「上から目線で、話し方がきつい」そんな私の印象が激変した"たった2つのコツ"
プレジデントオンライン / 2021年1月2日 11時15分
※本稿は、犬塚壮志『人気NO.1予備校講師が実践! 「また会いたい」と思われる話し方』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。
■「次に自分が何を話すか」ばかり考えていた
中1の頃の私は、まさに反面教師でした。どちらかといえば、「人が離れていく」理由に鈍感だった私が、「また会いたい」と思われることの重要性を痛感させられたのは、前職の予備校講師時代でした。
人前で話をする仕事を始めてから、もう20年近くがたちます。ただ、いまだに人見知りは直りませんし、初対面の人と会うときは緊張します。好きな話題になるとつい熱中し、「話しすぎてしまった」「ちゃんと伝わったかな……?」「退屈させてしまったかも……」と反省することもしばしばです。
そんなとき思い出すのが、中1の同級生たちとのやりとりでしくじったことであり、それを反省したことです。当時の私は自分の話し方に何の問題があるのか、原因もわからず、何をどうしていいのかわかりませんでした。
中1の私は、典型的な失敗をいくつも犯していました。なかでも最も深刻なのは、相手から好かれようと思うあまり、自分だけにしか焦点を当てていなかったことです。話を聞いてくれる相手を知ろうとせず、相手の話をろくに聞かないで、相手が話しているあいだ中、「次に自分が何を話すか」ばかり考えていたのです。
■「どう話そうか」ばかり考えると失敗する
たとえば、中1の私はテスト勉強をしている同級生から「この問題わかる?」と聞かれたら、真っ先に「どう答えを教えようか」と考え、「どう話そうか」「解ける自分をどうアピールしようか」と自分が話す内容ばかりにフォーカスしていました。
でも、その結果、「おまえさ、話し方がきついんだよ」「押し付けがましいし、上から目線だし」と同級生から思われてしまっていたのです。冷静になって考えると、自分の不甲斐なさに落胆しますが、コミュニケーションがうまくいくはずはありませんね。
コミュニケーションは、自分のことだけ考えるものでも、相手のことだけを考えるものでもなく、両者の間に存在する「関係性」を同時に考えなければ成立しません。自分のことだけ考えてコミュニケーションを取ろうとしていた私から周囲の人がどんどん離れていってしまったのは、考えれば当然のことだったのです。もちろん、「また会いたい」と思ってもらえるはずもありません。
■「関係性の把握」が会話には不可欠だ
相手が自分のことをどう認知しているか、そして、自分と相手の間にできあがっている関係性を把握しながら話さないと、相手の心を動かすことは不可能です。幸い中1のころの私には、本音で厳しいフィードバックの嵐を浴びせてくれる数少ない同級生がいました。おかげで、その体験を糧にし、人前で話すことで評価される仕事(予備校講師)に就くこともできました。そして、予備校講師になってからは、関係性を重視した「話し方」の改善を繰り返し、話し方を自らの武器にできるまでになりました。
■「また会いたい」と思ってもらえる2つのコツ
とはいえ、あなたは「他人と良好な関係を築くのは簡単なことではない……」と思うかもしれません。たしかに、「あの人を信頼している」と言われるまでの関係性をつくるには、数カ月、数年と良好な関係を続け、一歩ずつ信頼を築き上げていく必要があるようなイメージがあります。
その認識は間違ってはいません。しかし、例外はあります。あなたがこれまでコミュニケーションを取ってきた、たくさんの人たちとの出会いを思い返してみてください。「はじめまして!」とあいさつを交わしたその日の第一印象から、「あれ? この人とはなんか馬が合う」「何でも話せる感じがする」「信頼できる相手かも」と感じた人が何人かいたのではないでしょうか。
こうした印象を与える人には、共通点があります。それは持って生まれた人柄や人格ではなく、意識しながら実践していけば誰でも身につけられるものです。
その話し方のコツとは、次の2つを満たすことです。
●聞き手の心を動かすこと
●納得して行動してもらうこと
■「また会いたい」から始まる黄金サイクル
この2つの満たす話し方を意識するだけで、図表1のような好循環を生み出すことができます。
「また会いたい」と思われ(=関係性をつくり)、あなたを相談相手として選んでもらい(=関係性を深め)、さらに他の人を紹介してもらう(=関係性を広げる)。そんな黄金サイクルが回り、「また会いたい」と思われる関係性がさらに強化されていきます。聞き手から「また会いたい」と思われるだけでなく、さらに味方を増やすこともできるのです。
■「○○といえば、□□さん」と言われるようになる
ポイントは、関係性が生まれたら、その関係性を深めてから広げることです。深める前に広げるのではありません。関係性は深めてからでないと、広がりにくいのです。表面的な関係性を広げても、さらなる「また会いたい」には結びつかないのです。
この黄金サイクルができた結果として、「○○といえば、□□さん」ができあがります。○○にはテーマや分野が入り、□□には「あなたの名前」が入ります。
別の言い方をすると、これはあなたが「ブランド」になったということでもあります。「また会いたい」と思われる話し方を身につけることは、あなたをブランドにすることでもあるのです。
それは、ビジネスパーソンとして生存競争を生き抜くための武器であり、あなたの本来の価値を100%伝えるための技術でもあります。話し方さえ変えれば、あなたを取り巻く世界がどんどん変わっていくのです。
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教育コンテンツ・プロデューサー
福岡県久留米市生まれ。元駿台予備学校化学科講師。士教育代表取締役。大学在学中から受験指導に従事し、駿台予備学校の採用試験に25才で合格(当時、最年少)。駿台予備学校時代に開発したオリジナル講座は、3000人以上を動員する超人気講座となり、季節講習会の化学受講者数は予備校業界で日本一となった(映像講義除く)。2017年に社会人向けビジネスセミナーの開発や講座デザイン、テキスト作成などを請け負う事業を興す。企業向け研修講師としても登壇。現在は東京大学大学院で「認知科学」をベースとした研究も行う。主な著書に、『頭のいい説明は型で決まる』(PHP研究所)、『理系読書−読書効率を最大化する超合理化サイクル』(ダイヤモンド社)などがある。
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(教育コンテンツ・プロデューサー 犬塚 壮志)
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