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「会わないほうが売れる」コロナでも稼ぐ営業マンが使う4ステップ

プレジデントオンライン / 2020年9月15日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/metamorworks

これまで営業マンは「直接お会いしてお話をさせてください」が殺し文句だった。こう言いづらい状況で、どうやって売ればいいのか。コンサルタントの長尾一洋氏は「会うことは営業の本質ではない。オンラインに舵を切れば、時間という大きなメリットを享受することができる」と説く——。

■「会えない」ことは、本当にマイナスなのか?

コロナ禍で「営業のアポイントが取りにくくなった」という悩みを抱えている営業担当者が増えています。「会ってもらえません。どうしたらいいんでしょう?」と相談された上司も、明確な指示が出せずにいます。なにしろ、「人との接触を避ける」ことが推奨されるという状況は、これまで誰も経験してこなかったのだから仕方ありません。しかし、この状況は今後も続くと予想されます。

「会いたくない」と顧客にアポイントを断られた時は、まずは一度じっくり考えてみてください。「その用事は、ほんとうに会わなくてはならないものなのか?」「会わずに行うのは、絶対に不可能なことなのか?」と。

恋愛関係ではないのですから、営業担当者にとって、本来、果たしたい目的は「会う」ことの先にあるはずです。「会う」ことは単なる手段です。

「会う」目的が「自分たちの商品を知ってもらいたい」「購入を検討してもらいたい」ということであれば、「会う」ことは必ずしも不可欠ではありません。視点を変えれば「会えない」からこそできることがあります。新たな営業活動であるオンライン営業の可能性に気づくことができます。

■「会えない」を利用して、より大きな成果を挙げる

「会えない」ことによって何が得られるか? その最も大きなものは「時間」です。リアルに「会う」とことによって生じた移動時間やそれに伴うコストを、他の顧客へのアプローチ数を増やすことに使い、結果としてより大きな成果を挙げることができます。

とはいえ、果たしてそんなことが実際に可能なのか? と不安に思う方もいらっしゃるでしょう。もう少し具体的に考えてみましょう。

リアル訪問でのパフォーマンスを「1」とします。一方、オンライン営業では双方が慣れない間は多少勝手が違うため、若干パフォーマンスが下がると仮定して「0.8」とします。一方、アプローチ数はリアルの場合は移動時間が必要なので一日に平均3訪問程度しかできないのに比べて、オンラインの場合は移動時間を気にせずに設定できるため5件程度はこなせるはずです。これを数式で表してみましょう。

つまり、多少パフォーマンスが落ちたとしても、その分「アプローチ数」を増やすことで結果としては大きな成果になるということです。

■オンライン営業の4つのメリット

会わずに、つまり非接触でアプローチすることを、私は「コンタクトレス・アプローチ」と名付けています。弊社社員はもちろんのこと、顧客企業にもそのメリットを伝えて活用を促しています。リアル訪問を減らし、その代わりにオンラインでのアプローチ数を増やすことによって、より大きな成果を目指します。

コンタクトレス・アプローチによるオンライン営業には、これまでのリアル中心の営業手法と比較して4つの大きなメリットがあります。

Environment(環境)
Ecology(生態)
Efficiency(効率)
Economic(経済的)

持参する紙資料などが削減できるので資源を無駄遣いせず(Environment)、移動のための交通機関を使わないことなどで二酸化炭素の放出を抑えて地球環境にやさしく(Ecology)、時間効率もよくて(Efficiency)、経済コストも引き下げられます(Economic)。それぞれの頭文字をとって、「4E」と呼んでいます。

■会わないことがすんなり認められる状況

さらに、「アンチウイルス」でもあります。

長尾一洋『コンタクトレス・アプローチ テレワーク時代の営業の強化書』(KADOKAWA)
長尾一洋『コンタクトレス・アプローチ テレワーク時代の営業の強化書』(KADOKAWA)

実は、この順序で考えることがとても重要です。新型コロナウイルス感染予防対策として仕方なくオンライン営業に切り替えるのではなく、コロナ危機があろうとなかろうと「4E」という大きな価値があるのだから、コンタクトレス・アプローチを駆使してオンライン営業に切り替えるべきなのです。

