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授業が理解できず高校を中退…そんな落ちこぼれを慶應義塾大学に連続合格させた裏ワザの中身

プレジデントオンライン / 2022年3月28日 11時15分

慶應義塾大学の湘南キャンパス(神奈川) - 写真=時事通信フォト

どんな落ちこぼれでも合格できる可能性のある慶應義塾大学の学部がある。ネット家庭教師「毎日学習会」代表で、『人間ぎらいのマーケティング 人と会わずに稼ぐ方法』を書いた林直人さんは「それは慶大の総合政策学部と環境情報学部だ。AO入試では一般的な学力だけが求められるわけではないため、没頭できる研究テーマを見つけることができれば、合格できる可能性はある。私の生徒も4期連続で高校中退・高専中退・通信制高校から合格している」という――。

■高校中退者が相次いで合格している慶應SFC

早稲田、慶應、上智……。これらの大学は、日本を代表する私立大学であり、その入試は推薦入試といえど困難を極める。

早稲田大学の人気学部ともなれば最高級難易度の英語資格であるTOEFLiBTで100近いスコア(スタンフォード大学やハーハード大学などに留学できるほどのスコア)を求められる。

また、慶應義塾大学では、法学部の推薦入試であるFIT入試でも、文学部の推薦入試である自主応募推薦入試でも、平均4以上という高い内申点を求められる。これは慶應を受ける生徒の多い進学校では、極めて高い基準だ。

そうしたなかにあって、ひときわ異彩を放つ推薦入試がある。それが、慶應義塾大学の総合政策学部と環境情報学部のAO入試である。この2つの学部は湘南藤沢キャンパスにあるため、SFCと呼ばれる。

SFCのAO入試では、内申点の制約がなく、出願に際して語学検定能力なども求められないため、いわゆる「落ちこぼれ」の生徒でも問題なく合格できることがある。

実際に、早慶上智の対策塾を経営している私のもとからも、2021年入学の夏AO、2021年入学の秋AO、2021年入学の春AO、2022年入学の夏秋AOと4期連続で高校中退・高専中退・通信制高校出身の慶應SFCのAO合格者を輩出した。なぜ慶應SFCのAO入試は、高校中退・高専中退・通信制高校出身でも合格できるのか?

ヒントとなるのが、合格者たちの提出した「応募書類」である。その内容を見ると、彼らが大学入学以前から、「自分は大学でどんな研究をしたいのか?」「自分の人生を賭けて没頭したいことはなにか?」をはっきり見据えていることがわかる。

それらは、私たちのような「AO対策塾」が得意とする受験対策のテーマではなく、彼らが心の底から人生を賭けて取り組みたいと考えているテーマである。

ここからは実際に慶應SFC AOで合格した生徒の事例を紹介したい。

■休学中に学んだプログラミングを活かし、SFCに合格

まず、紹介したいのは大学数学レベルまで勉強する高等専門学校の授業についていけずに留年し休学、そしてついには中退してしまったが、その後、高認(高卒認定試験、旧大検)を取得した上で慶應SFC AOに合格した生徒だ。

高専休学中に彼は自分の得意だったプログラミングを使った活動に取り組むことになったが、この経験が大きかったようだ。彼は次のように振り返っている。

「休学中には他学科の都市工学の研究室に迎え入れてもらい、機械学習を用いた歩行者動線分析の研究を行っていました。研究活動は勉強と違って大変おもしろくて、得意だったプログラミングを活かして熱中して取り組んでいました。

ソフトウェア会社のオフィスで働くプログラマ開発
写真=iStock.com/SARINYAPINNGAM
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/SARINYAPINNGAM

そんななか、SFCを見つけ「ここなら自由にやりたい研究ができる!」と思い、高卒認定を取って一般受験をしました。しかし直前まで研究ばかりしており、小論文対策をあまりしていなかったため当然落ちてしまいました。また、授業の内容が理解できないほど勉強についていけなかったこともあり、高専も中退してしまいました」

こうして一度は受験に失敗してしまうものの、SFCに入るという目標を捨てずに、その後、無事合格を果たしている。

■やりたいことを貫いた姿勢が合格に導いた

彼は高専を留年してからも「これだけはやりたい!」という分野については高専の教授陣の協力を得ながら徹底的に努力してきた。高専の教科の出来はともかくとして、このように自分のやりたいことについて徹底的に突き進むという姿勢が合格に導いたと言える。

