ダイエットで「ごはんを半分」にしても、なぜやせないか

プレジデントオンライン / 2020年10月1日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/NoDerog

生活習慣病のエキスパートである池谷敏郎医師の著書が売れている。『50歳を過ぎても体脂肪率10%の名医が教える 内臓脂肪を落とす最強メソッド』(東洋経済新報社)は13万部を突破。さらに無駄な脂肪を燃やす方法について『代謝がすべて』(角川新書)を上梓した。今回はこの最新作から、「糖質オフが危ない」理由について紹介しよう──。(第3回/全3回)

※本稿は、池谷敏郎『代謝がすべて』(角川新書)の一部を再編集したものです。

■内臓を騙す人工甘味料

最近では、「糖質オフ」「糖質ゼロ」「砂糖不使用」などと謳った商品をよく目にするようになりました。そうした商品で使われているのが、人工甘味料です。

甘いのに糖質オフ、糖質ゼロなのはなぜかというと、「アスパルテーム」「アセスルファムカリウム」「スクラロース」といった非糖質系の人工甘味料が使われているからです。

これらにはブドウ糖が含まれていないので、血糖値を上げません。ということは、「体にいい、代謝にいいということ?」と思うかもしれませんが、そう手放しでは喜べず、こうした人工甘味料は、私たちが食べて甘いと騙されるように、膵臓も騙されるのです。

■血糖値が上がらないのにインスリンの分泌量が増えることも

血糖値が上がったことを受けて、膵臓がインスリンの分泌を増やすのが通常ですよね。ところが、人工甘味料を摂ると、血糖値は上がらないのにインスリンが出てしまうのです。糖がきたと体が錯覚してしまうのでしょう。そうすると、結局は肥満や糖尿病につながってしまいます。

そのため、「血糖値を上げないから」という理由で人工甘味料を使ってもやっぱりインスリンの分泌量は増えるわけで、長期的に見て糖尿病の予防ができた、肥満が解消されたという実績は今のところありません。

■「糖質ゼロ」と「糖類ゼロ」は違う

糖質ゼロという表示のほか、「糖類ゼロ」という表示もありますよね。

同じような言葉に見えるかもしれませんが、糖質と糖類の意味するものは異なります。糖質のほうは、炭水化物のうち食物繊維を除いたものです。一方、糖類は、糖質のなかでも、ブドウ糖や果糖のような「単糖類」と、ショ糖のように2つの単糖類が結合した「二糖類」の総称です。つまり、「糖類ゼロ」は、単糖類や二糖類の糖質を使っていないことを意味しています。

糖質は単糖類まで分解されて吸収されます。そのままの形で吸収される単糖類や単糖類が2つつながっただけの二糖類は、たくさんのブドウ糖がつながっている「多糖類」のデンプンに比べると消化にかかる時間が短く、早く吸収されやすいという特徴があります。

■まだまだある甘味料

糖類よりもつながっている単糖類の数が多く、デンプンよりも少ない、3個から9個ほどの単糖類がくっついたものが「オリゴ糖」です。「オリゴ」は、ギリシャ語で「少ない」という意味で、オリゴ糖は「少糖類」とも呼ばれます。

オリゴ糖の特徴は、私たちが体内にもっている消化酵素では消化されにくく、吸収されにくいこと。そのため、そのまま大腸に届いて、腸内細菌のなかでも善玉菌のエサになりやすいのです。

じつは、大豆には「大豆オリゴ糖」というオリゴ糖の一種が含まれています。ほかにも、玉ねぎやゴボウ、アスパラガスといった野菜には「フラクオリゴ糖」が、牛乳には「ガラクトオリゴ糖」が含まれています。

■自然界の希少糖に注目

そのほか、「希少糖(レアシュガー)」と呼ばれる糖もあります。名前のとおり希少な、自然界での存在量が少ない単糖や糖アルコール(糖質の一種です)のこと。

自然界に最も多く存在している単糖類がブドウ糖で、果糖やガラクトースなども自然界にたくさん存在していますが、そのほかにも、数は少ないものの自然界に存在している単糖や糖アルコールが50種類以上あるそうです。

こうした希少糖のなかには、体内で吸収されたあと、私たちの体にとってありがたい作用を行ってくれるものもあり、今、注目されています。

身近なところでは、ガムなどですっかりおなじみとなった「キシリトール」も、希少糖(糖アルコール)のひとつです。虫歯予防効果があることが認められ、今ではいろいろな種類のガムに使われていますよね。

