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東大卒催眠術師「誰でもできる催眠術のススメ」

プレジデントオンライン / 2021年3月16日 9時15分

漆原正貴氏

■人間の心理と認知をハックする

あなたはだんだん眠くなる……。催眠術師に操られ、超常的な体験をする。自身も「半信半疑で催眠術と出合った」と語る漆原正貴氏。東京大学大学院で認知科学を修めた同氏の著書は、催眠術の怪しげな印象を覆す、科学的な根拠に根ざした入門書だ。

「催眠は単なる思い込みではなく、生理的な指標までも変化します」。体が温かくなる催眠をかけるとサーモグラフィでわかるほど体温が上がり、心を落ち着ける催眠をかけると心拍数が下がる。医療現場の緩和ケアやスポーツ選手のメンタルトレーニングにも応用されているという。

催眠は日常生活やビジネスシーンでも活用できる。自分に催眠をかければ、集中力を高めたり緊張をほぐしたりと、メンタルを望む状態に近づけられるそうだ。

催眠のかけ方を学ぶことで、コミュニケーションや商談のスキル向上も期待できる。

「催眠術は短い時間で信頼関係を築き、ハードルの高い要求を叶えてもらうための技術です。普通は、赤の他人に心や体の自由を委ねるなんて嫌なはずですよね。それで、相手に気持ちよく話を聞いてもらいながら要求を通すことができるのです」

■人間心理を操るテクニックが満載

催眠術の台本(スクリプト)には人間心理を操るテクニックが満載だ。例えば本書で紹介している「ものを好きにさせる催眠」は、2~3人に1人がかかる成功率の高い催眠術だ。対象物を魅力的に描写し、催眠にかかる側に“これはあなたにぴったりだ”と伝えて独占欲を煽る。すると、何の変哲もないペットボトルにも愛着が湧いて手放せなくなる。

漆原正貴『はじめての催眠術』(講談社現代新書)
漆原正貴『はじめての催眠術』(講談社現代新書)

「この催眠には、欲望をくすぐるプレゼンテーションのコツが詰まっています。本書に掲載したスクリプトは、私が実際に使っているもの。そのまま読み上げるだけでも成功率は高いはずですよ」

このように、催眠術は意外にも習得しやすく成功率が高い。だからこそ、漆原氏は催眠の仕組みやリスクを伝える書籍づくりにこだわった。

「セールストークや演説など、催眠術に用いられる“暗示”のテクニックは日常に溢れています。人間の認知は変わりやすく、暗示によってものごとを信じているときの脳は真実と嘘を区別できません。極端なことを言えば、陰謀論でさえ、信じる人にとっては真実なのです」。しかも、催眠のかかりやすさは、知能や騙されやすさとは関係ないという。

「人間の心理や認知をハックする動きに抵抗する武器は知識しかありません」。日常を快適に過ごすだけでなく、自分の身を守り、相互理解を深めるヒントとしても、1度催眠術の世界を覗いてみては。

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漆原正貴
1990年、神奈川県生まれ。東京大学教養学部卒業。東京大学大学院総合文化研究科修了。手品や催眠の認知科学を研究。大学院在学中にスマートニュースに入社し、現在は出版社に勤務しながら催眠術師としても活動している。

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(中山 明子 撮影=塩川雄也)

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