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「だからプロはビットコインには手を出さない」負けない投資家が選ぶ金融商品の絶対条件

プレジデントオンライン / 2022年2月5日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/PonyWang

個人の資産作りでは何に投資すればいいのか。『東大生が学んでいる一生役立つ「株」の教科書』(SBクリエイティブ)を出した伊藤潤一さんは「投資先選びでは『これからどれだけ上がるのか』を判断できる根拠が重要だ。その意味でビットコインなどの暗号資産はおすすめできない」という――。

■初心者が絶対に手を出してはいけない投資先

プロの投資家と、個人の投資家が違うのは、プロの投資家は、顧客からお金を預かって運用しているため、間違いが許されないというところにある。

したがって「これからどれだけ上がるのか」が判断できる指標や根拠がなければ、プロは投資をしない。

数ある金融商品も、その視点で考えていくと、わかりやすいのではないかと思う。まずは外国為替投資(FX)から見ていこう。

【①外国為替投資・FX】

プロの目から見て、「まあ、これには投資しないだろうな」というのは、外国為替とFX。外国為替は、他の国の通貨を買うこと。たとえば1ドル100円の時にドルを買って、1ドルが120円の時にドルを売って、差額で利益を得る、という投資だ。

なかでもFXは、外国為替取引の中でも、自分の資金を証拠金として金融機関に預けることで、自己資金より多額の資金で運用し、より多くの利益を出そうとする商品。ただし、額が大きい分損失も大きくなることに注意が必要だ。

FXは自分が持っている資金以上の大きな額で運用できるため、個人の間で人気を集めているけれども、自分だったら投資はしない。

先ほど説明した通り、投資は、これから価値が高まりそうなものに投資して、その差を利益にする、というのが基本的な考え方だ。だから、ちゃんと本質的な価値が計算できて、明らかに割高となれば自然と売りが出てくるし、割安となれば自然と買いが出てくる。

でも、外国為替の場合、なぜそれが「100円なのか」については明確に説明ができない。

外国為替取引は、物価などの指標を見れば長期的に今後上がるか下がるかはわかるのかもしれないけれど、短期的には需給や金利動向によって価格が変動するので、再現性高くリターンを上げるのが難しいのだ。

価値の見積もり方がわからないものには投資しないほうがいいという考え方だ。

■プロ投資家の視点……本質的な価値を計算できるのか

【②コモディティ(金・プラチナなど)】

コモディティは、金とかプラチナなど、現物を取引の対象とするもの。先物取引と言われることもある。「金投資」は聞いたことがある人も多いだろう。

投資の対象は幅広く、貴金属や原油、天然ガスなどのエネルギー、アルミニウムやゴムなどの工業品、それ以外にはオレンジジュースとか豚肉、米、大豆、小豆、小麦といった食糧品がある。これらの先物取引が米国などでは活発に行なわれているのだけど、たとえば「米の本質的な価値を計算しろ」なんて言われても、誰もできない。

これも「価値」の見積もり方がわからないのでおすすめできない。

【③暗号資産】

判断が難しいのは、暗号資産。

仮想通貨のアプリとコインイメージ
写真=iStock.com/Chinnapong
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Chinnapong

まず、基本的にはビットコインなどの暗号資産は、価格変動があまりにも大きすぎて、安心して持ち続けられない。ビットコインの価格を振り返ると、2021年4月14日に1BTC=700万円台に達したところから急落して、5月15日の安値が323万円まで下がった。たったの1カ月で半値近くまで値下がりするのだから、非常にストレスのある投資になる。

若い人たちでビットコインやイーサリアムなどの暗号資産を買って、大きく儲けたという話も聞くが、暗号資産も理論的に計算できる本質的な価値というものが今はわからない。

本質的な価値が計算できないと、値下がりが続いた時は「もっと下がるんじゃないか」となって、いつまで経っても買いが出てこないし、値上がりが続くと「上がるから買う、買うから上がる」の無限ループになり、とことん値上がりしてしまう。

とてもじゃないけれども、人様のお金を預かって、この手のものに投資するわけにはいかない。

大化けする可能性はあるけれど、今のところは「わからない」としか言いようがない。

■不動産の不透明さ、銀行の低すぎる金利……

【④不動産投資】

不動産投資は、価値は計算できるのだけど、個人にはおすすめしない。不動産は相対取引といって、物件の売り手と買い手がお互いに条件を出し合って、一対一で売買を成立させているのだけど、それだけにクローズドな部分がある。

たとえば株式の場合は取引所を介して売買するので、価格に透明性があるけれど、不動産はそこが今ひとつ不透明だ。

それに現物の不動産になると、投資するのに多額の資金が必要になるし、買ってしまったらいつでも簡単に売却できるものではない。

建物を誰かに貸しだして家賃収入を得れば、おそらく債券や預金よりも高い利回りは期待できるが、修繕費などの負担も考えると、トータルで見たらそう良い利回りではないかもしれない。

