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道を聞かれて「あの角を曲がって」と話し始めてはいけない…話し上手がまず最初に伝えること

プレジデントオンライン / 2024年4月6日 13時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/JohnnyGreig

仕事のできる人は、相手に物事を伝える時になにを意識しているのか。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト(WBS)」キャスターの山川龍雄さんは「話し始める前に最終的な目的を伝え、そのうえで結論から話し始める。例えば、道案内で『あの角を曲がって』と話し始めるのはやめたほうがいい」という――。

※本稿は、山川龍雄『「話す・聞く・書く」伝え方のシン・常識 半分にして話そう』(日経BP)の一部を再編集したものです。

■道を聞かれて「あの角を曲がって…」と話し始めてはいけない

Q 伝えることは相手を知ることから始まる、ということは理解できました。次は、話す順序について聞きます。山川さんは、相手から質問を受けた時、冒頭はどんなことを意識して話し始めますか。

A そうですね。いきなり各論から話を始めないことです。

Q というと?

A 例えば外を歩いていて、突然知らない人に道順を聞かれたとします。その際、10分くらい歩かないと到着しないような目的地だったら、どう説明しますか?

「3つめの角を右に曲がって、それから2つめの角を左に曲がって……」と話を始めますか。もしそうだとしたら、あまり話が上手だとは言えないし、職場でも高くは評価されていないかもしれません。

Q どうして?

A 相手の立場になっていないからです。道順を尋ねる人の多くは、歩いて行けるのか、タクシーや地下鉄を使った方がいいのかをまず知りたいのです。こんな時には「歩いて10分くらいかかりますが、どうしますか?」と聞くところから始めた方がいい。

いきなり「あの角を曲がって」と各論に入るのではなく、大掴みに目的地の方向を示して、移動手段の意向を確認するわけです。各論に入る前に、話の終着点を示す、と言い換えてもいいかもしれません。

■最初に終着点を示し、相手の不安を取り除く

Q 相手に道順を聞かれたので、順番に行き方を説明しているわけで、間違ってはいません。それでも、ダメですか。

A 歩いて1分のところなら、それで構いません。でも10分は結構長い。

それに教わる側は10分の道順を記憶するのは簡単ではありません。仮に歩くにしても、最初に指で示して「この方向に歩いて10分」と伝えておけば、だいたいの方向感が掴めるので、その後の説明がスムーズに頭に入ってきます。特に外国人に道を聞かれた場合には、そうした方がいい。

Q 確かに外国人観光客の多くは、どのくらいの時間で目的地にたどり着けるか不安を抱いています。

A 外国に行った時、タクシーよりも、「ウーバー」などの配車アプリで呼んだクルマに乗り込む方が安心しませんか。あれは発車する時点で移動時間や経路、料金の目安が分かっているからです。

これがタクシーだと、「自分はどこに連れていかれるのだろう。このドライバーは料金を吊り上げるために、遠回りして運転しているのではないか」と不安が募ります。話も同じで、最初に終着点を示して、相手の不安を取り除くことが必要なのです。

地図の上にさされた赤と青のピンを結ぶ道順の青い線
写真=iStock.com/hkeita
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/hkeita

■日本語の文法は外国人にはまどろっこしい

Q なるほど、特に外国人との会話では気を付けた方がいいですね。

A それに、そもそも外国とは文法の違いがあります。英語は主語の後に述語が来ますから、結論を先に言うのが当たり前の文化です。これに対して、日本語はいろんな形容詞が付いて、最後に述語が来る。そのため、日本人は時系列を追って順番に話す癖があるので、それが外国人にとっては、まどろっこしいのです。

Q インバウンドの増加もあって、日本国内にいても外国人と会話する場面が増えました。普段から、各論から入るのではなく、話の終着点を最初に見せるという習慣を付けることが大切ですね。

■その話し方は上司を苛立たせているかも

A 特に仕事の現場、とりわけ上司への説明はこのことを心がけてください。まず結論から入る。そして話し始める前に最終的な目的を伝える。

つまり、上司に「報告」しようとしているのか、「承諾」を得ようとしているのか、「アドバイス」を受けようとしているのか。それを伝えてから、各論の説明に入ってください。

山川龍雄『「話す・聞く・書く」伝え方のシン・常識 半分にして話そう』(日経BP)
山川龍雄『「話す・聞く・書く」伝え方のシン・常識 半分にして話そう』(日経BP)

Q そうしないと、上司も要領を得ない話にいつまで付き合っていいのか分からないわけですね。

A はい、そしてイライラが募っていきます。場合によっては「それで、何が言いたいの?」とか「結論から言ってくれ」といった一言を浴びせます。

最近は職場のパワハラが問題になっているので、上司も表面上は笑顔で部下の話を聞くように努めているかもしれませんが、本心では苛立っているはずです。だいたい出世している人はみんなせっかちですから。

Q それはなぜ?

A 企業経営というのは、ある意味、合理性を追求するゲームです。ムダを削って、利益を捻出しなければなりません。だから、よくできる経営者や管理職ほど、時間をムダに使いたくないという意識が強い。

■「それで?」と言われる人は要注意

Q 部下の立場になれば、話を小出しにして、「今日は機嫌がいいのかな」と顔色をうかがいながら、話を進めたいというのも本音としてはあります。いきなり直球を投げて、ノックアウトされたくない。

A ああ、なるほど、最初は変化球を投げて様子を見る。それは上司の性格や、上司との相性にもよりますが、高等テクニックかもしれません。ただ、いつもそんな態度だと、おそらく上司は心の中では「頼りない部下だな」というレッテルを貼っているでしょう。

どんな上司に対しても基本は、ダラダラと話すのは避けた方がいい。上司に説明する際に、よく「で?」と先を促される人は、注意した方がいいでしょう。

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山川 龍雄(やまかわ・たつお)
テレビ東京解説委員 「ワールドビジネスサテライト」キャスター
1965年10月熊本県荒尾市生まれ。89年京都大学経済学部卒業後、花王を経て、91年日経BP入社。物流雑誌『日経ロジスティクス』の編集に携わった後、95年「日経ビジネス」に異動。自動車、商社業界などを担当後、2004年~ 08年までニューヨーク支局長を務める。日経ビジネス副編集長、日本経済新聞証券部次長を経て、11年4月から日経ビジネス編集長。 14年4月からテレビの報道番組に仕事の軸足を移し、現在に至る。

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(テレビ東京解説委員 「ワールドビジネスサテライト」キャスター 山川 龍雄)

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