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「ちょっとお時間いいですか」と言ってはいけない…仕事のできる人が職場で使う「スマートな相談」のコツ

プレジデントオンライン / 2024年4月9日 8時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kyonntra

説明がうまい人はどこが違うのか。研修講師の深谷百合子さんは「何より大事なのは“説明の順番”だ。最初に『これからこんな話をします』という全体像を提示して、相手の頭の中に『受け皿』を作るといい」という――。

※本稿は、深谷百合子『賢い人のとにかく伝わる説明100式』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

■最初に「なんの話をしようとしているか」を提示する

説明するとき、「何をどう説明するのか」、内容や手段を気にしがちです。でも、もっと大事なことがあります。それは「説明の順番」です。説明するときには、「これからこんな話をしますよ」という大まかな全体像を最初に示しましょう。

例えば、あなたが外出する際に、家族から急にこんな風に声をかけられたとします。

「牛肉200グラム買ってきてくれない?」
「あと、タマネギ、ニンジン、ジャガイモ、それぞれ1袋ずつ」

こちらの受け取る準備ができていないのに、突然いくつものボールを投げられたような感じがしませんか。でも、最初にこんなひと言があったらどうでしょうか。

「今日の夕食は肉ジャガにするから、材料を買ってきてくれない?」

情報の受け手であるあなたの頭の中に、「肉ジャガの材料」という受け皿ができるので、次の具体的な材料に関する情報を受け取りやすくなりますよね。さらには、「何の話をしようとしているのか」を知ることができると、説明を聞くときの「注意の向け方」も変わります。

■なぜ新聞記事には見出しがついているのか

例えば、「肉ジャガを作るなら、しらたきは買わなくていいのかな」と、より一歩突っ込んで、相手の説明を聞くことができます。もし、献立がカレーライスなら、「ルーは買わなくていいのかな」と思うのではないでしょうか。

新聞やネットニュースでも、必ず「タイトル」や「見出し」があります。そのおかげで、私たちは本文を全部読まなくても、記事の大まかな内容を理解できます。また、自分にとって関心のある記事かどうかを判断することができています。

説明するときには、いきなり具体的な細かい話から始めるのではなく、これから伝えようとする話の全体像や目的を最初に伝えるようにしましょう。

■最後に話の全体像をもう一度伝えると理解度が深まる

説明は「大から小」、つまり「全体像」から始め、そのあとで具体的な細かい説明をしましょうという話をしました。それだけでも、わかりやすい説明になりますが、聞き手の理解を一層深めるためのコツがあります。それは、最後にもう一度「全体像」を伝えることです。

最初に伝える「全体像」は、相手に「情報を受け取る受け皿」を作る目的があります。一方、最後に伝える「全体像」は、相手に「何を受け取ったのか」を確認してもらうことが目的です。

例えば、ある洋菓子店のシェフを務めるAさんについて説明する場合で考えてみましょう。

「Aさんは、地元産の材料を使うことにこだわり、地域の発展に貢献しています(全体像)。
例えば、地元の特産品である八丁味噌を使った洋菓子を作っています。また、使用している油は、地元の油脂メーカーから仕入れています。さらに、地元の郷土料理に模したお菓子が話題になっています(具体例)」

ここまででも、Aさんがどんなシェフなのかは伝わりますが、最後にもう一度全体像を加えてみるとどうでしょうか。

「Aさんは、地元産の材料を使うことにこだわり、地域の発展に貢献しています(全体像)。
例えば、地元の特産品である八丁味噌を使った洋菓子を作っています。また、使用している油は、地元の油脂メーカーから仕入れています。さらに、地元の郷土料理に模したお菓子が話題になっています(具体例)。
このように、Aさんは地元産の材料を使うことにこだわり、地域の発展に貢献しています(全体像)」

具体例のあとに、もう一度全体像を入れて話をまとめると、話の内容についての理解が深まります。また、どんな話だったのか、印象を強く残すこともできるのです。

■報・連・相どれでもまずは事実から入る

ビジネスパーソンにとって、「報・連・相(報告・連絡・相談)」は基本ですよね。「報告」「連絡」「相談」のどれを行うにしても、大事なのは「事実から伝える」ということです。

なぜなら、ビジネスの場では「事実」は「判断の材料」になっているからです。

例えば、取引先との商談から戻ってきたAさんが、上司から「商談はどうだった?」と聞かれて、こう答えたとしましょう。

「先方の反応はまずまずでした」

何が「まずまず」だったのか、さっぱりわかりませんよね。「あなたの感想は要らないよ」と言われるのがオチです。

「今日の商談には、先方のB課長も同席していました。B課長から、『この見積額で明日の部内会議にかけてみるよ』と言われました」

このように「事実」を伝えたら、どんな状況だったのか、相手にもわかります。

また、Aさんは「まずまず」だったと思っていても、上司は「あの会社のC部長は、見積の査定が厳しいから、部内会議で値下げの話が出るかもしれないな」と思っているかもしれません。その場合、「さらに値下げを要求されたときのために対策案を準備しておこう」と次の行動に展開することもあるでしょう。

ビジネスの場で大事なのは、客観的な「事実」です。「あなたはどう思うの?」と聞かれて初めて、自分の意見を伝えるくらいでちょうどいいのです。

そして、自分の意見を伝えるときには、「ここからは私見ですが」と前置きしたうえで説明しましょう。どこまでが「事実」で、どこからが「意見」なのかがわかると、相手にとってわかりやすい説明になります。

