自分の才能をうっかり潰してしまう人が使いがちな7つの口癖
プレジデントオンライン / 2020年7月30日 9時15分
※本稿は、マシュー・サイド『きみはスゴイぜ! 一生使える「自信」をつくる本』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。
■自撮りだって続ければ自信づくりの役に立つ
何かをすごくうまくなるのって、君が思ってるほど難しくないよ。本当はだれだって、ほとんど何でも、今よりずっと上手になれるんだ。
でも君は忙しい。そうだろう?
無理もないよ。やらなきゃいけないことがいっぱいある——スポーツに趣味、友だちとも遊ばなくちゃいけないし、それから宿題も……。ひととおりこなすだけでも難しい。ぜんぶ人に負けたくないと思ったらもっと大変だ!
そこでこの本の出番なんだ。この本には、どうやったらふつうの子がスゴイ子になれるのか——スポーツでも仕事でも、自分がキワめたいことで最高の結果を出せた人だけが知っている、とっておきの方法が書かれている。
テストでラクラクといい点ばかり取る友だちがいる、憎にくたらしいほどテニスがうまいお兄さんがいる、あるいは、自分は何がいちばん得意なのかさえよくわからない——そんな君のためにこそ、この本はあるんだ。
あ、ちなみに、クラスで数学がいちばんの子、ピアノがものすごくうまい子……もし彼かれらが「ぜんぜん練習や勉強をしてないよ」と言っても信じちゃいけない。たぶんウソだからね……。
自撮りの名人だって、ひとりでこっそり練習しまくってる。絶対に。
■子どもたちの3分の2は、今は存在していない仕事を将来する
知ってるかい? 今の子どもたちの3分の2は将来、今はまだ存在すらしていない職業に就くんだ。
おどろいちゃうよね……。でもまだあるよ。君たちは平均すると、一生のあいだに少なくとも17の異なる仕事に就くと言われている(1度に全部の仕事をするわけじゃないから、心配しなくていい)。
ぼくたちの世界は今、モノスゴイ速さで変わりつつある。どうやって合わせていったらいいのか、不安に駆られても無理はないんだ。
「はたして自分の頭でやっていけるだろうか」と思ったり、「失敗したらバカだと思われるんじゃないか」と挑戦するのがコワくなったりする。あげくに、試そうともしないうちから尻ごみしてしまうんだ。
こんな調子で、さまざまな「不安」や「心配」が君にブレーキをかける。そこで、どうやったらそれらを克服できるか考えてみよう。備えあれば憂いなしだからね。
ぼくたちが何かをしようとするとき心にかかるブレーキを、どうやって外せばいいだろう? 君へのミッションは、マインドセットについて考えることだ。
■残念な人に共通する「かちこち系マインドセット」
マインドセットとは、「経験や思いこみによって決まる心の持ち方」のことだ。言いかえれば、「君が世界や周囲をどう見ているか」っていうことになる。じつはこのマインドセットってやつが、ぼくたちにブレーキをかけていることがあるんだ。
スタンフォード大学教授のキャロル・ドゥエックは、若者たちのマインドセットについてたくさん調査を行なった。ドゥエックの研究はすばらしくて(彼女はマインドセットをいろいろな面から研究する心理学者だ)、マインドセットこそが君にブレーキをかけたり、あるいは逆に、何かが上手になれるように手助けしてくれたりする張本人だと示したんだ。
実際に若い人たちに対して実験を行ない、何が君のやる気にブレーキをかけるか、また、何が夢をかなえるのを応援してくれるのかを「科学的」に調べた。その答えを証明するために多くの調査が行われ、膨大なエビデンス(証拠)が集められた。
その結果、ドゥエックはどんな答えを見つけたと思う? マインドセットにはふたつのタイプがあることが証明された。ひとつは、君が何かを上手になるのをどんどん助けてくれるもの。もうひとつは、反対に君の努力に水を差すものだ。
■世界の約30億人が損している「心の持ち方」
じゃあ、まず問題のあるほうから説明するよ。それは「かちこち系マインドセット」(「硬直マインドセット」とも呼ばれる)といって、何かスゴイことをやってのけるのは、生まれつき才能や資質がある者に限られるという「心の持ち方」なんだ。つまり、何かの達人になる人には、この世に生まれ落ちた瞬間にもう才能が脳に備わっているという考え方だ。
「かちこち系マインドセット」では、才能のあるなしは生まれつき決まっていて、どんなに頑張って取り組んでも、それはほとんど変えられないと考える。
どこに問題があるかわかるかな? もしも向き不向きが生まれつき決まっているのなら、どんなに一生懸命に練習しても上達する余地がないことになる。つまり努力は、やってもムダなことの代表というわけだ。
ものすごく残念なことに、ドゥエック先生によると、ぼくたちの40%以上が「かちこち系マインドセット」を持っているという。
40%っていうのはかなり多いよ。世界じゅうで29億6000万人が「かちこち系」でものを考えているということだ。この数はヨーロッパと北アメリカの人口を合わせたよりも多い。大問題じゃないか? ありえない数の人が「かちこち系マインドセット」にハマってるってことだ。
■伸びる子に共通するのは「しなやか系マインドセット」
ぼくの友だちは、自分は頭がよくないと思いこんでいた理由を話してくれた。小学校のころ、読書のグループが「ロケット」と「カメ」のふたつに分けられていて、彼女はカメだった。ロケットグループは読むのが速く、カメグループは読むのが遅いってことだ。
つまりカメグループは読書に向いていないと思われていた。その結果、カメたちは努力をしなくなった。友だちはじつに40年近くも自分のことをカメだと思ってきたんだ。
人からのささいな一言をきっかけに「かちこち系マインドセット」にハマりこむことはよくある。そして用心しないと一生カメのままで終わってしまう。練習をしないから、向上もしない。
それと対照的に、なんでもうまくなる人たちが必ず持っているのが「しなやか系マインドセット」(別名「成長マインドセット」ともいう)だ。一流サッカー選手やアカデミー賞を受賞する俳優、クラスで数学がいちばんの子……。そう、「しなやか系マインドセット」を持っていることが、何かで成功する最大の秘密なんだ。
「しなやか系マインドセット」の人はこう考える:能力は練習によってレベルアップできるものだ。才能や素質、技量も努力しだいで伸ばせる。
■人の評価を聞かなければ、上達のしようがない
えらい違いでしょ? もう少し比べてみよう。たとえば、「フィードバック(ほかの人からの意見や評価」について、それぞれどう考えるだろう?
かちこち系マインドセットの人:フィードバックなんて必要ないね。人からつべこべ言われるのは不愉快なだけだ。ほとんど無視。
しなやか系マインドセットの人:人の意見を聞くのは大歓迎だ。だって、どこが間違っているかわからないかぎり、上達できないから。
だんだんわかってきた? それじゃもうひとつ、「ほかの人の成功」についてはどうだろう?
かちこち系マインドセットの人:正直、嫉妬しちゃう。自分が負けてると感じると、弁解がましくなったりする。
しなやか系マインドセットの人:どうやって目標を達成したのか、めちゃくちゃ興味あるな。どんなふうにやったんだろう? マネできるように知りたい!
残念ながら、「しなやか系マインドセット」はネット通販で買うことができない。でもガッカリしないで! 自分で持つように心がければ、持てるようになるから。
「しなかや系マインドセット」は、能力は、生まれつき決まっているわけじゃなくて変えられるという考え方だ。人は生まれるときに「才能が入ったつぼ」(RPGみたいにパラメータ付きで、半分しか満たされていないかも?)を手渡されるわけじゃない。
練習を重ねればいくらでも能力を伸ばし、高めることができるんだ。やる気をもって、努力すればね。すべては自分しだいでコントロールできる。
■7つの実例「伸びる子の口癖」「伸びない子の口癖」
「やばい、自分はかちこち系マインドセットかも……」と思った人いる? 「しなやか系マインドセット」に変えたいと思うなら、カンタンな「リフレーズ」(使う言葉を変えてみること)からやってみよう。
a「あーあ、大失敗しちゃった……」
b「ぼくには難しすぎるよ」
c「もう、やーめた」
d「ぼくは運動神経がよくない」
e「彼女は天才だ」
f「ほら、やっぱりダメだ!ぼくは能なしなんだ」
g「これ苦手なんだよね」
しなやか系マインドセットから出る7つの言葉
A「失敗したけど、オッケーオッケー。教訓を覚えておこう」
B「時間がかかりそうだから、じっくり行こう。誰かに助けてもらおうかな」
C「別の方法はないかな?」
D「だれか練習相手を見つけて、教えてもらわなきゃ」
E「彼女はどんな練習をしてるんだろう。何か参考にできるかも?」
F「まだ練習が足りないだけさ」
G「まだうまくできないけど、練習すればだいじょうぶだろう」
こうして使う言葉を変えることで、ふだんの考え方も変わっていく。そうやってしなやか系マインドセットに変えておけば、一生の役に立つはずだ。
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元卓球選手で、現役時代には全英チャンピオンに4度輝き、オリンピックに2度出場。オックスフォード大学哲学政治経済学部を首席で卒業。本書はイギリスで刊行されると30万部を突破。『サンデータイムズ』紙ベストセラー1位獲得、ブリティッシュ・ブック賞の2019年ベスト児童ノンフィクションに選ばれるなど、少年少女向けのハウツー書として異例のヒットを記録。BBC「ニュースナイト」やCNNでコメンテーターとしても活躍。恵まれない子どもたちをスポーツ指導で支援する慈善事業にも携わる。二児の父。著書に『非才!』(柏書房)、『失敗の科学』(ディスカバー・トゥエンティワン)がある。
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(作家、英「タイムズ」紙コラムニスト マシュー・サイド)
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