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フィードバックで部下を絶対に褒めてはいけない…メンバーの本音を引き出しやる気を高める"魔法の言葉"

プレジデントオンライン / 2024年4月26日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

一流のリーダーは相手のモチベーションを高めるために、どんな声掛けをしているか。人材育成・組織風土改革コンサルタントの園部浩司さんは「『褒める』とは、上の立場から下の立場の人に向かって『相手を評価する』というニュアンスが含まれ、一度褒められた相手は次に褒められなかったときに不満を持つようになる。リーダーは、メンバーと対等な目線で『I=私は……と思う・考える』という『アイメッセージ』を用いて自分の思ったことをきちんと伝えるのがいい」という――。

※本稿は、園部浩司『変化をもたらすリーダーは何をしているのか?』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

■時間がないリーダーにこそ、1on1は有効

1on1は、今では導入している企業も多いですが、上からの指示だからはじまって形だけ残り、あまり意味のない1on1を繰り返している場合も多いようです。

リーダーは多忙ですから、メンバーが多い場合、一人ひとりに時間を使うことに負担を感じている人も多いと思います。

しかし、ここまででも述べてきたように、変化をもたらす効果的な1on1を心がければ、費やした時間と労力以上のメリットがあるものです。

1on1を重ねていくと、メンバーは課題を幅広く挙げてくれるようになります。

たとえば、自身の仕事はある程度順調に進められていて、今週は特に気になることがなかったとしても、職場全体を見て「ペーパーレスが進んでいないのが気になります」「組織が縦割りになってしまっていて情報の共有ができていないのが気になります」というようなことが挙がってきたりします。

また、いろんなメンバーからさまざまな話を聞くことになるので、職場全体の情報が自然と集まってくるようになります。そうした中で、同じ課題を複数のメンバーが挙げてきたようであれば、

「それは○○さんも気になることとして挙げていたよ。○○さんとペアになって担当してくれるかな。最初だけ私がセッティングするから」

という具合に、新たな課題解決へと結びつけていくことも可能です。

繰り返しになりますが、メンバーに自己決定感を持ってもらいモチベーションを高め、成長も促す。効率的に進捗確認、問題解決、関係性の構築を行う。

それだけにとどまらず、リーダーが思ってもみない課題を発見し、解決に導く結果が出てくるのも、この1on1のメリットです。

■経験を重ねて質問をブラッシュアップ

1on1のコミュニケーションでは、どういう質問を出して、いかにメンバーの話を引き出せるかがポイントになります。

私自身は、本を読んだり、スクールへ通うなど、1on1について勉強をした上で、実際に1on1でどんな質問が適切かを試し、今のスタイルにたどり着きました。

・気軽に何でも話をしやすくする、
「今、気になってること、ある?」
・メンバーの気持ちを盛り上げて、話を引き出す
「いいねいいね、いっぱいあるね。やりがいあるね」
・状態を可視化する、
「今の状態は10点満点で何点?」

を紹介しましたが、ただこの言葉を使いさせすれば、うまくいくとは限りません。

同じ言葉、同じ質問をメンバーに投げかけるとしても、表情、声のトーン、言い回しの軽快さ、身ぶりや手ぶりなど、いろいろな要素を総動員してメンバーが話しやすい雰囲気をつくっていきます。

もしスピーディーに自分の1on1スタイルを確立させたいのであれば、本書でビジネス書の読み方をご紹介したように、1on1に関する本を、何冊も読んでみることです。

私も1on1に関する本を、たくさん読みました。

中でも、私に最もインパクトを与え、一番勉強になった本として、『ヤフーの1on1 部下を成長させるコミュニケーションの技法』(本間浩輔/ダイヤモンド社)をご紹介しておきましょう。

そして、実際に1on1で試しながら、メンバーがどんな反応を示すか、表情がどのように変わっていくのかなどをよく観察し、反応を確かめることを繰り返してみましょう。

上司に報告する女性社員
写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maroke

■本音を引き出し、モチベーションを上げる魔法のコトバ

週ごとに目標をクリアしているメンバーへのフィードバックは?

