「むしろ米国株より日本株」年275万円の不労所得を稼ぐサラリーマン投資家が日本株にこだわる意外な理由
プレジデントオンライン / 2022年3月28日 12時15分
■日本株に投資を続ける5つの理由
ここ数年、好調が続いている米国株式市場へ投資する個人投資家が増えてきています。
私もブログやツイッターで「なぜ米国株へ投資をしないのですか」という質問をよくいただきます。私が、その投資先のほとんどを日本株としている理由が5つあります。
2.日本株の方が企業価値の観点から相対的に安く買える。
3.日本株の中にも、世界屈指の国際優良企業は存在し、選択肢は豊富にある。
4.グローバルに事業を展開している日本の国際優良企業へ投資することは、国際分散投資と同義であるという認識を持っている。
5.株主優待制度は個人投資家にとって圧倒的に有利な条件で投資できるため、これを活用しない手はないという認識を持っている。
ここで、1の「税制」について深く掘り下げていきましょう。
■課税率が低い…日本株が米国株より有利である理由
株式の売却益や配当金には、税が課されます。日本株については、売却益、配当金ともに20%が課税されます。
米国株では、売却益は日本株と同様に20%となりますが、配当は現地でも源泉徴収されるのです。具体的に考えてみます。仮に100円の配当金があるとしましょう。
日本株なら、80円が収入となります。一方、米国株の場合、まず米国で10%が源泉徴収されて90円となります。
次に、残った90円に対して、日本でさらに20%が源泉徴収されて、実際に手元に入るのは72円なのです。つまり、図表1で示したように、日本株だと20%なのに、米国株だと28%が、売却益・配当金に対して課税されることになるのです。
この税率の違いは、長期的なリターンに大きな影響を与えるため、無視することはできません。
また、最近ではFIRE(Financial Independence, Retire Early:経済的に自立して早期にリタイアすること)がブームとなっていますね。
もしも、リタイア後の生活費を配当金でカバーしようとお考えであれば、やはり日本株の方が圧倒的に有利です。なぜならば、日本株については「配当控除」という制度があり、一定の配当金額までなら、所得税の正味税率を「0%」とすることができるからです。
■330万円未満であれば、所得税の正味税率が0%に
どういうことか、説明しますね。
株で配当を得た場合、その額によっては、確定申告をする必要が出てくるかもしれません。その際に、総合課税を選択して確定申告をするのです。
すると、課税所得金額が330万円未満であれば、所得税の税率は10%なのですが、それと同時に配当控除も10%となり、所得税の正味税率が0%になります。
このメリットはとても大きいでしょう。
ここで具体的に、配当金にどの程度の課税がされているのかを見ていきましょう。たとえば、私の2021年の税引き前の配当額は275万円でした。
もしもこれがアメリカ株における配当額だったら、税引後は198万円となります。ですが、日本株の配当だったため、実際は223万円(NISA非課税額4万円を含む)となりました。
これはかなり大きな違いだといえるのではないでしょうか。日本株には、このように有利な税制を活用できるという魅力もあるのです。
■日本株ほど「ウマミ」のある投資先はない
さらに加えると、日本株は配当だけではなく、運用リターンも期待できます。一般的に株式のリターンは、幾何平均リターンと呼ばれる、配当再投資を前提とした「複利計算」で算出されます。
なぜかというと、配当を再投資せず、単に投資元本に対する各年のリターンの平均を求める(こちらは算術平均リターンと呼ばれる)だけでは、正確なトータルリターンを求めることができないためです。
私は2013年から年間リターンの記録をブログに残しています。
毎年のリターンにバラツキはあるものの、この間における日経平均株価の幾何平均リターンは、NYダウ平均株価のそれを上回っています。
これはつまり、2013年を起点とするならば、NYダウ平均へ投資をするよりも、日経平均へ投資をした方が、パフォーマンスに優れていたことを意味しているのです。
もちろん、事の成否をどの時点で判断するかによってその評価は分かれます。ですが、日本株が長期的な資産形成に寄与してくれていることに疑いの余地はありません。
以上のような観点から私は、長期配当投資を是としている個人投資家にとっては、日本株ほど魅力的な投資先はないと考えています。
■米国株ブームに安易に乗らないほうがいい
また、最近は米国株が好調であるがゆえに、このような見解を持っている投資家は少数派です。この事実さえも、将来のリターンを高めてくれるといえます。
