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「あの映画見た?」に「私も」と言ってはいけない…なぜか嫌われる人に共通する"承認欲求のダダ漏れ現象"

プレジデントオンライン / 2024年4月9日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maroke

嫌われやすい人の話し方にはどんな問題があるのか。コミュニケーションコーチの小林音子さんは「良かれと思って説明を過剰にしていたり、相手に共感を示しているつもりで、会話泥棒をしている人がいる」という――。

※本稿は、小林音子『アメリカの中高生が学んでいる話し方の授業』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

■「無自覚の欲求」に気づく必要がある

自分の承認欲求をマネジメントするためには、まずは無自覚の欲求に気づく必要があります。承認欲求のマネジメントを始めるために、「承認欲求をマネジメントできていない5つのNG例」を見ることで自分自身の経験を振り返り、メタ認知をしてみましょう。NG例1~3を紹介した前回に続き、今回はNG例4~5を紹介します。

■延々とサブスクの仕組みを話す営業担当者

【NG4】親切に説明する

「親切に説明する」ことは前回の記事で紹介した「よかれと思ってアドバイスをする」に似ていますが、助言のスタイルにすらなっていないところが異なります。あなたはある会社の経理部に所属しています。

すでに会計ソフトは使用していましたが、新しい税制に対応することも考えて、ソフトの見直しをすることにしました。そこへちょうどある会計ソフトのベンダーが「ぜひとも私どもの会計ソフトを紹介させてほしい」と営業をかけてきたので話を聞いてみることにしました。そこで、特に新しい税制への対応状況について聞きたい旨を伝えると、営業担当者が説明を始めました。

「私どもの会計ソフトはウェブブラウザ上で使用できるクラウドサービス方式ですので、貴社の端末にインストールする必要はありません。使用料も月契約か年契約によるサブスクリプション方式になります。サブスクリプションというのは元々雑誌や新聞などの定期購読における支払い方式を示していまして、それが現在ではソフトウェアの定期使用料を支払う方法にも使われるようになったんですね。よく知られているサブスクリプションサービスでは動画配信サービスとか音楽配信サービス、あるいは電子書籍の読み放題などもあり、現在ではソフトウェアのお支払い形式としてはメジャーな方式となっています。また、もっと身近なところでは――」

■「仕事ができると思わせたい」場合に起こりやすい

あなたはそろそろ苛立っているはずです。そしてこう言います。

「そのご説明はもう結構です。サブスクリプションのことはわかっていますから。それより来年度から施行される新しい税制への対応はどうなっているんですか?」

つまり、この営業担当者は、あなたが知りたがっていた肝心の新しい税制への対応状況への説明をせず、親切だと思い込んで何もかも説明をしようとしてしまったのです。

「いい人に思われたい」「仕事ができると思わせたい」「信用されたい」「気が利く人だと思われたい」「知識があると思わせたい」などという承認欲求を満たせるチャンスを待ち望んでいた場合に起こりやすい状況です。

もう一つの例です。あなたと友人たちが渋谷で集まり、お昼になったのでどこかこのあたりで食事をしようという話になりました。そこで「メキシコ料理がいいね」と意見がまとまりかけたときです。当然、渋谷界隈でお店を探そうとなったのですが、友人の一人が次のように話し始めました。

■「今、その説明いる?」と思われる

「メキシコ料理いいねー。この間ね、六本木の○○っていうメキシコ料理店で食事したの。それがすごく美味しくて。お店の内装もいかにもメキシコっぽかったし、途中でマリアッチ(メキシコ民俗音楽を演奏する楽団)の生演奏も聞ける……」

友人たちは一瞬不快な表情をして、「それは素敵ね!」などと口先ではあいづちを打ってはいます。そして一人が「その店の話は今度にして、今はこのあたり(渋谷界隈)のお店を決めなくちゃね」と本来の目的に軌道修正としました。

これも確かに親切なつもりかもしれませんが、「今、その説明いる?」と思われてしまうでしょう。この例は「経験豊富と思わせたい」「羨ましがられたい」という承認欲求を満たせるチャンスを待ち構えていたため、キーワードが出ただけでその話の主旨を忘れて話し始めてしまったのです。

承認欲求を自覚していないと、親切で説明しているつもりでも、実は自身の欲求を満たすために話している場合があります。そうすると、相手は知識をひけらかしている、マウントを取っていると誤解するので気をつけましょう。

■会話の主導権を奪う「会話泥棒」

【NG5】話題を横取りする

これは「会話泥棒」と呼ばれている行為です。会話泥棒は、相手が主導権を持って話しているときに、相手の発言したキーワードやアイディアを自分が提案した話題のように取り上げて、主導権を自分側に奪ってしまう行為です。

あなたは友人に昨日観に行った映画の話を始めました。

「昨日ね、映画の『バービー』を観に行ったの」

すると友人は間髪を入れずに話を被せてきました。

「私も観たよ! あの映画面白いよね。もっと子ども向けかと思ってたんだけど勇気もらってさ――」

そしてとうとうと、いかに面白かったか、自分がどの部分に感動したのかなどについて語り続けました。あなたは、「まだ私の話が始まっていないのに……」と悶々としてしまいます。

これは、あなたが持ち出したテーマを友人が横取りして自分の話をしてしまっているのです。

本当は、あなたが話したかったのは、映画を観ている最中に隣の席に座った年配の男性が寝てしまい、いびきをかきながらあなたの肩に寄りかかってきたことが、すごく迷惑だったという話だったのです。しかし、友人はあなたの話を聞きもせずに、自分の思い込みでテーマを解釈して思いついたことをすぐに話し始めてしまったのですね。

映画館の座席の上に置かれたポップコーン
写真=iStock.com/razihusin
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/razihusin

■多くの人は「共感を示せている」と思っている

「私も、映画を観た」という同じ経験があることを示すことは問題ありませんが、「私もそれについて話したい」「話したくて我慢できない」「私もその話題なら注目を浴びることができる」という承認欲求を抑えきれないと、まだしっかりと聞いてもいないうちから共感のように見せかけて話し手のテーマを奪い、話し続けてしまうのです。

多くの人がこの友人のように、承認欲求に無自覚で会話泥棒になっていることに気がついていません。「私も」という言葉だけで相手に共感を示せていると満足しているのです。結局、相手は自分の話したかったことを話せずに、悶々とした不満を抱え込んでしまいますので、注意が必要です。

その上自分の話をし続けてしまうのは、相手を受け入れていない自己中心的なマインドと捉えられ、相手から好感を得ることは難しくなります。このようなときには「私も観たよー。面白かったよね。どうだった?」と、自分の経験も共有した上で話のバトンを戻せばよいのです。

■重要なのは「承認欲求」のマネジメント

前回記事から紹介してきた5つのNG例のいずれかを、経験したことがある、自分も誰かにしたことがあることに気づいた人もいるでしょう。私どものレッスンでは、

「勝手に説明するのは親切だと思っていたけど相手は迷惑と思ってたかもしれません。勘違いしてました」
「共感できてると思ってましたが、会話泥棒してたことに気づきました」

小林音子『アメリカの中高生が学んでいる話し方の授業』(SBクリエイティブ)
小林音子『アメリカの中高生が学んでいる話し方の授業』(SBクリエイティブ)

など、自分の経験の答え合わせをするような感想が挙がります。「今までの自分が本当に恥ずかしい」と「無自覚」が「自覚」に変わった瞬間に涙が溢れてくる人や、「私、嫌われてるかもと薄々感じてたんですが、嫌われてたに違いないと確信しました。今まで付き合ってくれたみんなに申し訳ない」と原因がわかって反省する人、「よく僕はこういうことやられるんだけど相手はこんなこと考えてたんだ」と大笑いする人もいらっしゃいます。

自分の承認欲求を自覚すると相手の承認欲求も見えてくるようになります。自分の承認欲求をマネジメントすることはコミュニケーションにおいて重要な役割を果たします。

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小林 音子(こばやし・おとこ)
コミュニケーションコーチ
TEDxスピーチトレーナー、エグゼクティブメディアトレーナー。オリオンズベルトグローバル代表取締役。俳優。コミュニケーションにおけるマインド、言語表現、非言語表現の3つの観点から「自己理解」を深め、「伝える技術」が向上するメソッドを確立。アメリカでコミュニケーションのスクールを複数回視察し、得た知見をメソッドに取り入れる。TEDxスピーカーやビジネスパーソンをはじめ、講師、学生、俳優、タレントに至るまで多様な分野の方に「表現力」のトレーニングを提供。メディアコーチとしては、政界や経済界のエグゼクティブ、広報担当者にメディア対応に必要な技術をコーチング。コミュニケーションコーチとしては、子供からシニアまで幅広い年齢層に向けて「話し方」「聞き方」の基本から、受験・就職面接対策、お見合い対策などをコーチングする。多角的に執筆・講演・ビジネストレーニングを手掛けている。

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(コミュニケーションコーチ 小林 音子)

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