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「所得や学歴よりも自己決定が幸福につながる」…"人生でやりたいこと100リスト"を書くと人生が激変するワケ

プレジデントオンライン / 2023年8月25日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Abdullah Durmaz

「人に羨まれる学歴や素晴らしいキャリアを手に入れたとしても、それが自分で望んだ生き方でなければ、決して幸せにはなれない」……そこで役に立つのが「やりたいことリスト100」だ。世界中でリストを書き出して「人生が変わった」という人は多い。しかし、100個書き出すだけでは人生は変わらない。正しい書き方を、専門家が解説する。8月25日(金)発売の「プレジデント」(2023年9月15日号)の特集「人生後半を変えるノート」より、記事の一部をお届けします――。

■やりたいことリストで人生を楽しく過ごそう

やりたいことがわからなくて毎日、漠然としたモヤモヤを抱えている。日々に忙殺されてなんとなく不幸せな感じがする――このような気持ちを抱いている方は多いのではないでしょうか。このような方は、「どのように生きたいか」を見失っている状態です。

それも仕方ありません。どうやって生きていきたいかという欲望は、あまりに抽象的なものだからです。たとえば、親から「いい大学に受かってほしい」という期待をされてきたとします。大学合格という具体的なゴールがあると、どのように生きたいかという、あいまいな目標を考える必要がありません。多くの人は大学合格という具体的な目標に引っ張られてしまいます。

企業組織でも同じです。上司に「こういうキャリアを進むといい」と言われると、自分のあいまいな目標よりも、上司の言うキャリアのほうが明確で安定したものに見えてしまいます。

私たちは社会からの要請や期待を受け生きています。社会の要請や期待は、生き方への欲望よりもはるかに具体的で、強い力を持っています。社会性に引っ張られてしまい、生き方を自分で選択しない/できない人が多いのです。

しかし、神戸大学と同志社大学の研究によれば、幸福感をもたらす要因の重要度では、「健康」「人間関係」に続いて、「自己決定」が強い影響を与えることが明らかになっています。さらに、「自己決定」は「所得」「学歴」より重要度が高いこともわかっています。

つまり、人に羨まれる学歴や素晴らしいキャリアを手に入れたとしても、それが自分で望んだ生き方でなければ、決して幸せにはなれないのです。

ですが、多くの人は自分の「人生の軸」を考えたこともありません。

そこで役に立つのが「やりたいことリスト100」です。その名前のとおり、やりたいことを100個書き出すというワークです。ロバート・ハリス氏の著書『人生の100のリスト』から始まったもので、やりたいことを100個書いて、順番に実現していくと面白い人生になると提唱されています。

このワークに取り組む方は多く、人生が変わったと言う人もいらっしゃいます。しかし、正しく役立てられている人が少ないというのも実情です。

というのも、とにかく100個書いて、やみくもにやりたいことをこなそうとする方が多いからです。このような使い方をすると、結局、人生の軸を見つけることはできません。

人生の軸を見つければ、どのように生きるかを自分で決められるようになります。漠然としたモヤモヤが晴れ、人生が楽しくなります。「やりたいことリスト100」の正しい使い方を見ていきましょう。

■100個のやりたいことを簡単に書き出す方法

やりたいことを制限なしに100個書き出すのはかなり難しいです。そこで、書きやすくするためのジャンルリストを使います。私がおすすめしているのは以下の8つのジャンルです。「仕事」「お金」「人間関係(友人・パートナー・家族)」「学び・成長」「楽しみ」「健康」「ライフスタイル」「ライフワーク(趣味)」。この8つのジャンルに従って満遍なくやりたいことを書き出していきましょう。

8つのジャンル分けは、心理学で使われる人生の領域の分類です。ジャンルごとに満遍なくやりたいことを書いていくと、人生でのやりたいことをだいたい網羅することができます。

また、制限なしにやりたいことを書き連ねると、無意識のうちに「いま仕事で関心のあること」のような、現在気になっている願望が多くなってしまいがちです。満遍なく書いていくことで、そのような偏りを少なくできます。

やりたいことは、とにかく欲望のままに書いて構いません。ただ、欲望に忠実になるのが大切です。たとえば、「年収1000万円ほしい」というのであれば、「1億円は不必要、1000万円で満足できる」ということをはっきりさせましょう。もし、「5000万円」のほうがいいなら、そのように書くべきです。

「自分の本音を書けていないのではないか」と心配になる方もいらっしゃるかもしれません。たしかに、未来にやってみたいことというのは、まだ実現していないことですから、本当にやりたいことなのかわかりません。しかし、過去に楽しかった出来事は変わりません。そこで、過去に楽しかったことを基準に未来にやってみたいことを考えるというのもおすすめの方法です。図の過去を思い出すための質問も参考にしてみてください。

記憶をたどればやりたいことがわかる!過去を思い出すための10の質問

■書き出した欲望を価値観に落とし込む

人生の軸を見つけるステップとして、書き出した欲望を抽象化しましょう。

たとえば、やりたいことに「アメリカ旅行に行きたい」というものがあるのなら、「新しい場所に行って好奇心を満たしたい」と抽象化できます。「文章術を学びたい」のなら「新しいことを勉強したい」ということになるかもしれません。

