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なぜ人は無意識にスマホでニュースを見てしまうのか

プレジデントオンライン / 2020年3月6日 11時15分

ジェレミー・ハンター『ドラッカー・スクールのセルフマネジメント教室』(プレジデント社)

いまの状況はあなたが望んだとおりのものだろうか。たとえばいつの間にかスマホでニュースをチェックしてしまうのは、あなたの望みだろうか。ドラッカー・スクールのジェレミー・ハンター准教授は「もし、いまの状況が望みと違うのであれば、それをもたらしている自分の思考や行動パターンに気づく必要がある」という――。(第1回)

※本稿はジェレミー・ハンター著『ドラッカー・スクールのセルフマネジメント教室』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■いまの状況はあなたが望んだとおりのものですか?

いきなりですが、質問です。正解はありません。答え合わせもしません。数秒間、考えてみてください。

・あなたはいまの自分に満足していますか?
・いまの自分を取り囲む状況はあなたが望んだとおりのものですか?
・そうでないとしたら、本当はどうなったらいいと思いますか?

どんな瞬間にも、わたしたちは何かしら選択しています。「気がついたら」スマートフォンを見ていた、「なんとなく」スナック菓子を口にしていた、といった場合も、それはあなたがどこかでその行動を選択しているのです。

そこで、ちょっと考えてみてください。

・その選択がもたらす「結果」について、あなたはどこまで意識していましたか?
・いま手にしている結果は自分が意図していたものでしょうか?
・望んでいない結果をいつものパターンで繰り返していないでしょうか?

テーブルでニュースを読むためのスマートフォンの画面に触れる男性の手のクローズアップ
写真=iStock.com/tadamichi
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/tadamichi

■「望んでいない結果」をもたらしているパターンに気づく

わたしの授業では、次の3つについて繰り返し問いかけます。

・あなたの意図したことは何ですか?
・あなたが本当に望む結果は何ですか?
・いま手にしている望んでいない結果は何ですか?

この問いに答えるには、いままであまり意識していなかった、自分の思考や感情のパターンに意識を向ける必要があります。

意外かもしれませんが、「マラソンで世界一になる」という結果も「1週間で3キロやせる」という結果も、到達するための方法論は同じです。

第一歩は、「本当に望んでいる結果はこれである」という意図をはっきりさせることです。そして、いま得ている結果がその意図に沿っているか自問してみることです。

もし、いま得ている結果が「望んでいない結果」なのであれば、それをもたらしている自分の思考や行動パターンに気づく必要があります。それによって、そうしたパターンに陥らないための選択肢が視野に入ってきます。そこから正しい選択を繰り返していくことで、望む結果に近づくことができます。

■いま得ている「結果」は最も貴重な情報

このプロセスで重要なのは、「結果を情報と捉える」ことです。結果とはあなたの行動に対してのフィードバックです。いまあなたが手にしている結果は、望んだものであれ、望まなかったものであれ、あなたの未来にとって最も貴重な情報なのです。この情報を最大限に活用することで、あなたのものの見方、考え方、行動を、あなたの望む結果に近づけるよう、変えていくことができるのです。

日本では、よりよいモノやサービスを生み出すプロセスとしての「改善」は当たり前のように行われていますが、時代の変化に効果的に対応するために継続的に自分自身を変えていくプロセスとしての「改善」がより身近なものになれば、個人の幸福度も組織の生産性も向上することでしょう。

自己変革という意味での改善に必要なのが「情報」です。それは、いまあなたが手にしている「結果」のことです。

情報を正確にキャッチするためのスキルがマインドフルネスです。マインドフルネスは、セルフマネジメントの基本スキルのひとつです。最近よく耳にするマインドフルネスをスピリチュアルな世界の何かであり、自分とは関係ないと思っている方もいるかもしれません。しかし、マインドフルネスは実用的なスキルであり、この時代においてそのスキルを身に付けることは、読み書きを学ぶことと同じくらい大事であるとわたしは考えています。

■楽器の弾き方を学ぶように練習する

ここまで読んできて、いまあなたはこんなふうに感じているのではないでしょうか。

「望む結果を手に入れられるようになるのは素晴らしいけれど、きっとものすごく難しい訓練が必要なんだろう。修行のようなものだろうか?」

安心してください。いまからお話しするのは、わたしがビジネススクールや、エグゼクティブ向けのプログラムで教えている内容です。つまり、教室やワークショップで学んで、自宅で実践できるものです。正しく行えば、日常的な課題を解決し、よりよい結果を日々実感することができます。

わたしはみなさんに、たくさんの知識や情報を提供したいのではなく、たとえていえば、「新しい楽器の弾き方」を学んでもらいたいと思っています。それは、自分の経験という楽器です。毎日楽器にさわって奏でてみなくては、美しい音を思いどおりに出すことはできません。繰り返し練習し、失敗の中から学び続ける必要があります。このサイクルこそが、いま劇的に変化している新しい世界に適応し、創造的に生きていくための鍵となります。

■人生で最も貴重な体験をしているときに起きた恐ろしいこと

もちろん、わたし自身もいつも練習しています。失敗の繰り返しです。

息子が生まれたときのことです。初めて家に息子を連れて帰ってきた日、わたしはソファに座って、彼の小さな体を抱きしめていました。とても静かな土曜日の夜、この特別な瞬間に浸っていました。ところが突然、わたしの右手はニュースをチェックしようとスマートフォンに伸びました。まるでわたしの右手に意識があるかのようでした。自分の思っていることとは関係なく、自動的に動いたのです。わたしはそこで自分がやろうとしていたことに気がついてゾッとしました。

人生で最も貴重な体験をしている最中、息子がわたしに全存在を委ねている瞬間であったにもかかわらず、わたしの無意識の一部は土曜の夜にニュースをチェックするというまったく重要度の低いことをやろうとしたわけです。

このとき、自分自身がまったく必要のないことに、いとも簡単に気を取られてしまうことがあると改めて気がつきました。この瞬間わたしは、できる限り息子と一緒にいる時間を大事にしようと、自分自身と息子に対して誓いました。いまでもこの約束は守っています。(続く)

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ジェレミー・ハンター クレアモント大学院大学 ピーター・F・ドラッカー・スクール准教授
クレアモント大学院大学のエグゼクティブ・マインド・リーダーシップ・インスティテュートの創始者。東京を拠点とするTransform LLC.の共同創設者・パートナー。「自分をマネジメントできなければ他者をマネジメントすることはできない」というドラッカーの思想をベースに、リーダーたちが人間性を保ちながら自分自身を発展させるプログラム「エグゼクティブ・マインド」「プラクティス・オブ・セルフマネジメント」を開発し、自ら指導にあたっている。「人生が変わる授業」ともいわれるこのプログラムは、多くの日本の企業幹部も受講しているほか、バージニア大学大学院でも講座を持つ。また、政府機関、企業、NPOなどでもリーダーシップ教育を行っている。シカゴ大学博士課程修了(人間発達学)。ハーバード大学ケネディー・スクール修士。日本人の相撲取りの曽祖父を持つ。

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(クレアモント大学院大学 ピーター・F・ドラッカー・スクール准教授 ジェレミー・ハンター)

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