どういうことなのか、疑問に思った方もいることでしょう。調子のいい米国株のように、多くの投資家が前のめりになって投資をしている状況では、その投資先は人気の高さから、その株価が適正な水準を超えていることがよくあります。
また、株価の上昇を見た新たな投資家が、「これは儲かりそうだ」と考えて、割高になっている株を買っていくことも、めずらしくありません。人気がさらなる人気を呼んでいる状態です。
しかし、株価は最後には適正な水準にまで下落していくもの。いえ、多くの場合、適正な水準からさらに売り込まれます。その結果として、人気のある時に高値で買った人の多くが損をしてしまうのです。
一方、誰もが無関心で人気がない投資先は、株価が本来の価値よりも下回っていることが多く、安く買うことができます。
こういった投資先の株価は、やがて適正な水準に戻っていくもの。その過程で株主は利益を得られるのです。
日本の資産バブルや米国のITバブルの絶頂期に、意気揚々と投資をしていた多くの投資家たち。その最後は悲劇で終わりました。それに対して、バブルが弾けて誰も買いたがらない時に株を買っていた少数の投資家は、その後、莫大なリターンを上げることができました。
歴史を振り返れば、株式市場で勝ってきたのは常に少数派なのです。
たしかに、米国株へ投資して実際にリターンを上げている個人投資家も多くいますが、最初から日本株という選択肢を外してしまうのは、あまりにもったいない。
とくにこれから投資を始める初心者の方には、日本株か米国株かどちらか一方だけというような考え方ではなく、選択肢を幅広く持ち、投資先の特性を理解した上で投資をおこなった方が後悔はないでしょう。
■「大切なのは、高くなりすぎている株は買わないこと」
株価が好調な時には色々な理由をつけて、それを正当化しようとするのが世の常です。
しかし、その本質的価値を大幅に超えて上昇した株価は、いずれ下落し、本来あるべき水準に落ち着くことがほとんど。1980年代に起こった日本の資産バブルの絶頂期においては、数字の上では「東京23区の地価でアメリカ全土の土地が買える」と言われていました。
当時の日本では、地価が上昇し続けるという「土地神話」が信じられており、振り返れば狂気としか思えない状況になっていたのです。
人間というものは、後から考えれば当たり前だと思えるようなことも、渦中にあっては気が付かないもの。
この本を執筆している現在、GAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)と呼ばれる米国の巨大IT企業5社の時価総額が、1000兆円を超えています。ちなみに、東証1部上場企業2200社弱の時価総額の合計は、800兆円に届きません。
数字の上では、米国の5社で日本の2200社が買えて、おつりが200兆円戻ってくることになります。過去にあった出来事とどこか似ていませんか。
大切なのは、高くなりすぎている株は買わないということ。そのような株を買わずとも、株式市場には無数の選択肢があるのです。
最後に注意を一つ。
現在の世界情勢は株価が乱高下しやすい相場です。
長期配当投資は、①長く保有すること、②長期にわたって積み立ていくこと、で勝率を高める投資法。なので、これから始める方は、株価の上がり下がりに一喜一憂せず、この2つを守って投資を行うようにしてください。
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「日本の配当株」専門の現役サラリーマン投資家
1977年、熊本県生まれ。2004年株式投資を開始。ハイリターン・一攫千金を求め新興市場にて個別銘柄の投資をするも、ライブドアショックで痛すぎる損失を経験。以降、大型株へ投資対象をシフトするが、リーマンショックで含み損が600万円にまで膨らむ。2009年、ポートフォリオを大型配当株メインにスイッチ。以降は安定的に資産を増やし、2021年の税引き後の手取り配当額は223万3199円と過去最高を更新。「どのような相場でも安定的に配当を受け取るには?」を日々模索。近年は、計18年の投資生活で磨いた技術やノウハウをTwitterやブログにて配信。著書に『オートモードで月に18.5万円が入ってくる「高配当」株投資』(KADOKAWA)がある。
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(「日本の配当株」専門の現役サラリーマン投資家 長期株式投資)
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