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「営業は一切していない」フリーエンジニアの働き方

プレジデントオンライン / 2020年2月4日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ony Studio

あらゆる情報が溢れ、自動化が進んでいく時代だからこそ必要なもの。それは希少性のある情報だ。『僕たちは、地味な起業で食っていく。』著者の田中祐一氏は、人と人との関わりがむしろAI時代には強みを発揮すると話す。副業に対する向き合い方をいま1度、考え直してみよう。

■AIによって消えない仕事はまだまだある

AIによって多くの仕事は消えていくと言われていますが、これは人数の多い大企業に限られると考えます。社員10人以下の小さな会社の社長がAIを使って業務を劇的に効率化するのは難度が高い。でも、いろいろやりたいことがある。この悩みが私の実践してきた「地味な起業」にとっての穴場になっています。私は会社員時代、目立った存在ではありませんでした。「好きなことで生きていく」というライフスタイルに憧れはありましたが、自分には無理でした。起業するなら強みや実績が必要だと思いますが、そんなハイスペックな人間ではない。それなら、逆に彼らをサポートする側になればいいと。

私が当初行っていた社長サポートの仕事(副業)は、主婦でもアルバイト感覚でできるようなものばかりです。そういった仕事は、いまはWeb上でいくらでも探すことができる。小さな会社の社長は、ブログを書きたいけどできない、資料に画像を挿入したいけどできない。そういう方は、40代から60代を中心にたくさんいらっしゃる。そういう方に会おうと考えたとき、AIがどうこう言っていても仕方がない。直接顔を合わせたうえで、信頼できる人にお願いしたいのが本音なのです。

「地味な起業」の最初の一歩はささいな雑務です。しかし、言われたことをこなしているだけでは、時給の世界からは抜け出せません。クライアントからの生の声を聞きながら現状を整理していく。すると、いまやらなくてはいけないことが見えてくる。そのなかで、サポートの提案をしていくわけです。そうやって相手を巻き込んでいき、徐々に仕事を回収していく。すると「月5万円でうちの会社を手伝ってくれないか」などと次第に仕事の規模もステップアップしていくのです。

■「地味な起業」のニーズは増えていく

たとえば、異業種交流会に参加して、ある社長さんとお話ができたとしましょう。私であれば、「自分のスキルがいかに高いか」をアピールするのではなく、とにかく相手の話に耳を傾けます。そのデータをもとに、社長が困っていることや会社に必要なことを分析して、レポートにまとめ、ちょっと読んでみてくださいと渡しにいってみる。そこから仕事が生まれていくのです。

飲食店の社長さんであれば、やはり料理の研究をしたり、顧客のことを考えたりすることに時間を使います。だから、礼状を書いて大勢に送ったり、QRコードを読み込んだ会員のリストをつくったりとかに時間をかけたいのにかけられない。そんな仕事はたくさん転がっています。

今後も自由な働き方を選んで、経営者として事業をつくっていくという人は増えるでしょうから、彼らのサポートをする「地味な起業」というニーズは増えていくと思うのです。

■営業をしなくても仕事は取れる

勤めていた会社が倒産したことを機に、HP制作の仕事を始めたというフリーエンジニアのKさん。ここからはHP制作で会社員時代の10倍の収入を実現したKさんに解説してもらおう。

当初は実績もスキルもなかったので、クラウドソーシングを利用して単価の安い仕事を受注していました。簡単な仕事とはいえ、それなりのスキルは必要になる。一つひとつ本の情報を参考にして、仕事をこなしながら覚えていきました。勉強してから仕事を始めるのでは遅い。はじめは月に5万円の収入です。日本では厳しいので、当時まだ物価の低かった上海に移住して、2年間その生活を続け、月収は20万円まで上がりました。

これから副業としてHP制作を始める場合、細分化された仕事からやっていくべき。バナー広告をつくる仕事など、小さい実績を積み上げていく。まずは枝分かれした部分から身に付けていくのです。しかし、HP制作の分野はすでに競合が多い。SEO対策やアクセス解析に秀でた人もいれば、デザインに秀でた人もいる。いかに隙間を突いていくかが重要になります。

■提案できる関係にもっていかないといけない

私は、仕事を取るための営業は一切していません。1度仕事を受けた相手と信頼のある人間関係を築けば横のつながりで仕事は数珠つなぎに増えていく。言われたことをやるだけではなく、こちら側から「ここを改善したらどうか」「こういったビジネスはどうか」などと、提案できる関係にもっていかないといけない。隙間を突いた希少性のある情報というのは、その分野の人と直接対話をしないと見えてきません。

相手が悩んでいることを探ることで、提案できるネタも見つかってきます。

ひとつ例を挙げると、クライアントに胡蝶蘭の販売をしている人がいました。胡蝶蘭はお祝い品として贈呈されますが、もらう側としては店に飾った後の処分に困る。販売をしているなかでその処分について相談を受けることが多いというのです。お祝いでもらった手前、捨てづらいことと、胡蝶蘭の寿命が長いことが理由です。そこで、回収を一貫して行えば、もらったほうとしても助かるということに気が付き、販売だけでなく回収も行うサービスへグレードアップさせました。こうしたことは直接話さないことには始まらない。新しいビジネスモデルも生まれません。

隙間を突いたビジネスを展開していくには、結局は人と人です。これは多くの業界で同じことが言えるのではないでしょうか。

▼AI時代に穴場となる副業
HP制作(HP制作を始めれば時給の世界から抜け出せる)
中小企業や個人を対象にしたHPの制作
エクセルの数値管理
セミナーの参加者名簿や受付票の作成の数値管理など
システム設定代行
SNS、ブログ、メルマガの配信システムの設定代行
広告代行
広告画像を作成し、Google、Yahoo!、Facebookなどに出稿する
画像編集
HP、チラシ、セミナー資料に使用する画像の作成、編集
プレゼン資料作成
PowerPointでセミナー用のプレゼン資料を作成する
動画作成
セミナーやYouTube動画の作成
ライティング代行
ブログ、Facebook、メルマガ、セミナー集客用文章の執筆代行
電話対応
顧客からの電話対応や英語の電話への対応
LINE返信代行
起業家や法人が運用しているLINEアカウントでの返信代行
セミナーリサーチ
依頼主の代わりにセミナーへ参加し、リサーチをまとめる
セミナー運営
セミナーの受付やリマインドの送信などの運営サポート
秘書業務
経営者や起業家の在宅秘書業務

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田中 祐一 1986年生まれ。NTT データに就職後、独立。自分を主役にするのではなく、他人を主役にして応援する「地味な起業」を提唱している。著書に『僕たちは、地味な起業で食っていく。』(SB Creative)。

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(田中 祐一)

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