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「大企業ほど本気でヤバい」コロナ後に企業の明暗を分ける10のリトマス試験紙

プレジデントオンライン / 2020年10月12日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ojogabonitoo

深刻化するコロナ不況を生き残るのはどんな企業か。教育評論家の石田勝紀さんは「新型コロナの影響では未来の前倒しが起きている。これからは昭和の古いおじさんたちが支配する企業は生き残れない。それは10項目のチェックで判断できる」という――。

■コロナ禍による「未来の前倒し」で生き残る人・企業の条件

新型コロナの影響により始まったテレワークやオンライン授業。そんなネットを介する仕事・学びが始まって半年が経過しました。コロナ以前から、AI(人工知能)の台頭により本格的に新しい時代が到来し、仕事も学びも変わるだろうと言われていました。でも、多くの人は「それはまだ少し先のこと」と思っていたのではないでしょうか。

突如やってきた新型コロナによって、世界は瞬間的に状況が一変しました。“未来の前倒し”が人々を混乱させています。

筆者はこれまで教育評論家として上場企業を中心に10年以上、毎年50~60回の企業研修を行ってきました。そこで気づいたのは、企業には大きく2種類あるということ。それは、昭和・平成から続く旧来型の経営をしている「20世紀型企業」と、オンライン全盛の時代を予測していたかのような経営の「21世紀型企業」です。

現在のような非常時に対して、対応できる企業とそうではない企業と言い換えてもいいでしょう。10年先には大きな差が明確になると思っていましたが、それがいきなり2020年にやってきたのです。

では、20世紀型と21世紀型ではどのような違いがあるのか、それぞれ次のようなキーワードを立てて10項目について説明していきます。

20世紀型企業と21世紀型企業の比較10項目

■昭和おじさんが支配「体育会系、学歴重視、反省バカ」な企業は没落か

単純化して言えば、2つの企業タイプはこんなイメージです。

20世紀型企業=昭和の古いおじさんたちが支配
21世紀型企業=女性や若者が前面で活躍し、昭和の古いおじさんたちが後ろでバックアップ

はじめに断っておきますが、私は20世紀型を全否定したいわけではありません。ただ、ちょっと古い。そのため、20世紀のキーワードに偏った経営をしている企業は、今後、問題を抱えるケースが少なくないだろう、と危惧しています。

書類に埋もれている人を助けるビジネスマンのイラスト
写真=iStock.com/siraanamwong
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/siraanamwong

■【あなたの勤務先は20世紀型か21世紀型か:判別リトマス試験紙】

1.20世紀型:論理×21世紀型:感性

ビジネスをする上で、論理も感性も必要ですが、最近のビジネスシーンでは、感性(アイデア)の重要度がより高まっています。論理はその感性を理屈としてしっかり組み立てるという意味で大切ですが、手順としては感性ファーストで、論理は後付けということになります。

しかし、これを勘違いし、初めから論理だけで思考すると、誤った道を選択しても気付かず、思わぬ結果を招くことになります。頭でっかちの論理思考優先型の企業で研修していると、いかにも話をうまくまとめているように聞こえるものの、中身はからっぽということがしばしばあります。感性を重視すれば、最初から「おかしい」と判断できることでも、論理優先型で思考すると正誤の判断すらできないことになります。

2.20世紀型:仕組みに合わせる×21世紀型:仕組みを作る

今後、比較的単純な労働は、今後AIやテクノロジーに代替されると予想されています。では、「人間」ができることは何か。それは既存の仕組みに合わせて仕事するのではなく、仕組みを新規に作ることです。それができる人間はますます重用されるに違いありません。

ところが、これまで日本の学校では、知識偏重の教育が主で、「考える教育」をあまり教えていませんでした。そのため、今、教育研修を実施して新しい仕組み作りができる人材の創出にエネルギーを注ぐ企業も増えてきました。筆者はそうした教育的投資に積極的な企業の伸びしろがより大きいように感じられます。

3.20世紀型:反省×21世紀型:振り返り

「反省」という言葉にはネガティブな印象が伴います。子供の頃、何かルール違反をして学校の先生から反省文提出を求められたような時に、半ばふてくされて「書けばいいんでしょ」と書くことが目的となり、実際は反省していないという経験をした方もいるかもしれません。

21世紀型では、「振り返り」という意識で臨みます。つまり、うまくいったことも、うまくいかなかったことも振り返るということです。その目的は「学び」です。学びは成功からも失敗からも得ることができるのです。

■上から下への命令で乗り切る、気合・根性・努力の20世紀型の限界

4.20世紀型:PDCA×21世紀型:即実行

P(計画)→D(実行)→C(評価)→A(改善)は、多くの企業やビジネスパーソンが実践している業務改善のモデルです。しかし、20世紀型のPDCAは、サイクルの回り方が遅い、そもそもPDCAが回っていない、といった根本的問題を抱えていることが多々あります。

筆者が研修で訪ねた中で業績が伸びている企業の共通点は、このサイクルの回り方がきわめて速いということ。特に序盤が速い。「面白い」となったら、「即実行」。もたもたしない。そして、加速力もあります。ベンチャー企業でこのサイクルを採用していることが多いです。事業が軌道に乗った後は、通常のPDCAの4ステップへ移行しますが、そのサイクルも20世紀型と違って、すこぶる速い。意思決定、実行が常に「即」行われるのが特徴です。

嵐の海で灯台の明かりを頼りにするビジネスマンのイラスト
写真=iStock.com/retrorocket
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/retrorocket
5.20世紀型:知識の獲得×21世紀型:知識の活用

