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「離婚相談が4割増」ステイホーム中に"残念な夫"に気づいた妻たち

プレジデントオンライン / 2020年9月24日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Sohl

コロナ禍では夫婦が一緒にいる時間が増える。それは離婚の原因にもなりかねない。夫婦問題研究家の岡野あつこさんは「離婚の相談者が通常の4割増になっている。夫の言葉や態度、嫌がらせの相談も少なくない」という――。

■「コロナ離婚」に悩む相談者は通常より年齢層が低い

新型コロナウイルスによるステイホームの常態化がきっかけとなり、コロナ離婚という新たな問題を抱えた夫婦は少なくない。私の相談所に訪れる相談者も通常の4割増となっている。

ステイホームが長引くにつれ、増えている相談内容のひとつに、「モラハラ夫に、これ以上耐えられない」という妻からの悩みがある。夫からの心ない言葉や態度、嫌がらせにより、精神的なダメージを受けている妻も少なくない。

相談者の年齢層も特徴的だ。コロナ離婚に悩む相談者の場合、中心層は30代後半~40代前半。通常の夫婦問題で訪れる相談者に比べ、年齢層が低くなっている。

夫のモラハラによりコロナ離婚を考える30代後半~40代前半の夫婦の共通点としては、「まだ子どもが小さい」ことと「夫に浮気の心配がある」という点もあげられる。例えば、こんなケースがある。

※登場人物のイニシャルと年齢は変えてあります

■わが子をストレスのはけ口にする夫に失望

【CASE1】今さら子育てに口出ししてくるモラハラ夫

学生時代に交際していた相手と結婚したR子さん(38歳)夫婦には、小学6年生の長男がひとりいる。3年前にそれまで勤めていた会社を退職し、独立した夫(39歳)は、「軌道に乗るまで仕事に集中したい」と平日は自分のオフィスに住み込み、週末になると帰宅する生活スタイル。今年5月からは、コロナウイルスの影響により、平日も自宅でリモートワークをするようになった。

それまでは、子どもの育児に関してはR子さんにまかせきりの日々で、中学受験を控え、進学塾に通う息子の成績にはほぼ無関心。ところがコロナ禍で自分の仕事が忙しくなくなったせいもあり、興味の対象が息子の成績に移った夫は、R子さんに子育てについてあれこれ口出しをしてくるようになったという。

「今まで息子の相談をしても面倒くさがるだけで力になってもらえなかったのに、自宅にいるようになっていきなり『こんなに頭の悪い子どもに育てた覚えはない』『お前の子育ては間違っている』と怒鳴られても、腹立たしいだけです」

塾が休みの日でもコロナの影響で外で遊ぶことができず、子どもなりにストレスをためている息子に対しても「パパの言うことをきかないから、オマエはバカになったんだ」「勉強ができないのはママのせいだ」などと、自分のイライラをぶつけて子どもを泣かせてしまうのだとか。

「私へのモラハラだけならまだ我慢ができますが、息子へのハラスメントは許せません。息子の受験が終わったら、別れようと思います」

R子さんは、現在弁護士を立てて離婚の申し立てをすることを検討中だ。

■コロナ禍で「夫の浮気が終わる」と思いきや…

【CASE2】妻への「浮気隠し」が雑すぎるモラハラ夫

「私のことをあまりにもバカにしていると思いませんか?」と憤慨するK子さん(40歳)は結婚9年目、夫は3歳年下の会社員。夫婦ともにリモートワークになり、24時間同じ部屋でずっと顔を突き合わせる生活がはじまった。

K子さんが夫の浮気に気づいたのは、実はコロナ騒動の前からだったという。

「毎晩のように終電で帰ってくるようになったのは1年前くらいだったでしょうか。その頃、一度夫の入浴中に携帯電話を盗み見たことがあって、そこには浮気相手の女性と関係がスタートしたばかりっぽい、初々しいカップルのような内容のLINEのやりとりがありました」

夫の浮気の証拠を発見して動揺したK子さんだったが、まだ離婚を考えられなかったため、友人からのアドバイスもあって成り行きを見守ることにしたという。しばらくしてコロナ騒動が起こり、リモートワークになった。

夫の浮気は「これで完全に終わった」と安心していたが、事実は真逆だった。つまり、夫と浮気相手は会えなくなったことで、さらにお互いの感情が盛り上がってしまっていたのだった。

■浮気相手と「猫なで声」でしゃべる夫に鳥肌

「在宅勤務になり、外出する理由がなくなった夫は、それでも浮気相手に会いたいのか彼女に電話をするようになりました。はじめは私に隠れてコソコソ電話をしていたのですが、狭いマンションの部屋では会話がすべて筒抜けの状態。猫なで声で甘くしゃべる夫の声を聞いてゾッとしました」

