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ハーバードの学生は卒業までにA4用紙50キロ分の作文を書く…2つの実験が証明した「書いて学ぶ」驚きの効果

プレジデントオンライン / 2024年4月6日 12時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/SolStock

世界のエリートはどんな勉強法をしているのか。韓国を代表するライティング・コーチのソン・スッキさんは「ハーバード大の学生は卒業までにA4用紙50キロ分のライティングをしている。書いて学ぶことの効果は実験でも明らかだ」という――。

※本稿は、ソン・スッキ著、岡崎暢子訳『作文宿題が30分で書ける! 秘密のハーバード作文』(CCCメディアハウス)の一部を再編集したものです。

■ハーバードの学生1人が書くエッセイはA4サイズ50キロ分

ハーバード大学の学生1人が卒業するまでに書いたエッセイ用紙を集めて重さを量ると、A4サイズの用紙の総重量が50キログラムにもなるそうです。大学生の彼らもたくさんのライティングの宿題をこなしているのですね。

学生たちは、その宿題のおかげで授業にも積極的に取り組めて、内容がしっかり理解でき、アイデアも浮かぶようになったと実感しています。また、ライティングの宿題を通して、新たな興味や面白さを見つけたという学生たちもいます。

ハーバード大学で心理学を学んでいる学生800人を対象に、次のような実験が行われました。

まず、Aグループの学生には、あるテーマに関する主な内容を教えた後で、そのテーマについて自由にエッセイを書いてもらいました。彼らは理解した内容に、たとえなどを交えながらオリジナルの文章を書きあげました。

一方、Bグループの学生には、同じテーマの主な内容をまとめたスライドを見せた後、その内容や事例をそのまま書き写してもらいました。

さて、実験が始まるのはここからです。

AB両グループの全員に対し、先ほどのテーマについてどの程度理解できているのか、テストを受けてもらいました。すると、単に写し書きしただけのBグループの学生よりも、自分で文章にまとめたAグループのほうがずっと内容を理解していることがわかりました。その実験から2カ月後にもう一度同じような実験を行ってみても、やはりAグループの学生たちの学習効果のほうがずっと高かったのです。

■アメリカの科学学術雑誌『サイエンス』の実験

また、こんな実験もあります。アメリカの科学学術雑誌『サイエンス』が、大学生を対象に、科学について書かれた短いテキストを5分間読んでもらう実験を行いました。

学生たちは3つのグループに分かれ、Aグループは試験勉強さながらにテキストをくり返し読み、Bグループは内容を図にまとめ、Cグループは読んだテキストについての短い感想文を書きました。1週間後、この学生たちに、最初に読んだ短いテキストについてテストを行いました。成績優秀だったのはどのグループだったと思いますか?

結果は、Cグループが一番優秀で、続いてAグループ、Bグループの順だったのです。研究グループは、この結果から、「読んだ内容を自分の言葉で新たに書き直すと、長く記憶に残りやすい」という答えを導き出しました。

この2つの大学の実験は、いずれも、学んだことを、自分の言葉にして誰かに説明することがもたらす学習の効果の高さを証明しています。

■ユダヤ式の家庭教育「ハブルータ学習法」

ユダヤ人は教育熱心なことで知られています。彼らの教育方法の中でも、「ハブルータ」と呼ばれる学習法が有名で、これは「お互いに教え合う」学習法です。

彼らは、「人に説明できなければ知らないことと同じ」と考えて、子どもたちには、教えることと同時に自分の言葉で説明させるようにすすめています。子どもたちはやがて、ほかの人たちにも説明できるようになり、学んだことを確実に自分のものにしていくのです。

先ほどの大学での実験でもわかったように、集めた情報を自分の言葉で文章にすることも同様の効果が期待できます。もしかしたら、それ以上かもしれません。なぜなら、書くためには、口で語るだけよりもずっと深く考え、もっときちんと理解していなければならないからです。そのようにして得た知識が長く記憶に残ることは間違いありません。

教室で勉強している小学生
写真=iStock.com/koumaru
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/koumaru

■成績優秀な子は「メタ認知能力」が優れている

「メタ認知学習法」という言葉を聞いたことがありますか? 自分のことを客観的に見る力を「メタ認知」と言います。「メタ認知学習法」は、みなさんが勉強するときに、自分がどれだけ勉強ができているかを客観的に把握することで、学習力をもっと高めていこうという学習法です。自分で考えて疑問点や答えを探していく自主的な勉強も、このメタ認知があってこそできるものです。

成績がずば抜けて優秀な子どもたちは、このメタ認知能力が優れているのです。勉強していると、「難しすぎて、何がわからないのかもわからない」となってしまう人も多いと思いますが、メタ認知に優れた人は、自分が何をわかっていて、何がわかっていないのかをしっかりと把握できています。だから、限られた時間内でも、わからないことを重点的に勉強してカバーすることができるので成績優秀なのです。

しかし、「難しすぎて、何がわからないのかもわからない」というメタ認知能力の低いタイプの人たちも、塾に通ったり、予習をしたり、単語帳を作ったりと一生懸命やっているのです。しかし、自分の弱点がわかっていないから、せっかく勉強をしても必要のないことにまで時間をかけてしまってとても効率が悪いのです。

■オンライン学習には大きな落とし穴がある

最近ではオンラインで学習する機会が飛躍的に増えました。タブレット、スマートフォン、コンピュータで学ぶことが日常的になっています。

ソン・スッキ著、岡崎暢子訳『作文宿題が30分で書ける! 秘密のハーバード作文』(CCCメディアハウス)
ソン・スッキ著、岡崎暢子訳『作文宿題が30分で書ける! 秘密のハーバード作文』(CCCメディアハウス)

ただ、オンライン学習には落とし穴があります。それは、「なんとなくわかった気になる」という錯覚現象です。せっかく勉強するのですから、これだけは避けなければなりません。

特に、メタ認知能力の低い人や、自主的に勉強するのが苦手な人は、オンライン学習の際には気をつけてください。こうした落とし穴を避けるため、オンライン学習でも、必ず手書きでノートを取り、自分で考えて書いてまとめるようにしましょう。

自分が何がわかっていて、何がわからないのかを確認するのにも、「ライティング」が最適です。テーマについて書くことほど、メタ認知能力を向上させる近道はありません。

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ソン・スッキ ライティング・コーチ
大韓民国を代表するライティング・コーチ。ソン・スッキ作文センター、アイデアウイルス代表。1965年生まれ。稼げるライティングソリューションを提供し、企業と個人のマーケティングコンサルティングを担う。慶熙大学校にて国語国文を専攻し、卒業後は、放送局、広告代理店、新聞社、雑誌社、女性向けポータルサイト、出版社などで経験を積む。執筆活動歴35年、ライティング指導歴20年。『魅力ある単語、魅惑の文章』『書き写しの奇跡』など、韓国で多数の著書を上梓し、『150年ハーバード式ライティングの秘密』(いずれも日本未邦訳)は10万部を超えるベストセラーになっている。

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(ライティング・コーチ ソン・スッキ)

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