抽象化することで、「好奇心を満たしたい」「新しいことを勉強したい」のように、あなたの欲望のより本質的な部分を言語化することが大切です。

抽象化の仕方に正解はありません。「アメリカ旅行に行きたい」にしても、人によっては「英語で話す機会がほしい」というように抽象化できるかもしれません。自分の欲望と向き合って抽象化するのが大切です。

自分の欲望と向き合うためのコツとして、「それは何のため?」を繰り返す方法があります。「お金持ちになりたい」という欲望も、「それは何のため?」という問いを投げかけると、「世界旅行をしたいから」なのか、「人から尊敬されたいから」なのか、人によって大きな差があります。

「世界旅行をしたい」「それは何のため?」「ビーチでゆっくり過ごしたい」「それは何のため?」「リラックスするため」

「人から尊敬されたい」「それは何のため?」「人から大事にしてもらえる」「それは何のため?」「ありのままの自分でいたい」

というように、同じ「お金持ちになりたい」という欲望でも、「それは何のため?」を繰り返すと、まったく異なる本質が見えてくるはずです。

また、「価値観リスト100」(詳細は本誌参照)を使うのもおすすめです。人が大事にする価値観をほぼ網羅できるように100個リストにしています。やりたいことを抽象化して、リストの価値観に近いものが出てきたのなら、欲望の抽象化に成功したと考えていいでしょう。

抽象化がうまくできないときは、そのやりたいことがリストの価値観の中ではどれに近いのかを考えることで、抽象化をサポートしてくれるでしょう。

やりたいことを価値観に落とし込もう 人が大事にする価値観リスト100

■人生の軸を使って幸福度を高めよう

どんな欲望を持っているのか抽象化できたら、人生の軸を抽出しましょう。

「アメリカ旅行に行きたい」から見えた「新しい場所に行って好奇心を満たしたい」という欲望と、「文章術を学びたい」から導き出された「新しいことを勉強したい」という欲望の共通点を考えます。

この例の場合だと、どうやら自分にとっては「好奇心を満たすこと」が大事だとわかります。共通点として導き出された「好奇心を満たすこと」というこの一文こそが人生の軸です。

実際には、100個のやりたいことを抽象化した欲望から共通点を探すので、いくつかの軸が見つかります。

このいくつかの人生の軸を合わせて文章にしてみましょう。

私の場合は、

基盤は「シンプル」に生きること。頭がスッキリしている状態が好き。そして、新しいことに挑戦し続けて、最終的には自分が「好奇心」を感じる分野で影響力を高め続けていきたい。それに「夢中」になり続けられたら、それが最高の人生。

というように文章化しています。ポイントは、「シンプル」「好奇心」「夢中」というように、人生の軸の中でも自分にとって基盤となるようなもの3つに絞ることです。多すぎても行動に移しにくいからです。

同じ理由で、「シンプル」「好奇心」「夢中」という軸を動詞化するのも大切です。「シンプル」という言葉だけでは、どうシンプルなのかがわかりにくいので、「シンプルに生きる」と言い換えています。

この文章化は、やりたいことリストを人生に活かす重要なステップです。というのも、人生の方針は意識していないと行動に移せないことが多いからです。一つ一つのやりたいことを常に意識するのは難しいです。短くまとめた人生の軸の文章を意識して、文章から導き出されるちょっとした行動をとるようにしましょう。

たとえば、「好奇心を満たす」という軸から、私は「コンビニで新商品が出たら買うようにする」「動画撮影では毎回話の入り口を変える」というような行動をとるようにしています。

大したことないじゃないと思われるかもしれませんが、日々の一つ一つの決定を自分でしているという「自己決定」の意識を積み重ねることが、人生の幸福度を高めます。

■最高の人生は意外と簡単に実現する

人生の軸を見つけると、今の仕事や生活の環境が、自分にふさわしくないものだと気づく方もいるかもしれません。とはいえ、「ありのままの自分でいたいという軸に反するので、この仕事はしません」というような言動が簡単に許されるわけではありません。人生の軸を優先しすぎると、社会ではハレーションを起こすことがあります。

本音では「怖いことなんて何もないから、仕事も生活もやりたいように変えればいい」とアドバイスします。

ただ、現実的には生活を支える収入も必要ですから、社会の要請を受けつつ、副業などで人生の軸を充実させるのが無難かもしれません。

しかし、人間の脳は質問を投げかけられると、その答えを考えるようにできています。ですから、人生の軸がきちんと定まって、「軸に従って生きるにはどうすればいい?」という問いが明確になっていれば、人生の目標を叶える方法は意外と簡単に思いつくことが多いのです。

自分で決めた人生を切り拓いて、幸せに生きられる世界をつくってみてはいかがでしょうか。

ジャンルごとに書き出してみよう!やりたいことリスト

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八木 仁平(やぎ・じんぺい)
ジコリカイ代表取締役
本当にやりたいことを見つけるため、独自の「自己理解」に取り組む。著書に、『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』『世界一やさしい「才能」の見つけ方』(共にKADOKAWA)など。

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(ジコリカイ代表取締役 八木 仁平 構成=プレジデント編集部)

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