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「夏はTシャツで寝る」はやめたほうがいい…睡眠のプロが「寝具は夏用と冬用を分けるな」というワケ

プレジデントオンライン / 2024年11月27日 17時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/gorodenkoff

睡眠の質を上げるために効果的なアイテムは何か。スリープトレーナーのヒラノマリさんは「布団やパジャマは厳密に『夏用』『冬用』とわけず、1年中使えるようにしたほうがいい。パジャマは1年を通して長袖長ズボンがおすすめだ」という――。

※本稿は、ヒラノマリ『人生を変える睡眠術』(大和出版)の一部を再編集したものです。

■マットレスは迷ったら硬いものを選ぶ

質のいい睡眠を成り立たせる2本の柱として、「体の外側からのアプローチ」と「体の内側からのアプローチ」があります。

この「体の外側」と「体の内側」には、次のようなものがあります。

【図表1】マットレス・枕の「体の外側」を見てみよう
(出所=『人生を変える睡眠術』)

ここではまず、体の外側からのアプローチに焦点を当てましょう。

日本人は布団文化で進んできたので、「布団は硬いほうがいいのでは」「柔らかいと体に悪いのでは」と考える人もいるようです。

でも、硬すぎる布団はよく眠れないことが多いもの。腰とマットレスの間にすきまができると腰を痛める原因にもなりますので、ほどよい柔らかさがあることが重要です。

しかし、新しくマットレスを選ぶ際、硬いものかソフトなものかで迷ったら、とりあえず硬いものを買いましょう。

というのもマットレスは、後からトッパー(マットレスの上に敷いて寝心地を調整するもの)などを敷いて柔らかくすることは可能ですが、柔らかいものを硬くするのは難しいからです。

■コイルが入っているマットレスは10年前後で買い替えどき

意外と見落としがちなのが、ベッドパッドです。

ベッドパッドはマットレスへの汗のしみ込みや汚れ防止にもなるので、ぜひ使ってください。ポリエステルより綿や羊毛などの素材のものを使ったほうが、通気性が確保されて蒸れにくくなります。

使っているうちに、寝具がだんだん合わなくなってきた場合、買い替えなくても手持ちのものをベターな状態にする方法があります。

男性で多いのは、太って、お尻にお肉がついたために腰が浮くようになって、硬いマットレスが合わなくなるケース。この場合は、クッション性のあるものを入れて、腰とマットレスのすきまを埋めると快適になります。

低反発のマットレストッパーを上に載せるのもおすすめですが、このとき、厚手のものより薄手のものがいいでしょう。

ただし、マットレス本体が歪んだり、へたったりしている場合は、何を上に敷いても修正できません。そのときは買い替えをおすすめします。

コイルの入っていないウレタンや高反発ファイバーのマットレスの寿命は7年前後、コイルが入っているマットレスは10年前後で買い替えどきと言われています。

■柔らかいリネン類を使うだけでも変わる

枕を選ぶときは、高さ、素材、また男性か女性かを考慮することが必要です。

男性は、柔らかいフェザー系や綿の枕は避け、高反発系の素材やパイプの枕など、硬めのしっかりしたものを選びましょう。

男性は女性よりも骨格がしっかりしていて筋肉量や骨量もあるので、ある程度の硬さがないと首を支えられず、寝姿勢が崩れがちだからです。

女性の場合、低めの枕が合うケースが多いです。普段高すぎる枕を使っているという方が多いのですが、それだと首にシワが寄りやすいというデメリットがあるので、一度見直してみるといいでしょう。

枕の寿命は素材によって異なりますので、それに応じて買い替えてください。

マットレスはそのままでも、シーツや枕カバー、布団カバーなどのリネン類を変えるだけでも睡眠の質は変わりやすくなります。

「肌から眠る」。これは私が睡眠のキーワードのひとつに位置づけているものです。

白いタオル
写真=iStock.com/utah778
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/utah778

なぜなら、副交感神経のスイッチを入れるトリガーの中に「肌触り」があるからです。

タオルやブランケットの柔らかい感触や香りは、心を落ち着かせてくれます。

スヌーピーに出てくるライナスの毛布もそうですし、小さい子の顔まわりに柔らかいガーゼを置いたりするのも、肌から眠りをもたらす作用があります。

したがって、リネン類もなるべく柔らかい素材にしましょう。

夏なら麻が入った素材などと、さらっとした感触やひんやりした感触のあるものに変えてみると、それだけでも眠りの質が変わってきます。

■夏以外の寝室の適温は約16~19度、湿度は50%

寝るとき、クーラーや暖房の温度調整に悩む人も多いと思います。

夏だと寝室の適温は約26度、湿度は50%と言われ、それ以外の季節は、室温16~19度、湿度50%が目安になります。

ポイントは、実際に温湿度計を見て調整すること。アスリートやビジネスパーソンをサポートする際も、睡眠の見える化のひとつとして、部屋には必ず温湿度計を置いてもらっています。

