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だからトヨタ社員はすべてを「紙1枚」にまとめられる…ダラダラ話す癖が一瞬で治る「4×4の枠」の使い方

プレジデントオンライン / 2023年10月13日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

自分の考えを簡潔に伝えるにはどうすればいいか。ビジネス書作家の浅田すぐるさんは「重要なのは伝え方よりも『伝える前の準備』だ。トヨタ自動車で行われている『紙1枚』文化が、その参考になる」という――。

※本稿は、浅田すぐる『「伝える前」が9割 言いたいことが最短で伝わる!「紙1枚」下書き術』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■「30秒で自己紹介」うまくできますか?

トヨタの「紙1枚」文化を味わうなかで、また1人の社員としてその本質を体現するなかで、私は「伝える前に、資料作成=思考整理を行う習慣」を身につけていきました。

資料作成は、あくまでも手段に過ぎません。目的は、「思考整理」にあります。

思考整理さえできれば、資料作成を伴うコミュニケーション「以外」でも、あらゆる場面に応用可能な道が拓けてくる。そうすれば、「できるだけ話さないですませたい」という本音を抑え込み、日々無理や背伸びをして等身大ではない自分で頑張っている人たちの役に立てるのではないか。

そのような願いから、トヨタの「紙1枚」文化をできるだけ手軽に、誰でも短時間で実践できるようにフレームワーク化したのが、「1枚」フレームワークという手法です。

これまでに55万人以上の読者の方に学んでもらった技術であり、実際にあらゆる年代の人が、様々な題材でこの方法を活用してくれています。

といっても、難しいことは何もありません。3STEPだけでOKです。

これから「30秒間自己紹介」を例にしてさっそく「紙1枚」を書いてみたいのですが、その前に。

「今から30秒間で自己紹介をお願いします、どうぞ」と言われた時、あなたはうまく話せるでしょうか?

■伝える前の「情報整理」「まとめる」が大切

・最初のヒトコトが言えずに、ずっと沈黙してしまう……
・途中で何を話しているのか、自分でもわからなくなってくる……
・時間内に話せず、ダラダラとオーバーしてしまう……

こうした悩みの根本原因を、「伝える時になって何とかしようとしても、もう手遅れだから」「伝える前に、やるべきことをやっていないから」だと捉えていきます。したがって解決策は、「伝える前に、思考整理すればOK」となるのですが、ここで問題です。

そもそも「思考整理」とは、いったい何でしょうか。

この問いに答えられなければ、いくら「さあ、伝える前に思考整理するぞ!」と唱えたところで状況は好転していきません。

ここでは、「思考整理とは、2つのプロセスでできている」と定義します。

①考えるベースとなる「情報を整理する」
②自分なりに「考えをまとめる」

これは、料理のイメージで捉えてもらうとわかりやすくなります。

たとえば、カレーを作りたいとなった時、当然ながらカレー粉や野菜、お肉といった材料がなければ何もスタートできません。この材料集めにあたる部分が、「①情報を整理する」です。

■A5サイズ以上の紙とペンを用意する

一方、「②考えをまとめる」は、カレーであれば調理の段階に相当します。必要な材料をまな板の上に並べ、目的の達成につながるようにまとめていく。

この2つのプロセスを「思考整理」と定義し、「紙1枚」書くだけでカンタンにできるようレシピ化したのが「1枚」フレームワークなのだと理解してください。

それでは、書き方を説明していきます。このままとりあえず読み進めるか、読みながら実際に書いてみるかは自由ですが、実際にやってみようと決めた人は、手元に紙とペンを用意してください。

浅田すぐる『「伝える前」が9割 言いたいことが最短で伝わる!「紙1枚」下書き術』(KADOKAWA)
浅田すぐる『「伝える前」が9割 言いたいことが最短で伝わる!「紙1枚」下書き術』(KADOKAWA)

紙は、コピー用紙でもノートでも、何かの裏紙でも構いません。ただ、最低でもA5サイズ以上が良いので、小さなメモ帳は避けてください。

ここでは、できるだけ手軽に取り組めるように、A4サイズのコピー用紙を使った例で説明していきます。これを半分に折ってA5サイズにすると記入しやすくなりますので、手元に手頃なノートがない人はコピー用紙でやってみてください。

また、ペンについてはカラーペン、それも緑・青・赤3色のカラーペンを一応推奨はしています。「視覚的に思考を整理しやすくなるから」というのが主な理由ですが、準備にハードルの高さを感じるなら、当面は黒ペン1色でも構いません。

