1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

勝つために必要なスキルがそっくり…億を稼ぐ投資家に「ポーカー愛好者」が多いワケ

プレジデントオンライン / 2021年10月24日 12時15分

配られた2枚のカードから頭をフル回転させ、他のプレーヤーの動きや場に見える共通カードなどの情報も総合しながら、相手に勝てるかどうかを見極めていく――。(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/KevinJCook

いま経営者や投資家の間で、「テキサスホールデム」というルールのポーカーが人気を集めている。運やハッタリだけではなく、数学的根拠に基づくゲームだということが広く知られるようになったのが一因だ。全世界で1000万人以上の愛好者がおり、日本国内でも手軽に楽しめる「アミューズメントカジノ」のような場が増えつつあるという。『ゼロから勝てるポーカー』を著した投資家のけむ。氏が解説する――。

■「継続的に勝ち続ける人」は何が違うのか

優勝賞金10億円以上のプロスポーツ、ポーカー。毎年ラスベガスで開催される世界最大のポーカートーナメントWSOPでは、莫大な優勝賞金を夢見て、世界中から数万人ものポーカープレーヤーが集結する。

参加資格は特になく、誰でも参加費さえ払えば、大会に挑むことができる。今日ポーカーを覚えたばかりの人であっても、世界のトッププレーヤーと同じ土俵で戦うことが可能なのだ。そしてどちらにも等しくチャンスが与えられ、誰でも優勝し、富と名声を得ることができる。

とはいえ、もちろんルールを覚えたばかりの初心者が、運と勘だけを頼りに勝ち続けることは難しいだろう。勝利の可能性を少しでも高めるために、彼らは相手のわずかな動作・表情・プレーから、最大限の情報を得ようとする。日々最新戦術を研究し、0.1%、0.01%でも勝率を高めるための努力を惜しまない。

ところで、初心者と上級者は何が違うのだろうか。刹那的な結果を見ただけでは、どちらが実力者かすら分からないこともあるだろう。しかし長期的に見れば、かならず勝つべくして勝った者、負けるべくして負けた者の差が、明確に表れるのである。

これは、ビジネスや投資の世界でも同じことが言える。瞬間的な運を味方につけ、短期的な成功を収めた例は枚挙に暇がないが、運だけを頼りに継続的に成功を収めている例は稀だろう。

■世界で人気が加速するテキサスホールデム

ここでポーカーについて、簡単に解説しておきたい。ここで言うポーカーとは、「テキサスホールデム」と呼ばれ、100種類以上あると言われるポーカーのなか、世界で最も競技人口の多いゲームだ。日本人になじみ深い「ドローポーカー」とは、ルールもゲーム性も大きく異なっている。一般にカジノでポーカーと言えば、このテキサスホールデムのことを指す。

最初各プレーヤーに2枚ずつカードが配られ、それとは別に全員が使える共通カードが場に5枚開かれる。この計7枚から5枚を選んで、役をつくって勝負する。ゲームは4ラウンドで構成され、個人用のカードが2枚配られたとき、共通カードが3枚オープンされたとき、4枚目、5枚目がオープンされたときに、毎回チップを賭け合う。最終的に賭け額が揃ったら、カードを見せて、できた役を発表し、勝敗が決まる。

カジノでポーカーに興じる人の手元
写真=iStock.com/mediaphotos
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mediaphotos

■駆け引きだけでなく「数学的根拠」が存在する

最初に賭けるとき、判断に使える情報は自分に配られた、たった2枚のカードしかない。そこからラウンドが進むごとに、全員が見られる共通カードが増える。盤面の情報量が増えるとともに、それを見て相手がどう賭けたか、前のラウンドと比べて動きは変わったか、いま場に賭けられているチップはいくらで相手はいくら賭けてきたのか、などの情報を総合して考え、勝てるかどうかを見極めていく。

目の前にある限られた情報から、最大限の情報を引き出し、自分が勝つための戦略を決めていく、究極のマインドゲームだ。ただし、「人狼」などの駆け引きが勝利の要素を占めるゲームとは異なり、必ず根底には数学的根拠が存在している。

これはトレードの世界でも全く同じだ。自分の手札(資産や経験値)をもとに、売買状況や材料(株価に影響するようなニュース)といった公開情報を加味して勝負していく。勝つために必要なアプローチや、強者となるための資質は、ポーカーで必要とされるものと一致しているのである。

■トレードとポーカーに共通する「勝つ思考」

ポーカーで重要なのは、相手がどうアクションするかを考え、最も期待値が高くなる行動をすることだ。つまり、自分が勝っていると思われる場合は、相手がよりたくさんのチップを賭けてくれるよう、逆に自分が負けていると思われる場合は、相手が賭ける額をできるだけ抑えて負けを小さくする。もしくはブラフ(勝っていると見せかけること)をして降りてもらうためには、いくらチップを賭けるのが最も期待値が高いかを考える。

