「半径1m以内にTOEICを」が上達の早道-
プレジデントオンライン / 2019年1月3日 11時15分
※本稿は、「プレジデント」(2017年4月17日号)の掲載記事を再編集したものです。
■毎日1回は、問題と向き合う
TOEICに限らず、英語のスキルを上げるためには、とにかく英語との“接触量”を増やすことが大切だと高橋基治氏は語る。
「スコアが低い人というのは、そもそも英語と接触する時間が圧倒的に少ないケースがほとんど。英語に触れない日をできるだけつくらないよう心掛けるだけで、英語力はかなりアップします。英語は向こうから寄ってきてはくれないので、自分から仲よくする努力をしなければいけません」
例えば日々の生活において、英文を読んだり、声に出したりする習慣をつけることで、英語に対する苦手意識が払拭され、積極的に学べるポジティブなスパイラルが生まれる。TOEICのスコアアップを目指すなら、たとえ数分でも、毎日問題と向き合う習慣をつける。いわば「半径1メートル以内にTOEICを置いておく」ことが必須だと高橋氏は強調する。
ペーパーバックのほか、定期購読できる雑誌も。「世界のニュースや興味深い最新の話題がわかりやすい英語で表現。大人のリーディング教材としても最適」。
(写真左)The Editors of TIME for Kids著、TIME for Kids社、1488円(kindle版)
【自分の言葉のように声に出してみよう】
スティーブ・ジョブズやマザー・テレサなど、著名人の名言を多数紹介。「朗読CD付きなので、リスニングや音読トレーニングに活用できる。含蓄のある英文を話したい人にも」。
(写真右)寺沢美紀著、IBCパブリッシング、1800円+税
「でも、せっかく問題集を買っても“使い方”を間違えている人が多いのです。一通り解いて答え合わせをして、そこで満足している。これはその時点の実力を測定しているにすぎません。そうではなく、特に間違えた問題に着目し、なぜ間違えたのかを把握。正しく答えられるようになるまで何度も何度も同じ問題をこなすことが大切です。時間をおいて再トライしたときに、スムーズに正解できるようになって初めて、実力がついたと言えるでしょう。ただ解くだけではなく、積極的に関わることが大事です」
TOEICの出題にある程度のパターンがあることはよく知られている。500点台の人はTOEICの問題形式に慣れていないというケースも多々。公式問題集は、その勘所を養うためにも、最低3度はトライする必要があると高橋氏は語る。
「特に文法問題などは、出題パターンが決まっていて、単語が変わる程度。そのため、問題集をやり込んでいれば、600点を超えるのはさほど難しいことではないんです」
間違えがちな問題は、正解文を書き出してみたり、声に出して読んでみたりして、パターンを覚えること。また、間違えた問題をあやふやなまま放置しないために、答え合わせの際に解説をしっかり理解するのも重要だ。もし理解できなければ、中学、高校の参考書に立ち返りたい。
2016年5月より導入された新形式問題対応の公式問題集。「間違えた問題、適当に答えた問題を見直して、正解が瞬時に浮かんでくるまで繰り返しましょう」。
(写真左)国際ビジネスコミュニケーション協会、2800円+税
【いまのうちに基礎固め】
解説と練習問題がワンセットで見開き2ページに。「英語の文型がきちんととれない人向けの一冊。正確に英文解釈ができないと、読解力が伸び悩む原因にもなります」。
(写真中)武藤一也著、学研プラス、1100円+税
【“TOEICあるある”が満載】
パートごとに、問題の傾向や攻略法を解説。同シリーズで単語や文法、読解も。「聞き取りのコツや、テストで狙われるポイントがわかりやすく解説されています」。
(写真右)関 正生著、KADOKAWA、1700円+税
■名詞か形容詞か。瞬時に見分ける
「受験者はテストの解法ばかりに目がいきがちですが、基礎力がなければ、解ける問題も解けません。500点台だと、高校レベルの英語を完璧に理解している人というのは案外少ないんです。基礎力とは大きくわけて、(1)品詞の区別、(2)文型、(3)文の要素と品詞の3つです。(1)は、単語を見たときに、文脈から瞬時に名詞か動詞か、もしくは形容詞か、判断できる力です。(2)は、中学か高校時代にS(主語)、V(動詞)、C(補語)、O(目的語)などといった構文を学んだと思いますが、この見極めです。パッと見て文の構造がわかるか。(3)は、S、V、C、Oなどに、どんな品詞が使われるのかに関する知識。例えば、名詞は主語になったり、目的語として他動詞の後ろにきたりしますね。こうした基礎を徹底的に復習すれば、英文が見違えるほど読みやすくなります」
初心に帰って基礎を見直すのは、遠回りのようでいてスコアアップに直結する近道だ。
試験当日を迎える前には、必ず本番どおりの時間で解いてみることが欠かせない。
「どれだけ問題集をやり込んだとしても、試験会場で初めて2時間で200問解こうとするのは論外です。フルマラソンを走る選手は、大会の前に42.195キロを何度も走ってみて、自分のペース配分をあらかじめ知っておく必要があります。TOEICも同じ。まとまった時間がなければ『今日は45分でリスニングだけやろう』『明日はリーディングを75分で』と区切ってもいいでしょう」
テスト本番では誰しも時間との戦いを強いられる。落ち着いて当日を迎えられるよう、準備も怠らずに臨みたい。
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東洋英和女学院大学教授
指導歴20年以上。国連英検特A級の面接官。独特の視点に基づく著作や講演で、スコアアップの秘訣をレクチャー。著書に『マンガでおさらい中学英語 英文法マスター編』(KADOKAWA)、監修に『英語シナリオで楽しむアナと雪の女王』(学研プラス)など。
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(友清 哲 撮影=生駒安志 写真=iStock.com)
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