リーダーが感じたことを素直に、笑顔でフィードバックします。

日本の企業ではとかく「目標は達成して当たり前」「いちいち言わなくてもわかるだろう」と考えがちですが、言葉にしなければ伝わりません。

「いいね」「すごく良かったよ」というシンプルな言葉で表現したり、「ありがとう」と感謝を言葉にしたりします。

また、「○○さんが喜んでいたよ」「助かったよ」と実際に誰かの役に立ったということを伝えたり、「目標をクリアしたね、おめでとう」と賞賛することも、メンバーのモチベーションを上げてくれます。

特に目標を達成したタイミングでなくても、日頃から「字がきれいで読みやすいよ」「すごくいい質問をしてくれてありがとう」など、小さなこと、当たり前だと思われることでも、良いところを見つけたら、その場でフィードバックしましょう。

■フィードバックは、「褒めない」が重要

「フィードバックの際には、メンバーを褒めよう」と書いてあるビジネス書がたくさんあります。しかし私は、笑顔で、ポジティブな言葉を使ってフィードバックを行うと考えていて、「褒める」という感覚はありません。

あなたは「褒める」という言葉から、どのような印象を受けるでしょうか。

「褒める」とは、国語辞典で調べてみると、もともと自分と同等か目下の人に対して使う言葉です。そのため、上の立場から下の立場の人に向かって「相手を評価する」というニュアンスが含まれます。

それは、リーダーとメンバーがフラットな関係でコミュニケーションを取ることを目指している私には、合わないと考えています。

もう1つ、「褒める」という感覚を持たない理由があります。誰かを一度褒めると、その相手は次から「もっともっと褒めてほしい」という気持ちを持つものです。

そしてその気持ちは、回を重ねるごとにエスカレートし、褒められなかった場合に不満を持つようになってしまいます。

しかし、メンバー一人ひとりに褒めてほしい人の褒めてほしいタイミングで褒め続けることはできません。

タブレットで会議をするビジネスマン
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

■「アイメッセージ」で、メンバーと対等な目線を

ですから、褒めるのではなく、あくまでポジティブフィードバックを行います。

ポジティブフィードバックは、アイメッセージになるように言葉を丁寧に選びます。

アイメッセージとは、「I=私は……と思う・考える」という形で、自分の意見を伝える会話の手法を指します。

つまり、アイメッセージになるように慎重に言葉を選ぶとは、たとえば「こういう成果が出たのは、あなたが努力したからだと(私は)思います」「あなたが頑張ったから、他のメンバーにもそれが響いて、協力してくれたと(私は)感じています」という表現を使うことです。

このように自分自身が思ったこと、感じたことを丁寧にメンバーに伝えるようにしています。

「アイメッセージ」を意識することで、リーダーとメンバーの関係は、上下の関係ではなく、フラットな横並びの関係になるというメリットがあります。

リーダーは、メンバーと対等な目線で、自分の思ったことをきちんと伝えるのがいいと私は考えています。

■自分の良いところが分かれば、モチベーションも高まる

メンバーがプレゼンテーションの練習を行う場面でも、同様です。プレゼンテーションが終わったタイミングで、他のメンバーがフィードバックを行う時間を作る際には、皆にこのように声をかけます。

「皆で、○○さんに、ポジティブフィードバックをしましょう」。それは、「○○さんのプレゼンテーションで良かったところを、皆挙げてくださいね」という意味です。

園部浩司『変化をもたらすリーダーは何をしているのか?』(フォレスト出版)
園部浩司『変化をもたらすリーダーは何をしているのか?』(フォレスト出版)

また、もし何かを指摘する場合は、「○○がちょっと気になるかな」といった言い回しをします。他のメンバーにコメントを求めるときも「気になる点があれば教えてください」と伝えます。

メンバー一人ひとりに、その人の良いところを伝えるのはとても大切です。良いところがわかれば、その人のモチベーションが高まるからです。メンバーに対しては、ポジティブフィードバックを心がけるようにしましょう。

人のできていないところ、悪いところは目につきやすく、ダメ出ししたくなる気持ちはわかります。もちろん指摘することも大事です。

しかし繰り返しになりますが、それ以上に人の良いところに着目し、ポジティブフィードバックをしてあげてほしいです。

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園部 浩司(そのべ・こうじ)
人材育成・組織風土改革コンサルタント、研修講師、プロファシリテーター
横浜市出身。1991年、NECマネジメントパートナーに入社。経理部に配属され、その後、事業計画部へ異動し36歳でマネージャーに昇格。「メンバーの育成」と「成果」の2軸にフォーカスするチームマネジメントを行い、300名在籍の組織変革プロジェクトリーダーをつとめ、1年間で約2億円の営業利益の改善に導く。業務改革推進本部では、最年少部長に抜擢。2016年に独立し、人材育成や組織改革、風土改革のコンサルティングを行う「園部牧場」を設立。ベンチャーから大手企業までのチームプロジェクトを仕切るほか、年間2500人以上のチームリーダーやファシリテーターの育成に携わる。営業活動はSNSなどを一切使わず口コミのみ。指導した人数は、延べ2万人を超える。著書に、『ゼロから学べる! ファシリテーション超技術』(かんき出版)がある。

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(人材育成・組織風土改革コンサルタント、研修講師、プロファシリテーター 園部 浩司)

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