投資でいえばどの銘柄をどのタイミングで買うのが、最も良い結果が期待できるのかを考えて売買する。ビジネスであれば商品に対して費用対効果が最大となる広告を打つ。

しかし正しい選択をしたからといって、自分が期待した結果になるとは限らない。ポーカーでいえば、自分が強いハンドで最も適切な額のチップを賭けたとしても、相手が弱い手だったり、弱気だったり、もしかしたらただの気まぐれで、賭けに乗ってこないかもしれない。仮に期待どおり相手が勝負を受け入れたとしても、運を味方につけた相手が逆転で勝つかもしれない。

投資で言えばどんなに会社が魅力的な決算を出したとしても、必ず株価が上昇する保証はない。ビジネスも然り。明らかにライバルよりいい商品で値段が安かったとしても、100%それがヒットするとは限らないのである。

■見落としそうなところに情報がある

では、これらの結果は、ただ運に任せるしかないのだろうか。

先程も述べたが、ポーカーで最初に与えられる情報は、自分に配られた2枚のカードのみである。しかし実際には、自分と相手のポジション(座っている位置、プレーの順番に関係する)や持っているチップの量、相手や自分の参加率(どれくらいの割合で、チップを賭けてゲームに参加するか)など、一見見落としそうなところにも、情報はたくさん詰まっている。

投資でいえば、単純なPERやPBRといった数値的な指標だけでなく、例えば決算一つ取っても、前期と同じ数字に見えてセグメントごとの売り上げが大きく変わっていたり、増収だが一過性の要因が大きかったりと、きちんと掘り下げないと見えてこない。ビジネスでも、売りたい商品が安くて高品質だったとしても、商品のデザインや広告で狙うターゲット層、出店するエリアなどをしっかり考える必要があるだろう。

安直に成功した=選択が正しかった、失敗した=選択が間違っていたと判断するのも危険だが、結果から逆算して、反省点や見落しはなかったか考え、次に活かすことが重要である。そしてまた、正しいと思われるものにベットする。

■チャンスが来た時に大きく勝負できるかがカギ

これはポーカーに限らず、投資やビジネスにおいて重要なことである。目先の結果にとらわれず、チャンスを最大限生かせるタイミングをひたすら待ち、その時が来たら迷わず勝負ができるよう、地道に自分の武器を磨き続けるしかない。もし賽(さい)の目が悪い方に転がったとしても、それまでの検証や研究は決して無駄にならないし、次のチャンスを待てばいい。ただの結果論で運がよかった悪かったと一喜一憂するだけでは決して得られないものが、得られるのである。

けむ。『ゼロから勝てるポーカー カジノオーナーが教えるテキサスホールデム』(KADOKAWA)
けむ。『ゼロから勝てるポーカー カジノオーナーが教えるテキサスホールデム』(KADOKAWA)

成功者と呼ばれる人たちは、何も特別なことをしているわけではない。愚直で地味な努力を積み重ねて、ひたすらチャンスを待って、来るべきチャンスが来た時に、大きく勝負をした者が、成功を得るのである。日本人は特に謙遜を美徳とする傾向があるゆえ、成功したのはたまたまで、運がよかっただけと言うかもしれない。しかし、この人はたまたま運がよかっただけで、自分は運が悪かったからこの結果なのだと思考停止するのは禁物だ。

普段から目先の結果だけでなく、結果を得るための期待値をいかに上げ、そして期待値が高い(と思われる)場面で、いかに勇気を振り絞って勝負をするか。成功を掴むためにも、そういった思考ができるよう、普段から癖をつけておくのが成功するための近道だろう。

この思考法を鍛えるために、最適なのがポーカーなのだ。ただの「運ゲー」などと思わず、恐ろしく多くの情報が詰まったゲームだと実感しながらプレーしてほしい。楽しいゲームとしての魅力に加え、成功を掴むために役に立つであろうことを、自信をもって伝えたい。

----------

けむ。(けむ)
デイトレーダー
1975年生まれ。早稲田大学理工学部を卒業後、メーカーに就職するも、度重なる残業で体を壊し退社。その後、家庭教師、パチプロなどを経て、現在はデイトレーダー。予備知識ゼロで株取引を始め、チャートすら見ずに板の動きだけを見て株の売買をする「板読みトレード」という手法を生み出す。2016年にトレーダー仲間6人で、アミューズメントカジノ「秋葉原カジノクエスト」をオープンさせた。

----------

(デイトレーダー けむ。)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング