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これから5Gが携帯業界の勢力図を一気に一変させる

プレジデントオンライン / 2020年9月6日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/MARHARYTA MARKO

■コロナ禍でも大ダメージはなし

近年の携帯電話業界で大きなターニングポイントとなったのは、2019年10月に施行された電気通信事業法の改正でしょう。これにより変わったポイントは大きく2つあります。

まず1つ目は、「端末代金と通信料金の分離」です。これによりNTTドコモの「月々サポート」、KDDI(au)の「毎月割」のように、通信料金から端末代金の一部を割引することで、実質的な端末の値下げを行っていた施策が提供不可となりました。

2つ目は、短期解約時の違約金に大きな制限が設けられました。いわゆる「2年縛り」の抑止といえばわかりやすいでしょうか。

これによって総務省は、事業者間の競争を活性化させたい意図があったようですが、必ずしもプラスに作用することばかりではありませんでした。

端末代金と通信料金が分離されたことで、エンドユーザーは一切の割引なしで端末を購入する必要があるため、ハイエンドモデルなどの売れ行きは落ち込みを見せ、代わりに手ごろな価格で手に入るミドルレンジの機種が売れるようになりました。

そして20年に入ると、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、キャリアショップや家電量販店で休業・短縮営業が増え、さらに端末の販売は冷え込むこととなりました。また感染拡大防止のため、今までショップでしかできない手続きをオンライン化したことで、営業機会も減少しました。

これだけ見ると携帯電話業界は逆風だらけのように思えるかもしれませんが、一概にそうとはいえません。

たとえば端末代金の割引は、以前よりも割引が控えめになり、顧客獲得にかかっていた費用が減ったということでもあります。また、今までの携帯電話業界は、どちらかといえば「ユーザーの新規獲得」に大きく注力する傾向がありましたが、これからは既存ユーザーを大切にする方向へ転換する可能性もあり、業界全体の考え方や、消費者との距離感が変化するチャンスになるかもしれません。

規制とコロナ禍でもダメージは軽微か

そして何より、携帯キャリアの収入源としてもっとも大きいのは、ユーザーが支払う月々の料金です。現状では携帯電話はインフラのひとつとして成立しており、法改正やコロナウイルスの影響で壊滅的なダメージを受けることは、まずないといってもいいでしょう。いわゆる「巣ごもり」の影響で、SNSや動画コンテンツの需要が増えており、今後もデータ量が増えるであろうことも追い風だといえます。

■既存の顧客を大切にする方向に転換

今後は、先述のような新規ユーザーを獲得するためのマーケティング合戦ではなく、既存の顧客を大切にする方向に転換する可能性が高く、その場合はNTTドコモのような信頼感のある企業が伸びてくることも考えられます。

また、すでに導入の始まっている次世代通信規格の「5G」については、ごく一部のエリアと端末でしか使用できないのが現状ですが、21年には人口カバー率が90%を超える見通しとなっています。現状では5G向けの周波数が認可されるかといった技術的な問題や、市場で大きなシェアを誇るiPhoneが5Gに対応してくるかが不明など、不透明な点も多いですが、20年秋ごろから21年にかけて大きな変革が起きる可能性も現実的です。

(モルガン・スタンレーMUFG証券 エグゼクティブディレクター 津坂 徹郎 構成=プレジデント編集部)

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