まずは気軽に、試しに書いてみることのほうを優先してください。

■自由に書くのではなく、「4×4の枠」を作って埋める

図表1のように、緑ペンで紙の真ん中にタテ線とヨコ線を引いてください。

続いて、その線を基準にしてさらにタテ線を2本、ヨコ線を2本引きます。これで、4×4の「枠=フレーム」の集合体が完成しました。

最後に次の図表2のように、左上の第1フレームに、日付と「テーマ」を記入します。これも引き続き緑ペンで行ってください。

今回は「自己紹介」を例にしていますので、第1フレームにはそのまま「自己紹介」とだけ書けばOKです。これで緑ペンのパートは完了となります。

「4×4の枠」を作る
出典=『「伝える前」が9割 言いたいことが最短で伝わる!「紙1枚」下書き術』

ここからは、思考整理のうち「①情報を整理する」プロセスです。この部分は青ペン推奨でやっていきます。

テーマに関するキーワードを、思いつくままに埋めていってください。

私たちは「白紙だけ渡すから好きにしてOK」と言われると、むしろフリーズしてしまいます。一方、「この枠の中に記入してください」とガイドされると、拍子抜けするほどあっさり埋めることが可能です。

これを体感できると、今まで「書くのが大事だと言われても何もできませんでした」となっていた人たちが一気にブレイクスルーします。心当たりのある人ほど、そのことを味わいながら実際に記入してみてください。

■仕上げは赤ペンで「伝える順番」を立てる

なお、「①情報を整理する」プロセスは、テーマにもよりますが基本的に2分程度で十分です。15個すべてを埋める必要はありません。半分以上(8個以上)記入できればOKなので、全部埋めることよりも時間を優先してください。

キーワードを埋めていく
出典=『「伝える前」が9割 言いたいことが最短で伝わる!「紙1枚」下書き術』

最後は、「②考えをまとめる」プロセスです。ここは視覚的な区別をつける意味で、もし可能であれば赤ペンでやってみてください。色分けしたほうが間違いなく思考がクリアになりますので、苦手な人ほどこの色分けをオススメします。

STEP2で書き出したキーワードを組み合わせて、自己紹介の流れをまとめていきましょう。といっても、やることは至ってシンプルで、図表3のように伝える順番に赤ペンでマルをつけ、矢印でつないでいくだけです。

ただし、「30秒自己紹介」というテーマでやっていますので、すべてのキーワードについて話していると、時間が足りなくなってしまいます。

この題材の場合は6個前後が適切な数となりますので、特に自分を紹介するうえで重要だと思うキーワードを取捨選択していってください。

■考えを言語化するトレーニングにもなる

その際、「煎じ詰めると?」「要するに?」「細かいことは無視すると?」といった自問自答を繰り返すことになりますので、その過程で適切な言葉を選び取る力を高めることができます。

赤ペンで「伝える順番」を立てる
出典=『「伝える前」が9割 言いたいことが最短で伝わる!「紙1枚」下書き術』

また、何か別の言葉が浮かんできたり、端的なフレーズにまとめ直せたりといったことも可能になってきますので、その場合は赤ペンで余白スペースに記入するようにしてください。要約力や言語化能力を高めることにもつながっていきます。

以上が、伝える前に活用していく「紙1枚」思考整理法の概要です。

わずか5分程度のスキマ時間で、たった「紙1枚」書くだけのリソース投入で、伝える前にやるべき思考整理をカンタンに実践することができる。そんな手法になっていますので、これからたくさん書いて親近感を高めていってください。

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浅田 すぐる(あさだ・すぐる)
「1枚」ワークス株式会社代表取締役、作家・社会人教育のプロフェッショナル
「1枚」アカデミアプリンシパル。動画学習コミュニティ「イチラボ」主宰。名古屋市出身。旭丘高校、立命館大学卒。在学時はカナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学留学。トヨタ自動車入社後、海外営業部門に従事。同社の「紙1枚」仕事術を修得・実践。米国勤務などを経験したのち、グロービスへの転職を経て、独立。現在は社会人教育のフィールドで、ビジネスパーソンの学習を支援。研修・講演・独自開講のスクール等、累計受講者数は10000名以上。独立当初から配信し続けているメールマガジンは通算1000号以上。読者数18000人超。

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(「1枚」ワークス株式会社代表取締役、作家・社会人教育のプロフェッショナル 浅田 すぐる)

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