秋篠宮家を家庭崩壊させた「元凶」は誰だ
プレジデントオンライン / 2019年7月3日 9時15分
■昨年は「長女との会話があること」を強調していた
秋篠宮夫妻の表情の中に深い憂いの影が閃いた。
6月21日、外国訪問前に行われた会見を見ていて、何度かそう感じた。
昨秋の秋篠宮の誕生日会見では、長女・眞子さんの結婚について聞かれ、厳しい表情でこう答えていた。
「私は今でもその2人が結婚したいという気持ちがあるのであれば、やはりそれ相応の対応をするべきだと思います。(中略)多くの人がそのことを納得し、喜んでくれる状況、そういう状況にならなければ、私たちは、いわゆる婚約に当たる納采の儀というのを行うことはできません」
眞子さんの最近の様子を聞かれ、こうも話していた。
「私は最近はそれほど娘と話す機会がないのでよく分かりませんけれども、公の依頼されている仕事、それは極めて真面目に取り組み、一生懸命行っていると思います」
母親・紀子さんも、「昨年の夏から、さまざまなことがありました。そして、折々に、私たちは話し合いを重ねてきました」と、長女との会話が途切れていないことを強調し、「そうした中で、昨年の暮れから、だんだん寒くなっていく中で、長女の体調が優れないことが多くなりました」と、母親ならではの気遣いを見せていた。
■前回のような長女への気遣いは見せなかった
だが今回は違った。秋篠宮は、
「娘の結婚の見通しについてですけど、それについては私は娘から話を聞いておりませんので、どのようになっているのか、考えているのかということは、私は分かりません」
と、にべもないいい方だった。紀子さんも、「同じでございます」と、前回のような長女への気遣いは見せなかった。
記者団は、今日まで小室圭さんや眞子さんから何か連絡があったのかと、重ねて質問したが、秋篠宮は、
「おそらく何かしているのではないかというふうに思いますけれど、そのことについて、どのようなことを、具体的なこと等については私は存じません」
というだけだった。
紀子さんは5月に、眞子さんと2人だけで京都・大聖寺の茶会に参加していたと報じられていた。そこで前向きな話し合いが母と娘であれば、もう少し違う話が聞けたかもしれないが、どうやら、話すきっかけもなかったようである。
■家庭崩壊に近い状況にあるのではないか
結婚問題だけではなく、今年に入ってから、天皇退位、皇太子の新天皇即位、自身も皇太子待遇の「皇嗣(こうし)」になるなど、忙しい日々を送ってきたこともあるのだろう、昨秋よりやつれが目立った秋篠宮夫妻であった。
二人のことは何も聞いていないし、向こうから相談にも来ない。週刊誌で何度も報じられているように、親子の断絶は深刻さを増し、家庭崩壊に近い状況にあるのではないかと想像させる物言いではある。
これについて女性週刊誌はこう報じた。
「眞子さまと小室さんの結婚に関しては、状況は膠着状態です。今は解決を急ぐタイミングではないとお考えなのだと思います」(秋篠宮に近い関係者=女性自身7/9号)
「秋篠宮ご夫妻が下した小室圭さんとの『決別』」(週刊女性7/9号)
「(秋の会見では=筆者注)“現状のままでは納采の儀は行えない”と明言されました。今回のご発言は、国民に向けて“あれから一歩も進んでいない、厳しい対応のままです”ということをお伝えになられたかったのだと思います。(中略)会見ではずいぶんおやせになられた印象でしたが、秋篠宮さまの苦しい胸の内が垣間見えました」(秋篠宮家を知る関係者=女性セブン7/11号)
ニュアンスは少し違うが、2人の結婚に対して両親は前向きではないと見ているようである。
■発言は「率直に吐露された、限りなく本心に近いもの」
週刊新潮と週刊文春はどうか。
新潮は、この会見で2つのことが明白になったとしている。一つは、秋篠宮家の親子の断絶が、噂だけではなく現実だったことがハッキリした。
今一つは、小室家から具体的な連絡がなく、解決のめどが立っていないことがわかったと、皇室ジャーナリストの久能靖が話している。久野は続けてこういう。
「婚約延期の期限は来年の春ごろ。4月には立皇嗣の礼があります。それまでにきちんと解決したいとのお気持ちが殿下にはある筈ですが、どうしたらいいか分からなくなっておられるのでは」
秋篠宮家研究という連載を始めた文春は、今回の発言は、体調の問題もあって美智子さまが関与しなかったため、「(秋篠宮さんが=筆者注)率直に吐露された『限りなく本心に近いもの』」(秋篠宮家関係者)と書いている。
■「父とは一切話をしません」とかたくなになっている
