割りをはじめ、世間にはちょっと手間をかけるとさまざまなディスカウントが転がっています。こうした「生活の知恵」的コスト削減手段は、積もり積もって大きなリターンになるのです。

例えば、割引で100円得をしたとしましょう。それは100万円の定期預金で1年間に得られる利息と同じ。今ではどれだけ探しても安全・確実で高金利の金融商品は見つからないでしょうし、仮にあるとすれば、それだけリスクが高いということ。ならば、ゲーム感覚で得をする方法を見出していくことも、有効な資産運用といえるでしょう。

今の時代、楽して増やすなど論外です。コツコツ貯めてベースとなる資金を増やすこと。そして知恵を使ってみることが大事だと思います。

「ゲーム感覚で得する方法を考える」

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本田 健
『ユダヤ人大富豪の教え』(だいわ文庫)など著作は700万部を突破。近著に『運命をひらく 生き方上手 松下幸之助の教え』(PHP研究所)。
 

深野康彦
ファイナンシャルプランナー
1962年生まれ。大学卒業後、クレジット会社を経て独立系FP会社に入社。以後、金融資産運用設計を中心としたFP業務に研鑚。96年に独立。『これから生きていくために必要なお金の話を一緒にしよう!』(ダイヤモンド社)など編著、著書多数。
 

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(作家 本田 健、ファイナンシャルプランナー 深野 康彦 構成=田中 裕、東 雄介 写真=iStock.com)

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