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FPが実践"飲み会やめたら人生が変わる"

プレジデントオンライン / 2019年5月31日 15時15分

ファイナンシャルプランナーの水野綾香さん

■「お金を増やす」ために必要なこと

皆さんにとって、「幸せの源泉」は何でしょうか? 私は自由でいることに喜びを感じます。

私にとって「自由」とは、人生における選択肢が複数あること。たとえば、場所にとらわれることなく働きたいし、たくさん旅行に行きたい。美術館で美しいものに触れたいし、読書や映画鑑賞のための時間も欲しい……と、挙げていけばキリがありません。

こうした「自由」をゴールとするなら、健康という土台があった上で、「お金」と「時間」の2つに意識を向けることが不可欠です。どうやって向き合っていけばいいか。持っておきたい視点を順に解説していきましょう。

1つ目の「お金」。これは銀行預金や投資信託などを使って資産形成をしていくのはもちろん、収入自体を増やしていくことが欠かせません。つまりダイエットとは真逆で、消費する量以上に入ってくる量を増やさなければならないのです。

・収入<支出=お金が減る
・収入>支出=お金が増える

そして、会社員として働いている人が収入を増やす方法は、一般的には次の3パターンです。

・昇給(昇格)
・転職(起業)
・副業

これらに共通するのは、自分の能力や所有する資源をお金と交換すること。たとえば人と人の調整が得意だったり、人の心や身体を癒す技術を持っていたり、あるいは料理や教育など何かを教えることができるなど、自分では当たり前だと思っているスキルが誰かの役に立つケースはいくらでもあるのではないでしょうか。

■飲み会をきっぱりと断ってみた

次に、2つ目の「時間」について。以前の私は、毎日のように何らかの飲み会に参加していました。人脈形成のため、同僚や取引先、友達など、声がかかればスケジュールが空いているかぎり顔を出すようにしていたのです。

これはもともと人と一緒にいるのが好きな性分に加えて、その場にいないと自分だけ置いてけぼりになるのではないかと不安になってしまうのが原因で、ときには一晩に複数の飲み会を掛け持ちすることもありました。

ところが、時間の大切さを認識するようになってから、私はそれらをきっぱりと断るようになりました。誘いがあっても、まず「その飲み会は自分の目的に合っているか?」をよく考える。そして、目的に合わなければお断りする。

ただし、仕事につながるかどうかだけを判断基準にするのではなく、大切な友人や知人と過ごす時間は必要なオフと考え、積極的に参加しています。

よく言われることですが、生まれ持った環境や容姿は人によって違っても、1日24時間という時間だけは誰しも平等なもの。だからこそ、「お金」や「時間」の使い方に意識を置くことで人生に差がついていくのです。

■時間とお金を意識すれば、人生は激変する

意識を向けて実践したら効果はどれだけ出るのか。仮に、私が生活を改善することで得られる成果を、具体的な数字で見てみましょう。

・お金
<飲み会で使うお金を運用に回してみたらどうなるか?>
→1回5000円×月に8回断る=月額4万円の節約

もしこの4万円/月を、年利3%で20年運用すると1226万円(税引前)になります。

・時間
<目的もなくスマホやTVなどを見る時間はどれくらい?>
→1日3時間(スマホ・テレビ)×30日=90時間

この90時間/月を1年間、英語の勉強に使ったら、1080時間になります。とくに移動時や家で無意識にスマホを触っている時間は合わせると1日あたり30分~1時間くらいあるものです。土日や飲み会に費やす予定であった時間などを足せば、もっと多くなるでしょう。

とはいえ、これを本当に実行するのは大変です。こうして偉そうに書いていても、私も現状は100%の実行にはほど遠く、まずはできるところから少しずつ行動を改めているところです。それでも、成果は上々と言えます。

というのも、家で料理をする回数を増やしたことで節約になり、体調も良好。体重も減りました。飲み会を減らした分、「時間があれば、あれをやりたい」と思っていたことを実践できる時間が増えました。自分の時間をコントロールできていると感じることができ充足感も増してきました。何より帰宅が早くなったことを、自宅で私の帰りを待つ猫のうにも喜んでいることでしょう。

こうして自分の時間とお金の使い方に敏感になることで、金銭面だけでなく人生そのものが豊かになると私は実感しています。

水野さんの帰宅が早くなったことを喜ぶ(?)愛猫のうに(♂)

■きっかけは上司のムチャぶり

話は変わりますが、私は何かに悩むといつも、「自分の人生に責任を持てるのは自分しかいない」と自分に言い聞かせます。多くの場合、親は自分より先に死んでしまいますし、兄弟姉妹がいたとしても、いずれそれぞれの家庭を持つでしょう。いまどんなに愛し合うパートナーがいたところで、そのうち愛想を尽かされてしまうかもしれません。