ほかにも、砂糖よりも血糖上昇作用が弱い希少糖もあり、そうした希少糖を使った甘味料がすでに商品化されています。

ドーナツを円グラフにした成分表
写真=iStock.com/sefa ozel
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/sefa ozel

■糖質は質も大事だが、量はもっと大事

ブドウ糖や果糖はどちらも単糖類ですが、ブドウ糖は血糖値を上げやすく、果糖は血糖値こそあまり上げないものの脂肪になりやすい。

砂糖には大きく2種類があって、黒糖、きび糖などの含蜜糖は、ミネラルなどの栄養素が残っているけれど、精製された一般的な白砂糖はショ糖の純度が高く(グラニュー糖は99%以上)、ほかの栄養素はほとんど含まれていない。

人工甘味料は、血糖値はあまり上げないものの、最終的にはインスリンの分泌が増えてしまう。そのほかに血糖値の上昇作用を抑えられる希少糖というものもある。

このように、それぞれに特徴があります。ただ、どれも糖質ですから、摂り過ぎると血糖値を上げる、太るということは同じです。

■ごはん(白米)を半分にしてもやせない理由

ときおり、こんな患者さんがいらっしゃいます。

「ごはんは半分にして、食事は糖質を少なめにしています!」

自信たっぷりにおっしゃるのに、血糖値は高いままなので、よくよく話を聞いてみると、おやつ代わりに黒糖をポリポリと食べている、など。

「黒糖はミネラルが豊富だから体にいいんですよね?」なんておっしゃるのですが、黒糖に含まれているミネラルは「砂糖のなかでは豊富」というだけです。このことはハチミツにもいえます。

ミネラルを摂ろうと思ったら、青汁や野菜ジュースを1本飲んだほうがよっぽどいいですよね。ただし、砂糖や果糖、ブドウ糖といった糖類が含まれていないものですが。

■結局は「摂りすぎ」がいちばんの理由

ちなみに塩選びも同じで、「ミネラルが入っているから天然の塩のほうがいい」とよく言われますよね。医師や栄養士のなかにも「ナトリウムを排出するカリウムが含まれているから、天然塩のほうが血圧を上げにくい」なんて、したり顔で言う人もいます。

池谷敏郎『代謝がすべて』角川新書
池谷敏郎『代謝がすべて』角川新書

たしかに天然塩と精製塩で比べると、精製塩は純度が高くて塩化ナトリウム以外の栄養素はほとんど含まれていません。でも、塩をそのまま舐めるわけではありませんよね。

料理に使うわけで、野菜や肉・魚など、ほとんどの食品にはカリウムが入っています。わざわざ塩で摂る必要はないのです。そもそも天然塩にしても、その中に含まれるカリウムが塩分をすべて排出してくれるわけではないので、結局のところ血圧は上がります。

糖質に話を戻すと、ミネラルが含まれている黒糖やハチミツにしても糖質を摂っていることには変わりありませんから、摂り過ぎたら太ります。ましてや、どちらも脂肪になりやすい果糖が含まれているのです。

また、血糖値の上昇作用が弱いといわれる希少糖だって、血糖値をまったく上げないわけではありません。砂糖に比べると穏やかに上げるというだけ。ですから、それぞれの特徴を知って選ぶことも大事ですが、それ以上に、結局は摂り過ぎないことが肝心です。

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池谷 敏郎(いけたに・としろう)
池谷医院院長、医学博士
1962年、東京都生まれ。東京医科大学医学部卒業後、同大学病院第二内科に入局。97年、医療法人社団池谷医院理事長兼院長に就任。専門は内科、循環器科。現在も臨床現場に立つ。生活習慣病、血管・心臓などの循環器系のエキスパートとして、数々のテレビ出演、雑誌・新聞への寄稿、講演など多方面で活躍中。東京医科大学循環器内科客員講師、日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会認定循環器専門医。著書に『50歳を過ぎても体脂肪率10%の名医が教える 内臓脂肪を落とす最強メソッド』(東洋経済新報社)、『「末梢血管」を鍛えると、血圧がみるみる下がる!』(三笠書房)、『血管を強くして突然死を防ぐ!』(PHP文庫)などがある。

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(池谷医院院長、医学博士 池谷 敏郎)

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