【⑤銀行預金】

預金は一定金額までの元本が保証されている反面、金利がめちゃくちゃ低い。特に今はひどいもので、メガバンクの定期預金などは預入期間や、預入金額の多寡に関係なく、年0.002%程度。たとえば100万円を10年間預けたとしても、返ってくる利息は200円。

しかも、そこから20.315%が源泉課税されるので、実質的に得られる手取りの利息は160円程度。いつでも現金化できるのはメリットの1つだけれども、これでは運用していることにならないし、FIRE達成なんて夢のまた夢だ。

■投資は債権、投資信託から

【〈プロが勧める金融商品①〉債券】

国や地方公共団体、企業が借り入れる目的で発行するものであるため、その企業が破綻しない限り元本が戻ってくるのが特徴。株は元本が戻ってくる保証がないから、その意味で株より安心かもしれない。

ただし、たとえば現在の10年物国債の利回りは、SBI証券で扱っているものを見ると、この5年間でマイナス0.2%からプラス0.2%。そこから税金も引かれるから、そんなに魅力的なものではないと思う。

【〈プロが勧める金融商品②〉投資信託】

投資信託は、投資家から集めたお金を、運用会社のファンドマネジャーなどがまとめて株式や債券などに投資するもの。

自分で銘柄を発掘して投資するのではなく、銘柄選びをプロに任せて運用してもらえるし、株や債券などいくつかの商品に分散投資して、リスクを分散しやすいところが強みだ。

企業の成長グラフイメージ
写真=iStock.com/spxChrome
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/spxChrome

最近は「つみたてNISA」や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」などの非課税制度を利用して、投資信託の積立投資を行なっている個人も増えている。

「つみたてNISA」や「iDeCo」は国が長期投資を広めるために作った制度だから税制優遇もある。特に「つみたてNISA」は金融庁お墨付きのファンドが前提になっているので、安心感はあるかもしれない。

■投資信託のデメリット

ただしデメリットとしては、①運用者と購入者の目的が違う、②手数料が高いといったことがあげられる。

①については、簡単に言えば、購入した人はできるだけお金を増やしたいけれど、運用者は、たとえばTOPIXをベンチマークにしているファンドであれば、とにかくTOPIXより成績が上がればいいということで運用するので、どうしてもずれが出てきてしまう。

伊藤潤一『東大生が学んでいる一生役立つ「株」の教科書』(SBクリエイティブ)
伊藤潤一『東大生が学んでいる一生役立つ「株」の教科書』(SBクリエイティブ)

たとえば、投資信託の運用担当者から「TOPIXは30%下がりましたけど、こちらのファンドは28%しか下がりませんでした」と言われても、「え、28%も下がったんでしょ?」と思わないだろうか?

②の手数料については、買う時には販売手数料、持っている時は信託報酬、解約する時には信託財産留保額というものがかかる。

現状は、「ノーロード」といって、販売手数料がかからないものもあるが、信託報酬は年率0.1~0.2%、信託財産留保額は0.2~0.3%程度必要になる。

だったら、自分で投資したいという人もいるのではないだろうか。

■消去法で“株式投資”が残る

【〈プロが勧める金融商品③〉株式】

株式は企業から見れば事業を行なうための資金を集めるために発行するものだ。投資家は、それを購入することで、経営に参画できたり、その企業の利益を分けてもらったり(配当金)することができる。

また値上がりした時に売ることで、差額の利益を得ることができる。元本は保証されないけれど、平均しても5~9%の利回りが期待できるといわれる。

このように消去法で考えていくと、個人でも比較的手軽に投資できる商品は、株式と債券、それらを組み合わせてパッケージ化した投資信託あたりに落ち着くのだけど、債券は超低金利でまったく収益面の魅力がない。

ということで、個人なら、投資信託か株式。ただし投資信託は信託報酬など手数料も高いので僕は株式を勧めたい。

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伊藤 潤一(いとう・じゅんいち)
クラウドワークス執行役員・CHRO(最高人事責任者)、東大金融研究会主宰
1993年東京大学卒業、旧三和銀行(三菱UFJ銀行)入行。その後、モルガン・スタンレー・アセット・マネジメント、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントを経て、2002年にヘッジファンドの世界へ。グローバル大手のミレニアム・キャピタル・マネジメントなどを経て現在はダイモン・キャピタル・マネジメント。一貫して日本株のロング/ショートのポートフォリオ・マネージャー。約20年間ヘッジファンド在籍は日本人では稀有。同時に、2019年12月に東大金融研究会というサークルを作り、この1年間で在籍数は900名を超える。2021年9月からクラウドワークス執行役員・CHRO(最高人事責任者)。著書に『東大生が学んでいる一生役立つ「株」の教科書』がある。

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(クラウドワークス執行役員・CHRO(最高人事責任者)、東大金融研究会主宰 伊藤 潤一)

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