1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

知らずに反社系企業と仕事した時の正しい対処

プレジデントオンライン / 2020年1月20日 11時15分

■最初は数千円の歳暮・中元から

関西電力の経営幹部らが福井県高浜町元助役から多額の金品を受領していたことが発覚した。不正の請託を受けて金品を受け取っていれば取締役等の贈収賄罪(会社法第967条)にあたるが、元助役が死亡しており立証は困難。このまま不起訴で終わりそうだ。

会社員として人ごとではないのは、「金品を返そうとしたが、怖くて返せなかった」とする関電側の言い分だ。金品を要求されることは想像できても、受け取るよう脅されるシーンは思い浮かばない人が多いかもしれない。しかし、一般企業でも起こりうる話だ。警察庁OBで危機管理コンサルタントの屋久哲夫氏がよくあるパターンを教えてくれた。

「反社系フロント企業は、普通の企業の顔をして営業をかけてきます。相場より安い価格で仕事を請け負ったら、最初は数千円の歳暮・中元から始まり、次第に数万円のスーツ仕立券、さらに高級クラブでの接待とエスカレート。おいしい汁を吸わせたところで、『値上げしたい』と態度を急変させます。契約を断ると、『うすうす気づいていると思いますが、うちのオーナーは怖い人でしてね』とにおわせ、さらなる金品とともに高額の契約を迫ります」

無理にでも金品を受け取らせるのは、弱みを握るため。反社系フロント企業に失うものはないが、一般企業の会社員は反社とズブズブの関係だと世間に知られたら立場が危うくなる。共犯関係を強引につくりあげて、意のままに操ろうとするわけだ。

■「受け取るとご迷惑をかける」

泥沼にハマらないためには、どうすればいいのか。理想は最初からつき合わないこと。ただ、「反社チェックは非常に難しい」と屋久氏。

「反社に詳しいのは、同じ反社の人たち。民間リサーチ会社ではチェックに限界があります。世間に『チェックをした』と言えるよう準備しておくことは大切ですが、逆に言えばその程度の効果しかない」

気づかぬうちに関係が始まり、いつのまにか過剰な金品を受け取るようになっていたら、早めに会社に報告することが重要だ。後ろめたさから秘密にしておきたい気持ちはわかるが、報告が遅れるほど傷口は深くなる。

「そこで、会社としては、自主申告した社員を処分しないなど報告しやすい仕組みを作るべきです。そうすれば、社員が上司との会話を録音して我が身を守るようなことをしなくても済みますので」

あとは会社としての対応になる。役員クラスが話をつけに行くのが筋だが、交渉にはテクニックが必要だ。

「『警察の指導を受けた。このまま受け取るとそちらにご迷惑をかける』と、相手の顔をなるべく潰さぬようにして金品を返すのがベター。実際、警察にも事前に相談しておいたほうがいい。違法性があっても、反社との関係を自主的に相談しに来た会社を、警察は悪いようにはしません。安心して相談してください」

----------

村上 敬(むらかみ・けい)
ジャーナリスト
ビジネス誌を中心に、経営論、自己啓発、法律問題など、幅広い分野で取材・執筆活動を展開。スタートアップから日本を代表する大企業まで、経営者インタビューは年間50本を超える。

----------

(ジャーナリスト 村上 敬 コメンテーター=ワイズラボ代表 屋久哲夫 図版作成=大橋昭一)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください