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英語で「ガレ!」「フェンキュ」「ジュインッ」は何?…海外で日本人の英語がまったく伝わらない根本原因

プレジデントオンライン / 2024年3月23日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/laflor

どうすれば英語は上達するのか。英会話講師で翻訳家の甲斐ナオミさんは「日本人が習う英語の発音方法は、ネイティブとかなり異なる。そのため、話しても伝わらず、聞き取りもできない。まずはネイティブの発音に慣れるために、聞こえるままにカタカナで書いて、それを読むようにするといい」という――。

■非ネイティブの中でも伝わりにくい日本人の英語

「ホワット ドゥ ユー レコメンド」

海外のレストランで「何がおススメですか?」と聞くつもりでこのように尋ねると、おそらく店員さんの頭の上に「はてな」マークが3つほど付きそうです。単語は合っている、文法も合っている、でも伝わらない……。海外でこのような経験をされた日本人は多いはずです。

なぜこのようなことが起きてしまうのでしょうか。答えはもちろん、「発音」ですよね。でも、一言で「発音」と言っても、そもそも「発音」とは何? という話になります。

考えてみてください。英語ネイティブではない外国人がネイティブの人と会話をしている光景を見たことがありますよね? 余談ですが、世界の英語人口の8割は英語を第二言語としている、いわゆる「非ネイティブ」なのです。その非ネイティブたちが難なくネイティブと英語で会話をしているということです。もちろん、会話のレベルはさまざまですが、コミュニケーションはとれているのです。これは彼らの発音が完璧だからでしょうか? いえ、そんなことはありません。皆さん、それぞれの国の訛りがあります。

たとえばですが、フランス語では「H」は発音しません。ですので、「Hello」が「エロ」となってしまいます。また、「How much is it?」(いくらですか?)も「アウマチズィッ」と、「How」の「H」が発音されません。でもネイティブには通じるのです。

すでにお気づきだと思いますが、「How much is it?」を英語になじみのない日本人が発音すると「ハウ マッチ イズ イット」となると思います。では、なぜ、「アウマチズィッ」は伝わるのに「ハウ マッチ イズ イット」は伝わりにくいのでしょうか。

■日本語には「つなげる」「はしょり」の習慣がない

これは、英語ネイティブたちはしゃべるときに音同士をつなげる習性があり、また発音しなくても相手に通じる場合は音をはしょるからです。

ですから、非ネイティブの人たちの英語が英語ネイティブに通じるのは、訛りがあっても、音同士の「つながり」と「はしょり」はカバーしているからなのです。

大人になってから英語を第二言語として覚えると母国語の訛りはどうしてもありますが、問題はそこではありません。

問題は、英語ネイティブがしゃべるときの音同士のつながりとはしょりが身についているかどうかという点です。

日本語の五十音はそれぞれはっきりと発音するぶつ切り発音で、音と音をつなげたりすることはありません。すべての音を発音して話さないといけないため、活舌が良い悪いがはっきりしていますよね。活舌が悪い人は、たとえば「させていただく」が言いづらいはずです。これは似たような音が連続で並ぶからです。

有名な話で、2012年ロンドンオリンピック柔道日本代表発表記者会見の際に「キログラム級」が「キョロ級」や「キロキョロッグッ、クラム級」になり、しまいには「キロ……チョロQ」になっていました。

このように、日本語はつなげることができないので、活舌が多少悪いとこのような事件が起きてしまいます。

■「つなげる発音」がわからないから聞き取れない、話せない

一方、英語ネイティブが、活舌が悪いという話はあまり聞きません。どもる癖がある人の話はよく聞きますが、活舌の良し悪しが話題になることはあまりありません。これは英語では、音同士のつながりがあるからです。

つまり、英語ネイティブは実は舌足らずで、音同士をつなげながら、最初から自分たちが発音しやすいようにしゃべっているのです。

日本では、学校で英語を習うときに、先生が英語ネイティブのつながりを理解していない限り、生徒たちはぶつ切り発音で英語を学びます。そうしますと、せっかく中学校から大学まで英語を学んで一通りの単語や文法ができるようになっても、想像している音と英語ネイティブの話している音が違いすぎて、ネイティブと会話が出来なかったり、海外ドラマが聞き取れなかったりしてしまいます。

日本で道を聞く外国人
写真=iStock.com/praetorianphoto
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/praetorianphoto

■聞こえたままカタカナ表記にするといい

学校ではぶつ切りの発音で英語を習っている日本人ですが、実は自然とつなげて言っている英語のフレーズがいくつかあります。たとえば、「来て!」の意味の「Come on!」。これは自然とみなさん「カモン!」と発音しているのではないでしょうか。

あと、ビートルズの「Let it be」(レリビー)と『アナと雪の女王』の主題歌になった「Let it go」(レリゴウ)もつなげて発音しています。これは歌を耳で聞いて、聞こえるままに発音しているからでしょう。それぞれ、「レット イット ビー」や「レット イット ゴウ」と発音していたら、歌が間に合わないですよね。

このように聞こえたままをカタカナにして、それを読ませると日本人でもネイティブに伝わる発音がカンタンにできることに気づきました。わかりにくい発音記号とは大違いです! そこで、さまざまな英語フレーズをネイティブの発音のままにカタカナ化する「カタカナ発音法」という指導方法を編み出しました。

たとえば、

Got it!→ガレ!
Thank you.→フェンキュ
Help me.→ヘォッミ
I don’t know.→アロンノウ
I need a taxi.→アニーラ ークスィ
Don’t drink that.→ドン ジュンッ ダッ

という具合です。英語ではアクセントも大事なので、強く発音する場所は太字で書いています。

甲斐ナオミ『カタカナ英会話』(‎Gakken)
甲斐ナオミ『カタカナ英会話』(‎Gakken)

数年前に『シン・ゴジラ』という映画で石原さとみさんが英語ネイティブの役を演じましたが、発音が良かったにもかかわらず、聞き取りにくい英語に感じました。その理由は、英語ネイティブは早口というイメージがあるのか、彼女はかなり早口でセリフを言っていたのと、アクセントが違うところについていたからということに気づきました。しかし、もしかしてそう感じているのは私だけ? と思い、アメリカ人の友人に彼女のセリフを聞いてもらい意見を伺ったところ、同意見でした。やはり彼もアクセントが理由で聞き取れないと言っていました。ですので、アクセントも大事ということです。

難しく考える必要はありません。ネイティブの発音を聞こえるままカタカナで書けばいいのです。私が著した『カタカナ英会話』では、日常生活でよく使うフレーズを収録しています。読むだけでネイティブ発音ができ、カッコよく話せるようになります。すると、リスニングもできるようになっていき、英語を勉強するのが楽しくなっていきますよ。ぜひ、やってみてください。

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甲斐 ナオミ(かい・なおみ)
英会話講師、翻訳家
モントリオール大学英仏翻訳科大学院修士課程卒業までに6カ国語をマスターし、現在は英語、フランス語、日本語のトリリンガル。カナダ在住のとき、ジャパニーズ英語で苦労してきた父母を見てきて、「日本人のカタカナ英語でも、ネイティブに通じる方法はないか?」と研究し続け、「カタカナ発音法」を生み出す。「世界まる見え!テレビ特捜部」(日本テレビ)や「日立 世界ふしぎ発見!」(TBSテレビ)などに通訳で出演するほか、「ダーウィンが来た!」「ワイルドライフ」(NHK)などの英語字幕・ナレーション翻訳を手がける。著書に『これだけ! 接客英会話 丸覚えフレーズBOOK』(ナツメ社)、『ネイティブの“こども英語”で通じる英会話』(あさ出版)、『ながめて覚える英単語1200』(かんき出版)など。

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(英会話講師、翻訳家 甲斐 ナオミ)

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