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なぜ出世する人は「やたらと電話を切るのが遅い」のか…1周回って今こそ使える「昭和の仕事術」

プレジデントオンライン / 2024年4月26日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/BrianAJackson

優秀なビジネスマンは電話を使うとき、どんなことを意識しているのか。大手広告代理店で管理職をつとめる後田良輔さんは「私が知っているVIPは電話を切るとき、不通音が聞こえたのを確認してから、電話を切る。こうした細かい心遣いは相手だけでなく社内の評判もあげる」という――。

※本稿は、後田良輔『今こそ使える昭和の仕事術 ビジネスマン30年生の経験がたった3分で身につく』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

■なぜいまアナログな仕事術が必要なのか

多くの若手ビジネスパーソンは、デジタルツールを使いこなす一方、逆にアナログコミュニケーションを苦手としています。それは、「デジタルのみが進化して対人場面に慣れていない(怖い)」「そもそもコミュニケーション方法を教えられたことがない」ことが大きいでしょう。

アナログコミュニケーションは、現代において完全に不必要になったわけではありません。にもかかわらず、今は誰も教えなくなりました。

なぜならパワハラ・セクハラなどコンプライアンスが重視される時代になったからです。

「人に叱られなくなったら終わりだ」なんて昔から言われていた教えはもはや死語です。

あなたの上司や先輩は「あなたのミスや失敗を指摘しアドバイスすると、パワハラと言われるかもしれない。だったら言わないでおこう」と考えています。

また、現代の若者の3人に1人が、「現在の職場がゆるい」「このまま所属する会社の仕事をしていても成長できない」と考え、2人に1人が「自分は別の会社や部署で通用しなくなるのではないか」と心配している時代です(リクルートワークス研究所2022年調べ)。

■AIが絶対に習得できないスキル

そんななかで、昭和のアナログな仕事術がとても重要になりました。

この技術を身につければAIがどんなに進化しても怖くはありません。なぜならAIは、最適化は得意ですが、気づかうことは苦手だからです。

昭和の仕事術は、令和の若手社員にとっては、最初はちょっと違和感があるかもしれません。

ですが「こうしたら喜んでもらえるのでは?」「お互いを思いやるにはどうすれば良いのだろう?」と考えて行動すれば、理想とする仲間が増え、成果もどんどん出始めます。

昭和の仕事術は簡単なものばかりです。しかしその極意はまるでアートと言ってよいほど奥が深い。高級ホテルのサービスやホスピタリティの上位概念とも言える「デキる人・一流の人だけが知っている昭和の仕事術」を、ぜひあなたにも身につけていただきたいと思っています。

本稿では、1周回って今こそ使える「昭和の仕事術」の一部をお伝えしましょう。

■電話は真っ先に取ったほうがいい

「知り合いの電話は普通に話せるけど、会社の電話は緊張する……」

個人で携帯電話を持つことにより、固定電話を使う機会が減ってきた時代。それでも会社に掛かってきた電話に誰かが出なくてはいけない場面があるものです。

そんなときあなたはどうしていますか? 電話を避けているなら損する人と言えるでしょう。なぜなら電話取りはスキルアップに役立ち、また周りにも貢献できる行為だからです。

電話とはアドリブ能力を鍛えるマシーンです。電話に出るだけで、ぶっつけ本番に対しての対応力が向上します(これは場数を踏まないと鍛えられません)。

加えて電話の取次ぎをすれば、相手の社名や名前から社内の仕事状況が予測できるようになり、業務の先手を打つことが可能になります。

さらに何より、あなたが電話に出ればうるさい呼び出し音からみんなを解放することに貢献できます。だからこそ、電話はまっ先に取ることが正解なのです。

でもどうしても苦手ですって? だいじょうぶです。電話で聞かれることは大体同じですので事前に「どこの・誰が・誰に・何をしてほしい」などのメモのひな形を作っておけば、慌てることなく対応できます。ヒヤリングのフォーマットがあれば、ほとんどの電話は対応できますよ。

■「ツーツー音」が聞こえてから電話を切る

「やたらと電話を切るのが遅い」

これが特に周囲からの評判が良いVIPの電話の特徴です。

通常は「失礼します」と言ったあとに電話を切ります。しかし評判が良いVIPは、相手が電話を切ったあとの「ツーツー音やポコリン音」などの不通音が聞こえたのを確認してから、電話を切っていました。

これにより相手が別件を急に話し始めたのを遮る事故や固定電話の受話器をガチャンと鳴らす騒音を聞かせる失礼を回避していたのです。

電話対応は相手には見えないもの。でも見えない心くばりの微差はなぜか相手に伝わります。またそんな工夫を仕掛けているあなたを職場の仲間たちは100%観察しています。

「相手が切るまで耳を離さない」「固定電話を切る際はフックを押してから受話部(耳につけて話を聞く部分)から静かに置く」など、電話はまるで赤ちゃんのやわらかい頬をつんつんするくらいの優しいイメージで接するのが電話対応の正解です。