夫の愚行はそれだけではすまなかった。リモートワークが長期化するにつれ、浮気相手とのやりとりが大胆になっていったのだという。

「浮気に気づいていないフリを続ける私に対し、夫の“浮気を隠す”という行為がだんだん雑になっていきました」

K子さんの話によると、浮気相手とのLINEの画面を開いたままスマホをテーブルの上に投げ出しているのも日常茶飯事だった。

「毎日、朝昼晩とひっきりなしに、どうでもいいやりとりをしているのを読むと、自分が情けなくて初めて泣けてきました」

K子さんは現在、夫との離婚にそなえて浮気の証拠集めをはじめたとのこと。“鈍感な妻”を演じ続けながらも、夫への手痛い仕返しを考えているのだった。

■「頼もしい、大人の男性」と思っていた夫が…

【CASE3】妻には暴君、上司には媚びへつらうモラハラ夫

「やっと理想的な結婚相手にめぐり会えた」と思ってはじまった結婚生活も、予想しなかった形で展開していくこともある。

N美さん(33歳)は、4年前にお見合いで今の夫(42歳)と結婚。当時20代だったN美さんにとって、9歳年上の夫は人生経験も豊富な大人の男性に思え、頼もしく感じたという。有名企業に勤務する夫は収入も高く、N美さんは友人からもうらやましがられていたという。

そんな“理想の夫”が“モラハラ夫”だと気づいたのは、やはりコロナ禍で夫婦が長時間ともに過ごすようになってからだった。

「それまで許せてきた私のズボラな性格や家事が不得意なことも、ずっと一緒にいるようになって許せなくなったのかもしれません」。

幼稚園が休園中の子どもが家のなかを走るたびに「オマエのしつけはどうなっているんだ!」と怒鳴りまくり、家事についても「こんないい加減な掃除ですませるなよ!」「オレは人より稼いでいるんだから、たまにはうまい料理を食わせたらどうだ!」などと平気で罵る。

それでも耐え続けていたN美さんが、夫に対し新たな感情が芽生えたきっかけは意外な出来事だった。

■「夫を尊敬する気持ちや愛情は完全になくなりました」

夫にかかってきた上司からの仕事の電話に、愛想笑いをしながら電話口でペコペコ頭を下げ、明らかにお世辞とわかる言葉を並べたてている夫の姿を、N美さんは目撃したのだ。

「私にはあんなに暴君のような振る舞いをするので、てっきり職場でも威張っているのかと思いきや、上司に対しては恥ずかしいほど媚びへつらっていた夫。それを知った時は複雑な気持ちでした」

職場でのストレスが妻へのモラハラに向かわせるのだと悟ったN美さんは、夫をねぎらう気持ちと同時に、器の小ささにもガッカリしたという。

「妻へのモラハラでしかストレスを発散できないなんて“残念な人”だな、と。モラハラは耐え難いけれど、子どものためにも離婚する気はありません。ですが、夫を尊敬する気持ちや愛情はもう完全になくなりました」

■自分のストレスの原因を考えてみてほしい

コロナ禍で夫が“モラハラ夫”に豹変する原因は、やはり「夫婦が一緒に過ごす時間の長さ」にありそうだ。お互いがひとつの家で四六時中顔を突き合わせる生活が続くと、今まで気がつかなかった、あるいは目を背けることができていた相手の“気になる部分”が際立って見えてくるようになる。それまでは夫婦ゲンカすらする時間が持てなかった夫婦でさえ、どんな小さなケンカの種でも探し出せる時間と機会が激増するのだ。

そんなふうにストレスがたまりにたまった状態では、ささいなことがきっかけとなり“モラハラ夫”のスイッチが入ることもある。

もしも、自分が“モラハラ夫”になりそうな自覚がある人、あるいは夫のモラハラ化が心配な人は、決定的な言動を起こす前に「自分のストレスの原因がどこにあるのか?」を一度、考えてみることをおすすめしている。なぜなら、コロナ禍でのストレスは、パートナーに対してではなく新型コロナウイルスそのものが原因であることがほとんどだからだ。

「コロナさえなければ、夫婦関係はうまくいったはず」だと思えるなら、必ずといっていいほど、「コロナ禍を乗り切った後には、夫婦関係修復の余地がある」と言えるのだ。

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岡野 あつこ(おかの・あつこ)
夫婦問題研究家
NPO日本家族問題相談連盟理事長。株式会社カラットクラブ代表取締役立命館大学産業社会学部卒業、立教大学大学院 21世紀社会デザイン研究科修了。自らの離婚経験を生かし、離婚カウンセリングという前人未踏の分野を確立。これまでに25年間、3万件以上の相談を受ける。『最新 離婚の準備・手続きと進め方のすべて』(日本文芸社)『再婚で幸せになった人たちから学ぶ37のこと』(ごきげんビジネス出版)『離婚カウンセラーになる方法』(ごきげんビジネス出版)など著書多数。

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(夫婦問題研究家 岡野 あつこ)

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