新しい知識を獲得する目的のひとつは、その知識を活用して生産性を上げることでしょう。しかし、例えば、資格を取ることや研修を受けることで終わってしまう人が少なくありません。これも、受け身が基本の学校教育の弊害のひとつかもしれません。21世紀型経営の人たちは、はじめに「何をしたいか」があり、そのために「知識を獲得」します。

6.20世紀型:ピラミッド型組織と×21世紀型:ネットワーク型・コミュニケーション型

いわゆるピラミッド型組織は、これまで企業の基本型となってきました。この組織が機能するためには、指揮命令系統が明確で、上からの指示を部下がしっかり理解し、忠実にこなすことが最大のミッションです。そのため、自分の頭を使わず上からの指示を待つだけの社員も量産しました。

21世紀型企業も、表面的にはピラミッド型で一定の指揮系統は維持されますが、その中身はよりフレキシブルなプロジェクト型、ネットワーク型となっています。このタイプの組織の特徴は、上下関係よりもフラットな人間関係で動くことにあります。プロジェクトリーダーはいますが、あとはスタッフの役割分担と協調性・連携によって支えられています。自立して自分の頭で考える社員である必要があり、当然、指示待ち人間には務まりません。

7.20世紀型:気合・根性・努力×21世紀型:楽しい・面白い・ワクワク

「気合・根性・努力」型のメンタルは20世紀型というより、昭和型と呼ぶべきものかもしれません。2019年の総務省の統計によれば昭和生まれは人口の4分の3を占めているので、「自分はこれだ」という方も少なくないでしょう。もちろん、気合・根性・努力は悪いことではありません。しかし、21世紀型では、それに加え、「楽しい、面白い、ワクワク」の要素を取り入れています。

2015年に筆者がアイルランドにある、グーグルのヨーロッパ本社に訪問した際、社内見学をさせてもらい、社員に同社の企業活動をプレゼンテーションしてもらいました。「ワクワクを創出している企業」という印象を強く持ちました。社内は「クリエーティブでワクワク」という空気で満たされていました。嫌々ではなく、楽しくてしかたない仕事。デスクだけが並んでいる殺風景なオフィスとは全く異なります。

■良くも悪くも従来の「日本の教育システム」が色濃く出た20世紀型

8.20世紀型:受信型×21世紀型:発信型

これまでの時代は、「受信型」でした。例えば、新聞やテレビによる一方通行型の情報収集が基本でしたが、現在はSNSはじめ双方向型の情報のやりとりが主流になりました。受信型は情報を吸収しやすい長所がある一方、短所は思考停止状態になりがちなことです。

学校の授業を思い出してください。一方通行型の講義形式では、意欲があり問題意識を持っている生徒にとっては意味がありますが、そうではない人にとっては、退屈なだけです。21世紀型企業では、受信型ではなく、発信型。例えば、部下は上司の情報を一方的に受け取るだけではなく、自らも上司に発信をしてコミュニケーションをとっているのです。

9.20世紀型:偏差値・学歴型×21世紀型:価値観型

偏差値や学歴を重視する企業や職業があります。例えば、医者です。医学部へ進学する必要があり、そのためにはかなりの勉強量を必要とします。ただ、一般企業において、今後も偏差値や学歴を重視すべきかどうかには疑問符がつきます。

筆者が研修してきた21世紀型の企業では、偏差値・学歴よりも価値観を重視した採用活動をしています。価値観が企業の価値観を合うかどうか。それを見極め、自社に適した人材を採用するのです。社員は「自分のやりたいことがこの会社できるのか?」という視点を持っており、企業側は「この人のやりたいこととわが社が目指すことは同じなのか?」という視点を持っています。偏差値が高いから、学歴がいいからという理由だけで採用したものの、あとでミスマッチに気づき、双方が嫌な思いする「悲劇」は、時間的・金銭的なロスでしかありません。

多くの黒い傘の中に一つだけ黄色い傘
写真=iStock.com/Filograph
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Filograph
10.20世紀型:スキル重視×21世紀型:デザイン重視

海外の大企業では近年、MBA(経営学修士号)よりもMFA(美術学修士号)取得者を積極的に採用しています。その背景にあるもの。それは、経営も“デザイン”が重要で、ロジックを組み立てるだけ、スキルを寄せ集めただけでは、もはや経営が難しくなってきているということ。これが21世紀型企業に見られる特徴のひとつです。

以上、20世紀型企業と21世紀型企業のキーワードを中心にまとめてきました。これらをご覧いただければわかると思いますが、20世紀型は、これまでの日本の教育システムが色濃く反映されたものです。したがって、そのような教育を受けてきた人が、急に訪れた21世紀の新しい流れに適応できないのも無理はないかもしれません。

しかし、できないというのではなく、「新しいキーワードを取り入れてやってみよう」という試みが重要でしょう。企業の規模が大きいほどかじ取りを変更することは難しいですが、難しいと言い訳めいたこと言っている場合ではなくなってきました。

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石田 勝紀(いしだ・かつのり)
教育評論家 都留文科大学特任教授
1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。3500人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。「心の状態を高め」「生活習慣を整え」「考えさせる」の3つを柱に、学力上昇のみならず、社会に出ても活用できるスキルとマインドを習得させてきた。現在は特に、「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士(東京大学)。著書に『はじめての子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』『子どもの自己肯定感が高まる魔法のことば』ほか多数。講演、執筆相談はこちらから。公式サイト/公式ブログ/Facebook

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(教育評論家 都留文科大学特任教授 石田 勝紀)

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