とはいえ、いくら4つの大きなメリットがあると説明しても、コロナ前は「会う」ことの方に価値を感じる人が多かったこともあり、「オンライン」を使った会議や商談がなかなか浸透してこなかったのはみなさんもご存じの通りです。先方が「会いたいから来てほしい」と言っているのに「いやいや、お金も時間もかかるうえに効率も悪いから勘弁してください」と言うわけにはいきません。失礼な奴だ! とお叱りを受けてしまいます。

しかし今は、「コロナの心配がありますからね」と言えば、「会わない」ことがすんなり認められるようになりました。「ウイルス対策」という旗を掲げながら、4Eを求めて営業手法の改革を推し進めることができる、絶好の機会です。

■どうやって信頼関係を築き上げていけばいいのか

リアル訪問からオンライン営業に切り替える際に、多くの営業担当者が不安に感じるのは「会えない中で、どうやって信頼関係を築き上げていけばいいのか」ということです。「オンラインだとドライな関係になりそう」「ビジネスライクになってしまって、あっさり切られそう」と考える人もいるでしょう。

オンライン営業であっても人間関係の構築は絶対に必要です。営業の仕事というのは「自分の持っている価値を伝えて、お金をもらえるほどのレベルでその価値を認めてもらう」ことです。相手の言いなりにならずに、ときには顧客の考えを否定したり、超越したりすることが求められます。多少耳の痛い提案をしても「君が言うなら」と受け容れてもらえるレベルの関係性は必須です。

■オンライン営業で「君から買いたい!」と言わせるための4STEP

新規の見込み客に対してコンタクトレス・アプローチによって人間関係をつくり、オンライン営業を円滑に行っていくためには、4つの段階に分けて進めることが大切です。

STEP1 認知(Recognition)「△社の○○さんという営業担当者」と知ってもらう
STEP2 信用(Credit)「○○さんは、こういうことをやってきた人だ」と感じてもらう
STEP3 信頼(Trust)「○○さんの話なら、聞いてみようかな」と期待される
STEP4 受容(Acceptance)「○○さんになら会ってみたい(顔を見せ合って話したい)」

「認知(R)」段階で必要なのは、「会社」や「商品・サービス」を正しく知ってもらうことです。一人でも多くの方に存在を知ってもらうための活動です。ホームページを充実させて情報を提供するとともに、問い合わせ窓口をつくって見込み客のアドレスを獲得できるようにしておきます。「信用(C)」段階では、営業担当者自身のこれまでの実績や商品のクオリティなどを知ってもらいます。そのための手段の一つとしてYouTubeの活用をお勧めします。自社の商品・サービスを自らが紹介する動画を撮って、アップしておきます。メールを送る際に、そのURLを記載しておけば目に留まる確率は上がります。

「信頼(T)」は、過去の実績をベースにした未来への期待感です。「この人に相談してみたい」と頼られる存在になりましょう。そのためには「先生」というポジションになることが大切で、テーマを決めてセミナー(WEBセミナー)を開催し、講師として業界や商品の解説などを行うのが効果的です。

■営業の可能性はオンラインで大きく広がる

最終段階の「受容(A)」(=会ってみたい)というのは、今なら「オンライン上で」顔を見せ合うということです。認知され、信用と信頼で人間関係を築くことができればWEBツールを使ったオンライン会議や商談でお互いに顔を見せ合って質の高い内容の話ができるようになります。

「結構大変なんだな」と思われた方もいるかもしれませんが、オンライン営業にはスケールメリットという最大の魅力があります。ここで説明したSTEP1~4によるアプローチは、一斉に100人、1000人、いや、1万人に対しても行うことができるのです。営業の可能性は、オンライン営業によって大きく広がります。

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長尾 一洋(ながお・かずひろ)
NIコンサルティング代表
1965年、広島市生まれ。1991年、NIコンサルティングを設立。『孫子』の講座やセミナー講師を多数務める。『必勝の営業術55のポイント』(中央経済社)、『小さな会社こそが勝ち続ける 孫子の兵法 経営戦略』(明日香出版社)、『まんがで身につく孫子の兵法』(あさ出版)、『営業の見える化』(KADOKAWA)など著書多数。

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(NIコンサルティング代表 長尾 一洋 編集協力=白鳥美子)

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