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巨額損失62億円 カジノ専門家は元通訳・水原一平容疑者の姿を「負け追い」と分析 それにしても疑問は「負ける割合が理論値とかけ離れているのはナゼ?」

MBSニュース / 2024年4月15日 18時12分

 ドジャース・大谷翔平選手の口座から日本円で約24億5000万円を不正送金した銀行詐欺の疑いで訴追された水原一平容疑者について、ネバダ大学でカジノ経営を学び、アメリカ大手カジノで内部監査職を務めた経験のある国際カジノ研究所の木曽崇所長に話を聞きました。 水原容疑者が賭け金が、最初は1回1500円であったのが、最終的に1回2400万円になっていた実態について木曽さんは「負けた金額を返すために次により大きな金額を賭ける“負け追い”と呼ぶ行為で、雪だるま式に大きくなる典型例」と話します。そして損失が約62億円という水原容疑者には払えない巨額になっていることについては、可能性として「違法な取り立て方法はいろいろあって、八百長や情報提供も含めて」と違法業者の手口についても解説しています。◎木曽崇:国際カジノ研究所所長 カジノ専門研究者 ネバダ大学でカジノ経営を学ぶ アメリカ大手カジノにて内部監査職を経験(2024年4月15日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

――水原一平容疑者の銀行詐欺事件に出てくる言葉「バンプ」、いわゆる「ツケ払い」というものですが、これは違法になりますか?

(国際カジノ研究所 木曽崇所長)いや、違法というわけではないですが、合法のスポーツベットでは通常行われない賭けのあり方です。前払いでアカウントにデポジットして、その中から使うというもので、こんな形でどんどん負け額が膨らんでいくのは、あまり見ない状況です。

――水原容疑者は、大谷翔平選手の口座からお金を勝手に盗んで賭博に使っていたとされますが、実は何度も勝っているんです。勝ったときは本人の口座に入っていたといいます。これはひどいようにも見えますし、もし依存症だとすると、これ一つの症状かもしれないなとも思うんですが、実はこの口座を分ける行為自体も、違法なんですか。

(国際カジノ研究所の木曽崇所長)これも基本的にはあってはならないことで、禁止されている、もしくは発見した場合には「疑わしき取引行為」として、当局に報告義務があったりするようなものです。これは典型的なマネーロンダリング行為で、自分の名義のお金をぐるぐる回していくことができるので、それはできないように、通常は禁止されています。

出会いは「エンゼルスのチームホテル」でのポーカー大会 誰が導いた?

――水原容疑者の違法賭博業者との最初の接点は何だったか、ということも今回の訴状で明らかになりました。「ポーカー大会があり、そこで胴元とされる人と知り合った」ということですが、木曽さんは「もしかしたら狙われた可能性もある」と指摘します。

(国際カジノ研究所の木曽崇所長)当初の報道、エンゼルス時代に胴元と知り合っているんですが、エンゼルスが試合前に使う「チームホテル」と呼ばれるホテルで行われたポーカー大会なんです。これは紹介制で、誰かが胴元の人を引き入れたってことは、要は水原氏より前に、すでに球団関係者にアクセスがあったというのが確実です。

――もし、胴元とされる人物が水原容疑者を狙ったんだとしたら、どういう狙いがあったんですか。

(国際カジノ研究所の木曽崇所長)基本的に、スポーツ関係者を狙うってことは、その先にイカサマ、八百長だったり、そこまで視野に入れた勧誘行為だと思います。

――一般のギャンブラーが知り得ない情報、大谷選手は今日調子悪いよ、とかケガで明日の試合は出ない、とか、もしかしてそういうことをギャンブルにうまく利用できないか、そういう狙いがあった可能性はありますか。

(国際カジノ研究所の木曽崇所長)わざわざスポーツ関係者を狙うのはそういうことでしょう。球団の内部情報も、彼らにとっては価値がある情報。これ、エンゼルス球団内で、他の人にもアクセスしている可能性があるので、実は水原容疑者だけで終わらない可能性がまだあるんです。

のめり込む水原容疑者のような姿「負け追い」と呼ばれる

――賭博業者とのやり取り。2021年9月に始まって、出てくる額も大きくなっていき、2022年末には3000万円頼むというやりとりがあります。「バンプ」いわゆるツケで払う、勝てば返せる。これはのめり込んでいくパターンですか。

(国際カジノ研究所の木曽崇所長)そうです。業界内では、こういう行為を「負け追い」といいまして、前に負けた金額を返すために、より大きな金額を賭けていくのは、雪だるま式に大きくなっていく典型例です。

――最初の掛け金は、実は10ドル(1500円)。最終的には2400万円位。これ、他の州の合法業者でギャンブルをやることはなかったのですか。

(国際カジノ研究所の木曽崇所長)アクセスは国内からできないです。アメリカ国内の各州は、別の州からアクセスができないようにしてあるので、そういう意味ではカリフォルニア州の人たちは、やるとしたら海外の業者にアクセス、そういう業者も一部あると思います。

負けの割合が「理論値とかけ離れている?」

――水原容疑者の年収は一説では4000万円とか7000万円とか言われています。2年数ヶ月でやっていた総額は370億円、賭けに使っていたそうです。負けは280億円、勝ちは218億円、その差額62億円がマイナスです。負けてる割合が16.8%、これは合法ギャンブル業者でしたら、こんなに高いわけないと…。

(国際カジノ研究所の木曽崇所長)そうです、10%以下と言われています。1万9000回もやってますから、確率論上は平均化するので、極端に負けすぎるってことはあまりなく、理論値に近づいていくはずなんですけど、(水原容疑者の結果が)ものすごくかけ離れてるのは、ひょっとしたら、賭け自体そもそもオッズが悪いってことがあり得そうです。ただ、オッズが本当に悪かったかというと、私はちょっと疑問点があって、海外の合法業者で同じ賭けは成立してるわけで、そのオッズは見れているわけですから、極端に不利なところに、これぐらいはまってる人が賭けるとは思わないです。

――そうなるとなぜこの負け率ですか。

(国際カジノ研究所の木曽崇所長)となると、何かしらゲームそのものに、イカサマ・八百長があるのかもしれないなというふうに疑われています。スポーツベットの場合は、ゲームの結果は外なので、もう直接的に八百長に繋がってくる話になってくるので、だからこそ危ない話なのかなというふうに思っています。

(国際カジノ研究所の木曽崇所長)そもそもこれは全米の賭博シンジケートの調査から、カリフォルニアの胴元が見つかったという話であって、彼は氷山の一角です。もっと背後に大きい組織がある前提で捜査していますから、この後、もっと捜査が進むと何か出てくるかもしれません。

ギャンブルとの付き合い方「実は教育を受けてないのは、我々大人です」

――誰でもはまってしまう可能性があるというギャンブルとの付き合い方、子ども世代にどう教育していくべきなのでしょうか。

(国際カジノ研究所の木曽崇所長)2018年から学習指導要領の改訂があって、新しくギャンブル依存に対するリスク教育も含まれるようになりました。なので、2018年以降に高校生までにいた人たちは何かしら教育は受けている状況です。教育を受けてないのは、実は我々大人です。実は我々がまず学び直しをするところから始るのが必要だと思います。

――子どもへの教育、大事なポイントでいうとどこでしょう。

(国際カジノ研究所の木曽崇所長)どのみち社会に出るとギャンブルはあるので、包み隠してもしょうがない。こういうものがあるという前提で、ちゃんとリスクを管理する手法を教えていくことが重要なんだと思います。

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