その関係者はさらに、秋篠宮家の教育方針は「子どもの意思を尊重する」というもので、眞子さんの結婚についてもその方針は変わっていないはずだったという。
しかし、美智子さまから「小室家に借金問題を迅速に解決させるべきだ」という度々の苦言があり、秋の誕生会見では「納采の儀は行えない」と半ばやむなく厳しい発言をした。
それが眞子さんとの関係に亀裂を生じることになってしまって、彼女は「父とは(小室さんの件は)一切話をしません」とかたくなになり、秋篠宮も自分を責めていたというのである。
妻と娘は、小室圭という男に対する考え方が真っ向からぶつかり、一つ屋根の下に暮らしていても、言葉を交わすこともないそうだ。
父親には、できることなら娘の希望をかなえてやりたいという思いがある。娘もそれを理解はしているが、父親をこれ以上窮地に追い込みたくないと考え、「父親には話さない」という選択をしたのだろうか。
■小室圭にも無責任と非難されて致し方ない面はある
会見後ネットでは、「子を持つ親としての責任を放棄したのか」「まるでひとごとではないか」という秋篠宮夫妻への批判的な声が上がっているという。子を持つ親の悩みや苦しみがまったく理解できない連中なのであろう。
ここまで読んできた読者の中には、芥川龍之介の有名な言葉、「人生の悲劇の第一幕は、親子となったことに始まっている」を思い浮かべた人もいるのではないだろうか。
ここからは、秋篠宮家を“家庭崩壊”にまで追い込んだ「元凶」は誰なのかを考えてみたい。
多くの人は、小室圭だというに違いない。たしかに、母親の金銭問題をそのままにして、弁護士の資格を取るとニューヨークへ行ったまま、眞子さんとも、両親とも、この問題について話し合うことをしない小室圭は、無責任だと非難されても致し方ない面はある。
いくら勉学が忙しいとはいっても、ニューヨークと東京なら2泊3日で往復できる。結婚しようという女性とその家族が窮地に陥っている時、それぐらいの時間とカネを割いて会いに来ないのでは、男として情けないといわざるを得ない。
■この母子には「世間知」が決定的に欠けている
小室圭の母親もしかりである。息子に「母親と元婚約者との金銭問題は解決済み」という一文を弁護士を通じて公にさせ、自分は雲隠れしたままというのでは、母親失格といわれても仕方なかろう。
夫が早く亡くなったからとはいっても、この母子には世間知というものが決定的に欠けていると思う。
では、小室母子だけが悪いと、石を投げることができるのだろうか。私にはできない。
眞子さんと圭の婚約記者会見を見て、大方の国民は祝福したはずである。あのままいけば、納采の儀は予定通り行われ、今頃2人の結婚は秒読みだった。
だが、母親の元婚約者なるものが、すでに決着がついていたはずの金銭問題を週刊女性に話したことで、事態は急変する。
■元婚約者という人間の一方的ないい分を載せ続けた
忘れている方も多いだろうからいっておくが、その誌面でも弁護士が、2人は婚約中であり、カネを貸した証拠となる「借用書」もないから、裁判で争っても勝てないとコメントを出しているのである。
それも、その女性の息子が皇族と結婚することが発表されてから、母親との金銭問題を週刊誌にタレ込むなど、褒められたやり方ではあるまい。
だが、他人の不幸は蜜の味とばかりに、元婚約者という人間の一方的ないい分だけを、裏も取らずに週刊誌は毎週載せ続けたのである。
週刊誌にとっては、男のいい分に十分な理がなくても構わない。皇族、それも将来天皇になる弟を持つ女性と結婚しようという若者についてのスキャンダルなら、多少無理筋でも、火のないところにでも煙を立てるのである。週刊誌の業とでもいうべきものであろう。
この話が出始めの頃に、小室側に知恵者がいて、会見を開き経緯を説明していれば、ここまで泥沼状態にはならなかったと思う。
■小室側は弁護士を立てて、話し合おうといっている
だが、小室母子はメディアから逃げ続け、皇族は反論ができない。借りたのか贈与なのか、前提条件が無視されたまま、小室家のプライバシーまで暴きたてるようになる。
そうやって小室母子は、借りたカネも返さない、自分勝手な人間であるというイメージがメディアでつくられ、目いっぱい増幅されてしまったのである。
メディアの人間のほとんどが、小室母子と話をしたこともないのに。
私はこの欄で何度も、元婚約者という人間の一方的ないい分だけを掲載し続けるのはおかしいと、週刊誌報道を批判してきた。
前提があいまいなまま、その上に噂や憶測を重ねても砂城の楼閣である。小室側は弁護士を立てて、この問題について話し合おうといっているのに、今度は、元婚約者が体調などを理由に話し合いの席に着かないのはおかしいともいってきた。
■「私も生活に困っているので」と答えた
『週刊文春』(6/27号)が、「小室圭さんが眞子さまに打ち明けた『隠し録音』」という記事を掲載した。文春の記事を読んで、その疑問が大方解けた気がした。
文春によれば、2013年秋、小室圭と母親、くだんの元婚約者で話し合いをもったという。その前の年に2人は婚約を解消している。
その席で、母親と圭は、「409万3000円は貴殿から贈与を受けたもので、貸し付けではない」という手紙を示したが、元婚約者は、趣旨はわかったが納得するかどうかは別問題、私も生活に困っているのでと答えたという。
母親は、「最初から返していただくつもりはないと仰って、くださった」というと、元婚約者は、納得いかぬ様子で「はい」「なるほど」と相槌を打つばかりだった。
結局その日は、主張は平行線をたどり、互いに言質を取らせぬまま、最後は元婚約者が「弁護士と相談する」といって終わったという。これは、元婚約者から文春が聞いた、彼のいい分である。
ところが、文春で、「借金問題をよく知る人物A」という人間が、こんな証言をしているのだ。
■「借金問題をよく知る人物A」の証言とは
「小室さんはあの日、密かに会話を録音していた」
しかも、そこには、元婚約者が「借金ではなく贈与である」とも受け取れる発言が録音されているというのである。
それがあるから、「小室さんは自信を持ち、これまでX氏(元婚約者=筆者注)がマスコミを通じて借金問題についてどんな主張をしようと、沈黙を続けてきたわけです」(借金問題をよく知る人物A)
文春によれば、金銭問題が週刊誌で報じられ、眞子さんが非常に困惑しているので圭は、「元婚約者のいい分は違う」、その根拠としてこういう録音があると話したというのである。
確証を得た彼女は、結婚の意思を変える必要がないと考えたそうだ。
■結婚の意志は「変える必要がない」と考えている
秋篠宮家関係者が、眞子さんならうなずけると話している。
「眞子さまは一見すると、無垢で穏やかな雰囲気の方ですが、実際はとてもシビアに現実をとらえ、緻密に物事を考えるタイプです。
録音によって確証を得た眞子さまにとって、結婚の意志は、『変わらない』というよりもむしろ、『変える必要がない』ものでしょう」
反小室圭派には、そんな隠し録音をする母子は品性下劣だといわれてしまいそうだが、元婚約者という男が、前言を翻したりして信用ならないと思っていたので、万が一の保証に録音したのではないだろうか。今のような事態になることを、どちらも予想だにしていなかったのだから。
結論をいえば、元婚約者のいい分を載せ続け、小室母子=悪い人というイメージをつくり上げ拡大し、独り歩きさせた週刊誌やテレビなどのメディアこそ、この問題の真の元凶ではないだろうか。
■眞子さんと圭さんには、次の段階へ進んでほしい
娘の結婚問題に端を発し、紀子さんの職員への厳しい接し方や、母と娘たちとの確執、兄である皇太子(当時)と秋篠宮との行き違いなど、あることないことを書かれた秋篠宮家こそ被害者であるはずだ。
ここまでこじれた問題を早く解決して、眞子さんと圭さんには、次の段階へ進んでほしいものだ。
紀子さんに提案がある。眞子さんを連れてニューヨークへ行ったらどうだろうか。ハドソン川畔のレストランで、圭さんにこういったらいい。
「現実から逃げてばかりいないで、私と娘にきちんと向き合って、将来どうしようと思っているのか、眞子と本当に結婚しようと思っているのか、はっきり聞かせなさい」
その返答次第で、あなたの気持ちを決めればいい。娘もそれなら納得するのではないか。
いずれにしても「永すぎた春」はそろそろ終わりにしたほうがいい。(文中一部敬称略)
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ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任する。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『編集者の教室』(徳間書店)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)などがある。
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(ジャーナリスト 元木 昌彦 写真=時事通信フォト)
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