1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

メルカリで買った「過去の塾のテスト」を子供に解かせる…成績が伸び悩む子の親がしている"5つの勘違い"

プレジデントオンライン / 2023年6月16日 14時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/west

インターネット上には中学受験の情報があふれている。プロ家庭教師の西村則康さんは「成績が伸び悩んでいる子供の家庭には、いくつかの共通点がある。最近は、インターネットの間違った情報を鵜呑みにした親が、子供の足を引っ張るケースが目立つ」という――。

■ネットの間違った情報を鵜呑みにする親たち

中学受験の指導に携わるようになって、40年以上が経つ。これまでたくさんの親子を見てきて思うのは、成績が伸び悩んでいる子の家庭には、いくつかの共通点があることだ。特に近年は、良くも悪くもインターネットで簡単に受験情報が得られるようになったことで、間違った情報を鵜呑みにして、親が子供の足を引っ張るケースが目立つ。

そういう親たちの行動には、次の5つの勘違いがある。

1.過去問対策を6年生の4月からやらせる
2.6年生の10月になっても、クラスや模試の順位に一喜一憂する
3.塾のテストの点数にやたらとこだわる
4.「早く、早く」とせき立てる
5.タスク型の勉強をさせる

詳しく説明していこう。

■過去問に取り組む時期が早すぎる

入試対策に過去問は重要ツールだ。ひとくちに中学受験といっても、各校の入試問題の難易度や問題傾向はさまざま。志望校の入試問題の傾向をつかみ、出題形式に慣れておくことは、受験勉強の鉄則といっていいだろう。しかし、過去問は取り組むのにベストな時期というものがある。一般に中学受験では、受験に必要な範囲の総復習が終了した6年生の秋以降に取り組むのがよいと言われている。

ところが、それを待たずに4月くらいから過去問をやらせる親がいる。「うちはとにかく過去問を何度もやらせた」「模試では合格点に届いていなかったけれど、過去問対策をしっかりやったら合格できた」などのネット情報が、いつしか“過去問神話”となり、過去問さえやっておけば合格できるという勘違いを生み出してしまっているのだ。

しかし、知識の整理や演習がまだ不足している段階で、過去問をやらせてみたところで解けるはずがない。合格点にはほど遠いその点数を見て、気持ちだけ焦り、「もっと勉強させなきゃ」「もっと過去問を解かせなきゃ」と空回りをくり返す。

■「上位クラスをキープできないと志望校に入れない」

一方で、塾の成績にこだわりすぎてしまう親もいる。大手進学塾では、成績順位よってクラス分けが行われる。それが子供たちの競争心を刺激して良いという面もあるが、子供の成績が自分の成績とでも思っているかのように、わが子の成績に一喜一憂しすぎる親は少なくない。そういう親は入試直前まで、クラス順位を気にするところがある。上位クラスをキープできないと、「志望校に合格できない」と思い込んでいるのだ。

これもまた、「うちはずっとサピックスのαクラスだった」といった先輩ママ情報や、「アルファベットクラスでは、難関校は合格できない」などといったネット情報による影響が大きい。しかし、クラスを上げることや、クラス内順位を上げることを第一目標にするのは、6年生の1学期まで。夏休み以降は塾での成績よりも、志望校に合格するための勉強に切り替えていくべきだ。

青空に映えるひまわり
写真=iStock.com/rammy2rammy
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/rammy2rammy

■過去の塾のテストをメルカリで購入

塾のクラスに振り回される親は、完璧主義者が多い。テストで間違えたところがあれば、全部正解できるようにならなければと、教え込もうとする。例えば、算数の「速さ」の問題で間違えが見つかったら、5年生のはじめのテキストに戻って最初から叩き込む。しかし、ひとくちに「速さ」の問題といっても、基本的な旅人算で解けるものもあれば、線分図やダイヤグラムを使って解くものもある。また、「速さと距離の順比」を利用する問題や「速さと時間の逆比」を利用するものもある。これらから理解できているもの、理解できていないものを判断して、理解できていない問題だけやればいい。無駄に範囲を広げすぎたり、深掘りしてしまうと、その穴から抜け出せず、時間ばかりが過ぎていくことになる。

また、塾のテストの点を上げたいがために、過去にその塾に通っていた子の1年分の月例テストをメルカリで購入する親もいる。それが、結構いい値段で売られていたりする。買う方も買う方だが、売る方も売る方だ。過去のテスト問題を解いておくことで点数が取りやすくなる塾も確かにある。だが、このような付け焼刃的な学習で身につけた得点力はすぐに崩れる。また、実力以上のクラスに入り、授業についていけなくなるのは目に見えている。

そもそも、中学受験の目的は志望校に合格することであり、塾で上位クラスを目指すことではない。そんなことは分かるはずなのに、渦中にいると冷静な判断ができなくなってしまう。それだけ、今の中学受験は、塾での成績が親たちの心を乱すのだ。

■塾に通えば志望校に合格できるわけではない

今の時代、中学受験に塾は不可欠だ。そして多くの場合、受験のノウハウが詰まっている大手進学塾を利用する。だが、当然のことだが、大手進学塾に通いさえすれば、みんながみんな、成績がぐんぐん上がり、志望校に合格できるというわけではない。

大手進学塾では、「スピーディーに鮮やかに解くことがいい」と教える講師は少なくない。そのため、「いかにすばやく解くための公式を見つけられるか」といった勉強に走りがちだ。すると、問題文をよく読まずに、数行読んだだけで、「あっ、この出だしは○○算で解く問題だ」と先走ったり、式を書かずに暗算で答えようとしたりする子が出てくる。

しかし、人間のワーキングメモリーには限度がある。暗算に暗算を重ねていると、途中で数字を忘れたり、間違えたりすることが起きる。早く解こうとするばかりに、雑な解き方になってしまうのだ。

算数の問題を解こうとしている手元
写真=iStock.com/gyro
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/gyro

■「2時間の授業でたったこれだけしか教えていないのか」

また、大学受験で成功した高学歴親に多いのが、とにかくたくさんの問題を素早く解くことがいいと思い込んでいること。そういう親の子供は「あれもやれ、これもやれ」とたくさんの課題を与えられるため、常に焦りながら解く習慣がついてしまっている。焦って解こうとするから、雑になるし、ミスも多くなる。

そういう子には、とにかく「焦らなくていいんだよ。ゆっくり考えてごらん」と、手を動かしながら丁寧に考えるという、正しい勉強のやり方を教えている。すると、ほとんどの子に改善が見られるようになる。ところが、親からは「2時間の授業でたったこれだけしか教えていないのか」と文句を言われてしまう。たくさん解くことが勉強だと思い込んでいる親は、思っている以上に多い。

■スケジュール管理だけして勉強させた気になっている

また、近年多いのが「何をやらせれば、成績が上がるか」だけに関心を向ける親。そういう親は、エクセルにこと細かに子供の学習スケジュールを打ち込んでいる。スケジュール管理だけして、やらせた気になっているのだ。特に父親にその傾向がある。

そういう親はやったかどうかのチェックは厳しいけれど、「どのようにやったか」の過程には興味がない。しかし、受験勉強で大切なのは、“量”ではなく“質”だ。間違えたところがあれば、なぜ間違えてしまったのか原因を突き止める必要があるし、苦手な単元があれば、どこまでは理解できていて、どこから難しく感じるのかを把握し、その原因を解消する方策を考案する必要がある。つまり、一つひとつ丁寧に点検していくことが大事なのだ。

そのことを伝えても、「いや、でもこのくらいの勉強量はやらせておかないと」と聞く耳を持たない。自分の成功体験が絶対だと思い込んでいるからだ。でも、それができたのは、すでに多くの知識があり、精神的にも大人に近い高校生だったからであって、小学生に、根性論を押しつけてもうまくいかない。それどころか、いつも親に叱られるばかりで、「やらされ感いっぱいの学習」になり、自信を失ってしまっている。そうなってしまうと、成績は絶対に伸びていかない。

机に伏している息子の肩に手を置いている母親と、ガッツポーズであおる父親
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

■子供の成績の伸び方には個人差がある

同じことを母親に言うと、そのときは「そうですね、先生のおっしゃる通りですね」と理解を示してくれるが、少し時間が経つとまた元に戻りやすい。そうはいってもなかなか成績が上がらないわが子に焦り、不安で何かをやらせておかないと気が済まないからだ。

子供の成績は、「これをやればすぐに伸びる」といった単純なルールではない。正しい勉強のやり方を教えてあげると、徐々に伸びる子もいれば、バラバラに蓄積された知識がようやくつながるようになって、急にグングン伸びていく子もいる。なかには入試が始まる数週間前から伸びる子もいる。そのくらい個人差がある。

愛するわが子を、志望校に入れさせたい。その気持ちはどの親も同じだろう。しかし、そのやり方を間違えてしまうと、子供にとって中学受験がつらいものになってしまう。上の「5つの勘違い」に心当たりがあったら、ぜひ今からでも見直していただきたい。「わが子のために」と始めた中学受験で、子供が勉強嫌いになってしまっては本末転倒だ。

----------

西村 則康(にしむら・のりやす)
中学受験のプロ家庭教師「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員
40年以上難関中学受験指導をしてきたカリスマ家庭教師。これまで開成、麻布、桜蔭などの最難関中学に2500人以上を合格させてきた。

----------

(中学受験のプロ家庭教師「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員 西村 則康)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください