1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

五輪で14位→7位→3位「強くなり続ける人」の哲学

プレジデントオンライン / 2020年2月13日 11時15分

羽根田卓也氏

■目標からの距離でスケジュールは決まる

カヌー人生においての大目標を持つことが、日々のモチベーションを保ちます。目標から逆算することによって小さなプロセスが生まれ、それに緊張感を持って臨むことができます。

さらに大事なのが「自分」と他の選手、練習環境といった「周り」を客観視して、自分の感情抜きで冷静に分析すること。競技選手は自分を過大評価しがちです。フラットな目で目標に対して自分がどのくらいの距離にいるかを計算することで、スケジューリングがしっかりと決まります。

高校生のときからオリンピックを意識し始めて、「世界で活躍したい」という思いが強くなりました。でも、その頃は小学生が「プロ野球選手になりたい」と思うのと同じぐらいの意識。大きなビジョンではありましたが、そこへの距離感がわからず、具体的なスケジュールを立てることもできません。世界と自分がすごく近いような錯覚に陥り、油断して失敗するという経験もたくさんありました。未熟でしたね。国際大会を重ねるごとに、自分の実力や甘さ、世界の遠さというものを認識できるようになりました。

■強い選手は何をしているか

高校卒業後は、カヌーの強豪国であるスロバキアのコメンスキー大学体育スポーツ学部に進学しました。そこで「強い選手は何をしているか」「自分と何が違うのか」を観察する目を養いました。

障がい者自立推進機構主催の「SOMPOパラリンアートカップ2019」表彰式に、ゲストとして登壇する羽根田選手。競技生活の合間を縫い、社会的な活動にも熱心に取り組む。

自分が何をしたいのか、何になりたいのかということをしっかり持っている人は、手段を選ばない。だから強い。僕には「カヌーを強くなりたい」というビジョンがあったから、手段を選ばずスロバキアに行くという決断ができました。

だから、渡欧後は憧れのミハル・マルティカン選手に「同じ練習をしたい」と臆せず申し込むこともできました。彼は北京五輪金メダルをはじめとして、複数の五輪でメダルを獲得したスロバキアの名選手です。世界で一番強い選手のそばで生活することが大きな財産になりましたね。

リオ五輪出場のためにスロバキアを発つ直前に、そのマルティカン選手から「4年後の東京五輪を待つな」という言葉をもらいました。憧れの選手からの目標設定の助けとなる言葉を胸に、銅メダルを獲得することができました。

いよいよ東京オリンピックが近づいてきました。2019年10月に出場権を獲得することができ、大きなステップをまず達成した。戦いはこれからという気持ちです。

----------

羽根田 卓也(はねだ・たくや)
1987年生まれ。愛知県出身。ミキハウス所属。9歳からカヌースラローム競技を始める。杜若高校卒業後、強豪国のスロバキアに単身留学。北京五輪14位。ロンドン五輪7位入賞。リオ五輪では銅メダルを獲得。

----------

(羽根田 卓也 構成=須藤靖貴 撮影=岡村隆広)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください