「白米の1カロリー」と「肉の1カロリー」は同じ1カロリーではない

プレジデントオンライン / 2020年8月7日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AlexRaths

加齢による肥満は「仕方がない」と諦めるべきなのか。作家の金森重樹氏は「食べる量を減らして運動すれば痩せることができると考えるのは誤りだ。食べる量を減らしても、炭水化物中心の食事であれば太る」という——。

※本稿は、マーク・ハイマン著、金森重樹監訳『アメリカの名医が教える内臓脂肪が落ちる究極の食事』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

■脂質は悪者ではない

カロリー、体重、代謝について理解する際にまず、ふたつの矛盾する考えがあった。ひとつ目は、体内ではすべてのカロリーが同じ使われ方をするというものだ。

これは、単純な物理現象にもとづいていた。つまり、実験室で炭酸飲料やオリーブオイルの100キロカロリーを燃焼させると、まったく同じ量のエネルギーが放出されるというわけだ。

しかし、これを人間の生理に当てはめて論理的に考えてみよう。そのカロリー源にかかわらず、体重に同じ影響がもたらされるだろうか?

私たちは、体重の調節が単なる摂取カロリーと消費カロリーの問題だと絶えず聞かされている。食べる量を減らしてもっと運動するだけで体重が減るという説はエネルギーバランス仮説と呼ばれ、自明の根本的真理のように思えるが、誤りであることがわかっている。

体重維持のための摂取カロリーと消費カロリーの公式は学問の世界と政府の政策に組み込まれ、カロリー計算が重視されることになった。最新の食品表示規制もカロリーを重視し、ラベルに太字で大きく表示することが求められている。

すべてのカロリーが同等で、脂質には炭水化物やタンパク質の2倍のカロリーが含まれる(1グラム当たり9キロカロリー対1グラム当たり4キロカロリー)とすると、カロリーを減らすには脂質を減らすのが一番良いというのは理にかなっている。

■食べ物によって「1カロリー」の意味が異なる

バターは高エネルギーなので、バターを食べるよりパンとパスタを食べるほうがたくさん食べることができる、私はそう教えられ、新しい研究がこの考えを覆すまでそれを信じていた。当然ながら、エネルギーバランス仮説には、意志の力が減量のカギであり、やるべきことはカロリー制限と運動量を増やすことだけだという意味が込められている。

この偏った考えの論理的な結論はこうなる――あなたが太り過ぎなら、それはきっと、あなたが怠け者の大食家で、運動しないで食べることが大好きだからだ。しかし、この考え方は誤りであることが実証されたのである。

食物を食べる場合、すべての1カロリーが同じ1カロリーではないことを示す新しい研究は、世間一般の通念とは相いれない。真空中か実験室の中では、すべての食べ物——ココナッツオイルでもハチミツでも——のカロリーを燃焼させると、同じ量のエネルギーを放出する。

しかし「ヒトの体の中」は「実験室」の中とは異なる。その食べ物を食べると、それは体内を通過しなければならず、ホルモン、脳内化学物質、代謝にまったく異なる影響を与える。

脂質のカロリーは糖質のカロリーとは燃焼の仕方が異なり、脂質のカロリーは代謝を促進する。脂質は燃焼される必要があり、インスリン――脂肪蓄積ホルモン――を急上昇させないので、簡単には蓄積されない。脂質は脳内で食欲を抑えるように作用し、1日に食べる全体量が減る。

■糖質と炭水化物のカロリーがもたらす悪影響

一方、糖質や炭水化物のカロリーは正反対に作用し、インスリンを急上昇させて脂肪の蓄積を促し、病気のもとになる危険な内臓脂肪として急速に蓄えられる。そして代謝を遅くして、空腹感と異常な食欲をもたらす。こうした考え方は、膨大な科学的研究によって支持されている。

この体重増加に関するホルモンまたは代謝の仮説は、体重の増減を左右するのは摂取する食物の構成と質(そして食物が誘発するホルモンと生化学)であるという考え方を裏付けている。

つまり代謝のスイッチを制御するのは、どれだけ食べるかではなく、何を食べるかなのだ。食べ物に固有の情報――それが含むメッセージと命令――が代謝を促す。繰り返すが、炭水化物は体を脂肪の蓄積へと向かわせ(同化作用)、一方、脂質は体を脂肪の燃焼へと向かわせる。

食べる量を減らしてカロリーを摂取しないようにしても、炭水化物や糖を摂りすぎるとインスリンの分泌を促し、肝臓の脂質生産工場と体の脂質蓄積システムを稼働させて、あなたは太ることになる。しかし、食事中の脂質はインスリンを上昇させないので、内臓脂肪などの体脂肪を蓄積することもない。

1953年、医学情報誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン』の「肥満に関する再教育」と題する報告の中で、アルフレッド・ペニントン博士は「肥満は炭水化物のホルモン作用によって引き起こされ、炭水化物の制限によって治療できるので、脂質やタンパク質について心配する必要はない」と主張した。

それは、体重制限がカロリーの摂取と消費だけの問題であるという考え方との完全な決別だった。

■摂取カロリーが同じでも、炭水化物中心の食事は太りやすい

1977年、『アメリカン・ジャーナル・オブ・クリニカル・ニュートリション(米国臨床栄養学会誌)』に掲載された研究により、摂取カロリーが同一であっても、食事の組成(高炭水化物・低脂質、あるいは高脂質・低炭水化物)によって、人体の生理への影響はまったく異なることが明らかになった。

この研究では、10人の肥満者を病院の代謝病棟に収容し、その食事を厳重に管理した。研究の被験者は少数だったが、こうした代謝病棟研究では食物摂取量とエネルギー消費量が注意深く測定されたので、実際的な価値があった。

2週間にわたって、被験者たちは炭水化物が70%、タンパク質が20%、脂質が10%の高炭水化物食を摂った。その後、7日間休んでから、被験者の食事は脂質が70%、タンパク質が20%、炭水化物が10%の食事に切り替えられた。

被験者の総カロリー摂取量は同じだったが、高炭水化物食よりも高脂質食を摂っているときのほうが体重は減少し、血糖、インスリン濃度、トリグリセリド、コレステロールが格段に下がった。

2002年、ハーバード大学公衆衛生大学院のウォルター・ウィレット博士は、脂質と肥満(脂質と心臓病に加えて)に関するすべての研究を集約し、関連性はないと判断した。彼は「高脂質の食事が今日のアメリカ社会における肥満のまん延の主因だとは考えられない。脂質を減らしても解決にはならない」と述べている。

■低脂質食は肥満と糖尿病のもとになる

米国糖尿病学会(ADA)は長年、2型糖尿病のための高炭水化物減量法を推奨していたが、最近は炭水化物の摂取制限をすすめるようになった。

しかし、より高脂質の食事(最大70%の脂質)と炭水化物制限を組み合わせると、2糖尿病の治療と改善に非常に効果的だという決定的エビデンスがあるにもかかわらず、ADAはいまだに糖尿病患者に低脂質食をすすめている。

私はADAの大会に参加したが、展示フロア全体に食品業界後援の大きなブースがいくつも設けられ、その中で減量用の低カロリーで人工甘味料入りの低脂肪製品を宣伝していた。

人工甘味料は実は2型糖尿病と体重増加の原因となり、代謝を低下させ、空腹感を増し、腸内細菌叢を肥満や2型糖尿病を促進するように変えてしまうことがわかっているが、ADA、糖尿病専門医、登録栄養士は今でもまだ人工甘味料を推奨している。そう、人工甘味料はあなたを太らせて糖尿病にするのだ!

■「太る原因」はたったふたつ

マーク・ハイマン著、金森重樹監訳『アメリカの名医が教える内臓脂肪が落ちる究極の食事』(SBクリエイティブ)
マーク・ハイマン著、金森重樹監訳『アメリカの名医が教える内臓脂肪が落ちる究極の食事』(SBクリエイティブ)

現在、脂質が体重増加と心臓病の根本原因であることを示すエビデンスはなくなり、本当の原因である炭水化物と糖質に批判的な光を当てるエビデンスが増えつつある。低脂質の時代は終焉に近づき、アメリカ政府の方針でさえ変わろうとしている。

2015年の「食生活指針」は、脂質の削減に関する見解をやわらげ、食事性コレステロール摂取の制限を正式に勧告から除いた。卵はふたたび食卓に戻り、専門職団体は見解を撤回した。

米国心臓協会と米国心臓病協会でさえ、低脂肪をすすめる声明を取り下げ、食事性コレステロールへの懸念はすべて忘れるように提言した。彼らはまだ飽和脂肪酸に注目しているが、多くの科学者は飽和脂肪酸が危険だとされている点に疑問を抱いている。

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マーク・ハイマン 認定家庭医
コーネル大学を1982年、オタワ大学医学校を1987年に卒業。総合医療の分野で最も名声のある『健康と医学における代替治療誌』の主席編集者で、『代替医学誌:健康的な生活の技術と科学』の医学担当編集者。予防と健康増進、新しい医学の方法論において指導的立場にある専門家の1人。

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金森 重樹(かなもり・しげき)
行政書士・不動産投資顧問
東大法学部卒。25歳の時に1億2000万円の借金を負う。著書『お金の味』に詳しい。マーケティングの技術を活用して35歳で借金を完済。行政書士として脱サラ。不動産、建設、ホテルチェーン、医療法人、福祉事業などグループ年商100億円の企業グループのオーナー。個人で日本最大2メガワットのメガソーラー発電所を宮古島で開設。自宅の冷蔵庫とストッカーは自治体からのお礼の品でいつも満杯。ふるさと納税を始めて食費はほぼ「0円」を更新中。著書に『2015年改訂版 100%得をするふるさと納税生活完全ガイド』。

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(認定家庭医 マーク・ハイマン、行政書士・不動産投資顧問 金森 重樹)

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