彼の話で重要なのは以下の2点だ。

「教科の成績が悪くても、自分がやりたい勉強を明確にすること」
「自分の一生を懸ける研究を明確にした上で、その研究を徹底的に行うこと」

こうした点が、慶應SFCのAO合格ではとても重要になる。

■高校在学中からプログラミングに没頭

次に、持病で全日制高校への進学を断念したものの、通信制高校に入学し、無事慶應SFC AOに合格した生徒の事例も見ていきたい。

「私は中学時代に不登校を経験しており、全日制になじめる自信が無く、通信制の高校に通っていました。高校在学中は、もともと興味のあったプログラミングに熱中し、モバイルアプリケーションの開発やWeb制作などに没頭し、さらには技術力などを競うハッカソンに出場するなどして実績を積み上げてきました」

前述の生徒と同様に、この生徒も特定分野に「没頭」している。中学校時代には不登校になってしまったが、そして通信制高校での高校時代を経て、自分が没頭できるテーマを見つけることができたのがこの生徒の合格理由であるといえる。

■試験本番に短時間で小論文を仕上げなくてもいい

ただ、この生徒は通信制高校時代の実績があればAO入試で大学に入学できると思い、高校3年の現役時代はSFCではない他大学に出願するもあえなく撃沈。小論文と面接で思うように実力を発揮できなかったことが要因であった。SFCの一般入試にも挑戦するものの、こちらも不合格となってしまい、浪人生活に突入する。

「あるとき、知人から浪人生でもSFCのAOに出願できるという話を聞いて、環境情報学部を受験することを決めました。一般入試では短時間で小論文を書き上げなければいけないのですが、文章を書く能力がないことは自分でも分かっていたので、頭を抱えていたんです」

ここで一点ポイントがある。学校生活にいまいちなじめず、短時間で国語力の高い小論文の答案を仕上げることができなくても慶應SFCのAOには合格できるのだ。その理由の一つとしては、早慶上智その他AOと違い、「試験本番に小論文を仕上げる」という課題がないことがある。

■没頭できるものを見つけられたから、挫折を乗り越えられた

慶應SFCを一般入試で受験した場合、小論文はA4・10ページ以上の膨大な資料文を読みながら、1000字以上の膨大な小論文を書かなければならないことである。その負担がAO入試でなくなるのは受験生にとって大きなことだ。

だから、資料さえきれいに仕上げることができて面接を平常心でこなせれば問題なく合格できるし、何より資料を仕上げるための時間は十分与えられるのである。その後この生徒はさまざまな対策を練ったうえで無事、SFCに合格した。

「不登校の体験からどん底の人生の日々を過ごして来ましたが、研究やプログラミングなどの自分の好きなことで合格を勝ち取れたことで報われた気がしました」

この生徒も様々な挫折を乗り越えながら、それでも自分の好きなことに没頭した。私が見ている範囲では、高校中退や通信制高校から合格を勝ち取った生徒の共通点には、やはり「没頭」というキーワードがある。

■「没頭」は慶應へのパスポートになる

私も、様々な人の生き様を見ているなかで、やはり自分が「楽しいと思ったこと」に没頭できる人ほど幸せな人はいないとつくづく実感する。

林直人『人間ぎらいのマーケティング 人と会わずに稼ぐ方法』(実業之日本社)
林直人『人間ぎらいのマーケティング 人と会わずに稼ぐ方法』(実業之日本社)

たとえば、自分が人生を賭けてやりたいと思うテーマがあり、それに没頭するなかで様々な勉強の必要性に迫られてどんどん勉強していく受験生を見ると、自分自身とても励まされる。

また、そうした人生のテーマがなくとも、日々の勉強や仕事のなかに楽しさを見出し、何かに没頭して夢中になって人生を歩める人は幸せな人生を歩んでいるといえるだろう。

結局のところ、人生の幸せを決めるのは、どこの大学に合格するとか、どこの会社に入社するとか、そういう話ではない。自分が楽しく勉強し、楽しく仕事をし、楽しく生きることができることだけが、人生の幸せを決めるのだ。

紹介した生徒のように、一見、“落ちこぼれ”のようになってしまったひとでも、「没頭したいテーマ」さえ見つけられれば、慶應義塾大学に入れる可能性がある。「没頭」は慶應へのパスポートとなりうるのだ。

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林 直人(はやし・なおと)
「毎日学習会」代表
1991年宮城県生まれ。仙台第二高等学校出身。独学で慶應義塾大学環境情報学部に入学(一般入試・英語受験)。在学中に勉強アプリをつくり起業するも大失敗する。その後、毎日10分指導するネット家庭教師「毎日学習会」を設立し、現在に至る。毎年100人以上の生徒を指導し、早稲田・慶應・上智を中心に合格者を多数輩出している。著書に『人間ぎらいのマーケティング 人と会わずに稼ぐ方法』(実業之日本社)、『うつでも起業で生きていく』(河出書房新社)などがある。

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(「毎日学習会」代表 林 直人)

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