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「三菱商事"採用大学"ランキング」を見れば一目瞭然…学歴社会・日本で成功に必要な「出身大学の最低ライン」

プレジデントオンライン / 2024年4月12日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

学歴について、どれくらい重視して考えるべきか。学歴研究家のじゅそうけんさんは「日本はバリバリの学歴社会である。多くの大企業は『マーチ以上』に設定された暗黙のルールをとりあえず設けている。野球の大谷翔平選手や将棋の藤井聡太竜王・名人など、常軌を逸した才能の持ち主でなければ、無難にできるだけ難関の大学に行っておくべきだ」という――。

※本稿は、じゅそうけん『中学受験はやめなさい 高校受験のすすめ』(実業之日本社)の一部を再編集したものです。

■職業や所得、社会的権威が学歴によって決まる社会

中学受験にしろ、高校受験にしろ、成功すれば良い学歴が手に入ります。そもそも論として、「学歴」とはなんなのでしょうか。

一般的に学歴とは個人の学業上の経歴を指すもので、主に小学校、中学校、高校、大学、専門学校、短期大学、高等専門学校、大学院の経歴を示す場合が多いです。最後に卒業した学校歴は「最終学歴」と呼ばれます。

また「学歴」をもとに職業や所得、社会的権威が決まる社会のことを「学歴社会」と呼びます。現代では就職の際、その人の最終学歴が応募の条件になっているなど、学歴によって職業選択のパスポートを得られることは常識ですが、近代以前の社会では身分、家柄、財産、縁故といった要素が大きな割合を占めていたと言われています。

日本においては明治時代以降、近代的な官僚制度が誕生し、官僚たちに学歴や学力試験が要求されたことから、学歴社会の基礎が築かれたというのが定説です。1872年には学制が発布され、大学区、中学区、小学区に1校ずつ学校が設置されました。

1877年には当時日本で唯一の大学であった東京大学が、20年後の1897年には京都大学が設立されました。

大学は北海道大学、東北大学、東京大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学の7校の他に、台湾にあった台北大学、韓国にあった京城大学を合わせても9校しかありませんでした。大正時代に入ると大学令により日本最初の私立大学が認められ、福沢諭吉が設立した慶應義塾や、大隈重信が設立した早稲田が正式に私立大学として発足しました。

■日本はバリバリの学歴社会

小学校・中学校・高校に目を向けてみると、学制が発布された明治時代の当初は「下等小学校」と呼ばれる4年制の学校と、それに続く「高等小学校」と呼ばれる4年制の学校がありました。

下等小学校は「尋常小学校」と改称され、1886年には義務教育化しました。1907年には修業年数が6年間に延長され、現在の小学校と同じ年数となっています。

現在の高校(高等学校)にあたるのは5年制の「旧制中学校」であり、特にその後半部分です。大学に進む場合の進路は、小学校が6年、旧制中学校が5年、旧制高等学校が3年、帝国大学が3年だったので、「6・5・3・3」制といえます。

第二次世界大戦後には男女共学化などの改変がなされ、義務教育は小学校+中学校までの9年間に延長され、小学校が6年、中学校が3年、高等学校が3年、大学が4年という、現在の「6・3・3・4」制となっています。

それまでの旧制中学校、高等女学校、実業学校などが「高校」(新制高校・高等学校)として一本化された現在の学制は、「複線型」に対して「単線型」と呼ばれることもあります。

そんな背景がある日本の「学歴社会」ですが、私は現在でも、というか現在の方が日本はバリバリの学歴社会であると感じています。特に出身大学は重視される場面が多いと感じます。

その理由としては大きく2つあり、1つ目は進学率、就職、所得といった目に見えるデータに表れている点、2つ目は評価、アイデンティティ、エンタメといった数値化しにくい部分にも表れている点です。

■大谷翔平、藤井聡太でなければ無難に大学へ行っておく

まず日本が学歴社会である証拠として、こんなデータを挙げてみます。

文部科学省の「学校基本調査」によると、大学進学率は1991年には25.5%でしたが、2023年には57.7%と、ここ30年で2倍以上に高まっています。国民の半数以上が「とりあえず」大学に進学する時代であり、この傾向は今後も続くでしょう。

また厚生労働省の賃金構造基本統計調査をもとに算出したデータによると、学歴・男女別の年収は図表1の通りです。男女ともに大卒・大学院卒の年収が最も高くなっており、学歴と年収には相関がある学歴社会といえるでしょう。

【図表1】学歴と年収
出所=『中学受験はやめなさい 高校受験のすすめ』

インフルエンサーの中には、「大学なんて行く必要ない」「今の時代学歴なんてなくても成功できる」などと言っている人もいますが、そう言っている人に限って難関大学を出ていたりします。

野球の大谷翔平選手や将棋の藤井聡太竜王・名人など、常軌を逸した才能の持ち主でなければ、無難に(できるだけ難関の)大学に行っておいた方が良いというのが私の持論です。

さらに同じ「大卒」の中でも、就職の際は「学歴フィルター」によって、もっと細かく選別がされています。私が勤めていたM銀行でも、法人営業を担う総合職はほぼ全員がGMARCH以上でした。

参考までにダイヤモンド・オンライン調べの、「三菱商事 採用大学ランキング」を載せておきます(図表2)。このような「マーチ以上」に設定された暗黙のルールは多くの大企業がとりあえず設けていると考えられます。

【図表2】三菱商事「採用大学」ランキング
出所=『中学受験はやめなさい 高校受験のすすめ』

■同じ寡黙な人でも「冷静で思慮深い」が「暗くて陰険」になる

次に数値化しにくい分野でも、日本が学歴社会であると感じる点は多々あります。

最もわかりやすく生活に溶け込んでいるのは、「印象」面でしょう。建前として「学歴が全てではない」「学歴は関係ない」という宣言をする人も、心のどこかで相手を学歴で判断してしまっている側面があると思います。

例えば同じ「寡黙な」人がいたとして、その人が高学歴であれば「冷静で思慮深い」という良い印象を抱くでしょうし、反対に低学歴であれば「暗くて陰険」といった悪い印象を抱くかもしれません。

じゅそうけん『中学受験はやめなさい 高校受験のすすめ』(実業之日本社)
じゅそうけん『中学受験はやめなさい 高校受験のすすめ』(実業之日本社)

結局、ほとんどの人は自らの物差しで相手の実力を判断することなんかできず、「学歴」「職歴」といったわかりやすいフィルターを通して他人のことをわかった気になっているのが現実なのです。

また他人との交流ではなく、自身の内面や自己決定といった面でも、学歴は重要な役割を果たしていると感じます。例えば幼少期から勉強が得意で、受験でも良い結果を残した人は、なるべく知能を生かすような仕事に就きたいと考えるでしょう。

高学歴な人が自発的であるにせよ何らかの事情があるにせよ、高学歴者が少ない仕事に就いた場合、「○○大学を出たのに」といったコンプレックスになる場合も多いと思います。X(旧Twitter)では、高学歴なのに大企業でうまくやっていけずフリーターになってしまったり、ニートになってしまったりした人たちが悲痛な叫びを上げています。

■「東大を出たのに」という魔力

個人的には別に東大卒だろうとフリーターやニートをやっても全然問題ないと思いますが、これらの出来事が著しく彼らの自己肯定感を下げてしまっているところを見ると、日本社会で生きるにはどうしても意識せざるを得ない「学歴」の魔力を感じます。

このように日本社会では今でも学歴が重要な役割を占めており、進学率や所得といった明確なデータに表れています。

また私は以前、仮面浪人・再受験専門の学習塾を経営していたのですが、日々「学歴コンプレックス」を抱えた人々からの相談を受けていました。このような経験からも、目に見えなくてもその人のアイデンティティを形成する重要な要素としての「学歴」を実感しています。

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じゅそうけん 学歴研究家
受験総合研究所、略して「じゅそうけん」の名前で活動する学歴研究家。本名は伊藤滉一郎。じゅそうけん合同会社代表。「じゅそうけんオンライン塾」を運営する傍ら、X(旧Twitter)をはじめとするSNSコンサルティングサービスも展開する。早稲田大学を卒業後、大手金融機関に就職。その後、人生をかけて学歴と向き合うことを決意し退職。高学歴1000人以上への受験に関するインタビューや独自のリサーチで得た情報を、X(旧Twitter)やYouTube、Webメディアなどで発信している。著書に『中学受験 子どもの人生を本気で考えた受験校選び戦略』(KADOKAWA)、『中学受験はやめなさい 高校受験のすすめ』(実業之日本社)がある。

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(学歴研究家 じゅそうけん)

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