説明をするビジネスウーマンの手
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

■「どう思う?」と聞かれたときは事実の説明は後回し

「事実から伝える」という話をしましたが、いつでも事実から伝えるべきかというと、そうとは限りません。「○○の件について、あなたはどう思う?」と意見を求められたのなら、「先に自分の意見や解釈を伝え、その理由として事実を伝える」という順番で説明しましょう。

けれども、「事実→私見」の順番に固執していると、どうなるでしょうか。

「○○の件について、どう思う?」
「その件ですか。実は以前にこんなことがありました」

このように、事実から話し始めると、問いかけをした相手の頭には「?」が浮かぶことでしょう。「私の質問に答えてくれていない」という気持ちを、相手に抱かせてしまうかもしれません。

■「なぜそう思ったか」の根拠を後から提示すると納得感が増す

「どう思う?」と聞かれているのですから、「こう思う」と答えるのが先です。そのうえで、なぜそう思ったのか、理由となる「事実」を付け加えましょう。

「○○の件について、どう思う?」
「私はこう思います。なぜなら、以前にこんな事実があったからです」

このように答えたら、相手の質問に答えた形になっていて、話がかみ合いますね。しかも、「なぜなら」と理由が示されているので、納得感が増します。

特に、あなたが何らかの判断をする立場にいる場合、自分の意見だけを伝えるのではなく、その根拠となる事実もあわせて伝えましょう。「こうすればよい」と言うだけより、「なぜそう思ったのか」を伝えることで、相手の理解が深まったり、新たな気づきを与えたりすることができるからです。

■「注意点が4つあります」最初に話のボリュームを示す

キャッチボールをするとき、相手の状況にお構いなくボールを投げたりしませんよね。相手がボールを受ける準備ができてから、ボールを投げるのではないでしょうか。

説明するときも同じです。説明を聞く体勢になってもらうことが大事です。

そのために、まず「これからこんな話をします」という全体像を示します。

さらに、よりしっかり受け止めてくれるように、やっておくといいことがあります。それは、話のボリュームを伝えておくことです。「いくつの内容を話すのか」を示しておくと、相手の頭の中に「受け皿」を作ることができます。

例えば、次のような説明は、ダラダラした感じがしませんか。

「保管上の注意点ですが、20℃以下の温度で保管してください。また、水がかからないようにしてください。それから、容器の蓋はしっかり閉めてください。あとは……」

話を聞かされている側になってみると、話の内容よりも、「この話はいつまで続くのか」というほうが気になって集中できなくなってしまいます。結局、「20℃以下とか、水がかからないようにというところまでは覚えているけれど、あとは何だったっけ?」というようなことになりかねません。

「保管上の注意点ですが、4つあります。1つめは、20℃以下の温度で保管すること。2つめは、水がかからないようにすること。3つめは、容器の蓋をしっかり閉めること。4つめは、……」

このように、最初に「4つあります」と伝えると、相手も4つの話を受け止める準備ができます。こうすることによって、相手は「今は4つのうちの3つめだな」というように、話を整理しながら聞くことができるようになります。

■話の終わりが見えないと聞く人は不安になる

説明を聞く体勢になってもらうには、「いくつの内容を話すのか」を先に示すことが大事だという話をしました。もう1つ、大事なことがあります。それは、「どのくらいの時間話すのか」を示すことです。

学校の始業式などで、いつ終わるのかわからない校長先生の話を聞くのが苦痛ではなかったでしょうか。私たちは、「終わり」が見えないと、不安になるものです。

「これから5分お時間をいただいて、概要を説明致します」のように、どのくらいの時間なのかを先に示してもらえると、私たちは安心して話を聞くことができます。赤信号の待ち時間表示があることで、信号待ちのイライラが軽減されるのと似ていますね。

■「ちょっとお時間いいですか」では相手を困らせる

また、「説明に要する時間」と「内容の複雑さ」は密接に関係しています。「5分程度」と言われれば、それほど大した話ではないとわかりますが、「30分」と言われると、込み入った話なのかなと思います。

深谷百合子『賢い人のとにかく伝わる説明100式』(かんき出版)
深谷百合子『賢い人のとにかく伝わる説明100式』(かんき出版)

ですから、取引先や上司など、人に報告や相談をするときは、どのくらいの時間がかかるのかを先に伝えましょう。「ちょっとお時間いいですか?」とだけ聞かれても、仕事の手を休めて聞く程度でいいのかどうか、相手は判断できないからです。

「5分ほど」と言われれば、相手は「イエスかノーで済む話かな」と想像できるので、よほど取り込み中でない限り、「今いいですよ」と言ってくれるでしょう。「30分ほど」と言われれば、相手は「このあと会議があるから、それが終わってからがいいな」「じっくり聞いたほうがよさそうだから、ちゃんと時間を作ったほうがいいかもしれないな」と考えることができます。

最後に、時間を宣言したならば、その時間を厳守しましょう。大幅に時間を超えたら、かえって相手をイライラさせてしまいますのでご注意を。

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深谷 百合子(ふかや・ゆりこ)
合同会社グーウェン代表
大阪大学卒業後、ソニーグループ、シャープで技術者・管理職として工場の環境保全業務を行う。専門用語を噛み砕いて説明できることが評価され、工場の見学者に環境対策の説明や、テレビや新聞からの取材に対応する業務を任されるようになる。その後、中国国有企業に転職。100名を超える中国人部下の育成を任される。2020年独立。コミュニケーションをテーマに、各種メディアで活動中。

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(合同会社グーウェン代表 深谷 百合子)

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