過去に電話で失敗したことのあるVIPは、デスクに鏡を置いて表情を確認したり、自分の心が和むように小さい観葉植物を置いて、優しく接する工夫もしていました。

ちょっとした電話対応で印象が180度変わるので、失敗しないように注意してください。

窓のそばで電話をするビジネスマン
写真=iStock.com/skyNext
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/skyNext

■「日本一の下足番になってみろ」

2023年、WBC(ワールドベースボールクラシック)で世界一となった日本野球の特徴は「つなぐ野球」と言われました。自分が自分がと個人が前に出るのではなく、チームの勝利のために、今、何をすべきなのかに個々が注力する。たとえ自分が犠牲になっても次の人のために貢献するひたむきな選手の姿に、胸を打たれた人も多いと思います。

私たちのビジネスにも、このチームのために貢献する姿勢が必要です。

たとえば、毎日使うコピー機の用紙や社用車ガソリン補充を次の人が困らないように手配する。会議後に部屋をきれいに掃除する。レストランでランチをしたあと椅子を元に戻してから立ち去るなど、誰が見ている訳でもないのに次の人のために行動している人がいます。そんな人の所作は美しく、またその陰の行動に皆、実は気づき感謝しています。

「世の中は駕籠に乗る人、担ぐ人、そのまた草履(ぞうり)を作る人で成り立つ」
By田中角栄


「日本一の下足番(げそくばん)になってみろ。そうしたら誰も君を下足番にしておかぬ」
By小林一三

現代日本を作ったVIPもこのように陰の活躍が重要と言っています。

誰かがやった方が良いことは、あなたがやるべきことです。人に陰ながら評価されることもありますが、何より自分の気持ちが清々しくなりますのでやらない手はありません。

■人にしてもらった親切を覚えておく

「仕事を手伝ってあげたのに、自分一人で頑張りましたと上司に報告された」
「いつも甘えてくるのに、こちらが困ったときは助けてくれない」

人が何かをしてくれるのを当たり前と思い、自分中心で考える人がいます。そんな人は不義理な人と周囲に思われ、本人が気づかないうちに嫌われていきます。

逆にいただいた親切をきちんと覚えておき、感謝の気持ちをお返しする人は信用をえることができます。

「報恩(ほうおん)」という仏教用語があるように、恩に感謝し、それに報いる恩の循環は、あなたはもちろん周囲も幸せにしてくれます。

そのことを知っているVIPは、

「親切をいただいたら、それを忘れないようにノートにメモ書きする」
「『○○してくれてありがとうございます』と親切を具体化してお礼を言う」

などの恩を忘れない・お返しする行為を意識的に行い、みんなでほっこりしています。

後田良輔『今こそ使える昭和の仕事術 ビジネスマン30年生の経験がたった3分で身につく』(かんき出版)
後田良輔『今こそ使える昭和の仕事術 ビジネスマン30年生の経験がたった3分で身につく』(かんき出版)

あなたの誕生日を覚えている人に親近感を抱いたり、親の命日にひと言声をかけてくれる人に有難さを感じるのが、人の心と言うものです。

いただいた親切は忘れると損しかありませんが、覚えてお返しすると得ばかりが返ってくる魔法のような効果があります。

以上のように、相手を大切に思う気持ちを「行動」や「言葉」という形にして、心地良さを届けることが「気くばり」の基本です。

自分も相手も気持ちよく、スムーズに仕事ができるようになるため、結果的にタイパの良さにつながります。ぜひ、取り入れてみてください。

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後田 良輔(うしろだ・りょうすけ)
大手広告代理店管理職
1972年生まれ。大手3大広告代理店に営業職として勤務し、「誰でも使える気配り術」を駆使する気配りのプロフェッショナル。特別丁寧に接しなければならない顧客との交流で磨かれたスキルと、「東京・名古屋・大阪」のビジネス三大都市で、実際に勤務して身につけたリアルな経験を組み合わせ、独自の「誰でも使える気配り術」を開発。その結果、飛び込み営業成功率72.6%、累計30億円以上の商談を獲得。『逆境を活かす! 就活面接「エモロジカル理論」2015年度版』(実務教育出版)、『落ちこぼれでも3秒で社内エースに変わる! ぶっちぎり理論38』、『気配りの正解』(ともに、ダイヤモンド社)、『ミスを最大のチャンスに変えるリカバリーの技術』(明日香出版社)などがある。

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(大手広告代理店管理職 後田 良輔)

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