転職や結婚といった人生の岐路に直面した時に、「どうしよう!」と思い悩んだところで、「どうするか」を決めて行動するのは自分です。たとえ失敗しても、それを人のせいにして生きるような人間にはなりたくありません。

私がこのような考えに至ったのには、まるで災難のように降ってきた、2つの仕事に理由があります。

1つは、新卒で入社した会社で早々に課せられた恐怖の業務、「日経新聞の気になったトピックスを要約し、所感とともに全社へ毎日メール配信する」という仕事です。

今でこそ私はライフとワークが融合していますが、当時は新聞すら読んだことがなかったので、経済用語特有の専門用語や難解な言い回しに苦しめられました。おまけに、ろくに文章を書いたこともないのに、社長も含めた全社員にメールを送るなんて……。

この一連の業務には毎回、大変な時間と労力が必要で、とにかく胃が痛くなる日々でした。

■“やらされ仕事”に全力で取り組んだ20代

いまではライフワークとなったセミナーや講演も、最初は憂鬱な“やらされ仕事”だった

もう1つは、20代後半の頃に突然言い渡されたセミナー講師です。私は事務職で採用されていたはずでしたが、人事異動で上司が変わった途端、「今日からは営業(直接会社に利益を落とすような業務)をやってもらう」と、マネーセミナーの講師を命じられたのです。

ところが、当時の私は人前で話す経験など皆無。まして金融系の会社に勤めてはいますが「お金の話なんて、逆立ちをしてもできるわけがない!」と絶望的な気持ちになりました。だからといって退職する勇気もありません。

どちらも上司の指示ですから、いくら愚痴を言っても締切はやってきます。そのうち、やるしかないと腹を括り、できるかぎりの練習をしようと頭を切り替えました。すると不思議なもので、自ら主体的に勉強を含めた準備をしてどうにか場数を重ねていくうちに、いつの間にかセミナー講師の仕事を楽しめるようになっていたのです。

あ、あの時の経験が今の仕事につながっているな――。そう気付いたのは、随分時間が経ってからでした。

「どうしよう」と半べその状態でやらされた仕事でも、全力を注いでみると、後に思わぬ武器になることがある。人生とは本当にわからないものです。

■気づけば「自由」になっていた

もちろん、社内メールもセミナー講師も、最初からうまくこなせたわけではありません。たまにメールを誤配信してしまうこともありましたし、セミナーでうまく話せず、後から上司に叱られることも多々ありました。毎日が反省ばかりで辛いことだらけ。

しかし、これらも含めた実体験を通じて私は、仕事を楽しく感じるようになりました。何かに真剣に打ち込んでいると、結果に関わらず、自分自身に対する信頼や自信が生まれます。そうなると自己肯定感が高まり、「周りの目を気にせず行動する力」が強くなります。

新入社員だった頃には想像もできませんでしたが、こうした“やらされ仕事”に打ち込んだ経験が私の資源となり、今ではお金と交換できる手段になりました。例えばこのコラムのように、メディアに寄稿させていただく機会も増えてきましたし、最近では面識のない方からの執筆依頼や、SNSでの発信がセミナーの仕事に繋がるケースも少なくありません。

本業で会社員をしているため、執筆も講師もあまりたくさんはお受けしていないのですが、本業以外にも収入を得る手段があることで、精神的にも経済的にも安心感が増しています。気がつけば、ずっと目指していた「自由」に、少しずつ近づいているわけです。

■ピーターパンになりたかったあの頃

「ピーターパンになりたい!」

私が初めて社会人として働き出す前夜に、泣きながら叫んだセリフです。

お恥ずかしい話ですが、学生時代の私は「大学に入ること」が目的になってしまい、在学中に特にやりたいことも見つけられず、アルバイトだけをするような生活をしていました。「大人になりたくない」とわけのわからない主張をして、就活もせずに、典型的なピーターパン症候群に罹っていました。それでも運よく知人の紹介で就職先が決まり、何とか社会人としてのキャリアをスタートすることができました。

しかし、いざ働き始めても相変わらず、キャリアプランもやりがいも、もちろんスキルもありません。帰宅時間だけを楽しみに時計を頻繁にチェックしながら、先輩から言われたことだけをやる「ヒトの形をしたスポンジ」のような毎日を過ごしていました。

当時の私があのままの状態で過ごしていたら、今ごろ一体どうなっていたでしょうか。考えるとゾッとします。

そんな私でも、目の前に突然降ってきた“やらされ仕事”から逃げ出さず、何とか取り組みながら「働くこと」や「私はどうなりたいのか?」をずっと考えてきました。

まだまだ理想には程遠いですが、「自由でいたい!」という自分なりの目的が明確になり、そのためにお金や時間をどう使うべきなのか、答えを見つけることができました。今の方が、ピーターパン志望だったあの頃よりも、だいぶ自由になれた気がしています。

(ファイナンシャルプランナー 水野 綾香)

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