特に夏は、エアコンを26度に設定しても実際の室温は28度ということがあり、ギャップがあるものです。クーラーの設定だけに頼らないほうがいいのです。

エアコンとリモコン
写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maroke

冬場は乾燥しがちなので、加湿器で潤いを加えましょう。

梅雨の時期は、気温は低くても、湿度が70~80%もあり、ジメジメして不快な夜もありますよね。そういったときは除湿器の出番ですが、手持ちの除湿器がない場合は、本書で紹介している「ペットボトルの除湿器」を使うのもいいと思います。

■皮膚表面に冷気が直接当たると、自律神経の働きが鈍くなる

「クーラーをつけると体がだるくなる」と言う方がいますが、それは多くの場合、体がクーラーの風に直接当たっているのが原因です。

皮膚表面に冷気が直接当たると、自律神経の働きが鈍ったり、毛細血管の血流が悪くなったりして、そのために疲労物質が体外に出にくくなり、だるくなると言われています。

また、扇風機は、体に当てるのではなく、空気を対流させるのに使うのが一番です。

特に夏の日中は暑いので、日中に壁や家具などが溜め込んだ熱(放射熱)が夕方以降に発散されて、部屋の中が暑くなります。

でも、寝る30分~1時間前に、一度扇風機で壁を冷やすとだいぶ違います。

扇風機の風が涼しくなるし、エアコンの効きも違ってくるのです。

ずっと閉め切っていた部屋なら、少し風も通すといいでしょう。

冷たい空気は下にたまるので、夏はエアコンの風向きを一番上に向けておくのがポイントです。プラス、サーキュレーターを使うと温度管理しやすいです。

冬は逆に、エアコンの風向きを真下にしてください。温かい空気は上に上がるので、エアコンの羽根を下に向けることで空気を対流させるのが、部屋をムラなく温めるコツです。

■布団やパジャマを通年で使い分ける

季節によって、夜と朝の温度差が大きく開く時期があるものです。

特に春や秋は、寝る時点では温かくても、早朝に冷え込むことがありますよね。

そういう場合は、足元にブランケットや布団を置いておき、寒くなったらすぐかぶれるようにしておくのもひとつの方法です。

また、布団やパジャマを厳密に「夏用」「冬用」とわけず、1年中使えるようにしておくのもおすすめです。

たとえば、春から夏になりかけの肌寒い日はパジャマを冬用に戻して、暑く感じる日には「春だけど、今夜は暑そうだから夏用のパジャマを着て寝よう」などと、使い分けられるといいですね。

同じように、気候が微妙、または一定しない時期は、布団やリネンの使い分けや組み合わせも工夫するといいでしょう。寝具全体でミックスしてみてください。

夏だから冬だからと、全部いっぺんに衣替えする必要はありませんが、パジャマも込みでうまく調節すると、気候の変化に対処しやすくなります。

「布団自体は夏用にするのがまだ不安だからそのまま残して、シーツだけは春夏用の薄いものにする」とか「パジャマは春用で布団は冬用のままにしておく」とか、その時々で、自分が快適に眠れる組み合わせを工夫してみましょう。

寝具やパジャマもコーディネートすることが重要です。

いろいろなアイテムをどう組み合わせると自分仕様になるかをわかっておくと、快適に眠れます。

■睡眠にも「寝るためのユニフォーム」が必要

男性の方なら仕事のときはスーツですし、女性の方でも仕事のときと休日とで着る洋服が違いますよね。

多かれ少なかれ「お仕事着」や「ユニフォーム」があり、それを着ると、休日モードからお仕事モードに気持ちが切り替わると思います。

それと同じで、睡眠にも「寝るためのユニフォーム」が必要です。

ベッドに座るパジャマ姿の女性
写真=iStock.com/recep-bg
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/recep-bg

もちろん寝返りのしやすさや、体温調整という視点でもパジャマが重要ですが、パジャマを着ることで、脳に「これから寝ますよ」と伝わり、脳を切り替える役割があります。

ですので、面倒でも必ず部屋着とパジャマはわけるようにしてください。

コロナ禍のとき、ほぼ家の中で過ごしたため、1日中パジャマを着ていて日常生活と睡眠時間の切り替えがうまくいかなかったという方もいるのではないでしょうか。

寝つきが悪く、中途覚醒が増えて、睡眠の質が低下していたものの、部屋着とパジャマをわけて生活しただけで睡眠の質が上がったという方もいらっしゃいました。

寝る前ギリギリまでお仕事をしている方も、「寝るためのユニフォーム」でお仕事と睡眠の切り替えをしていただくのがおすすめです。

■モコモコ素材よりも綿素材+レッグウォーマー

基本的に、パジャマは1年を通して長袖長ズボンがおすすめです。真夏だからとTシャツで寝ると、朝起きたら冷えていることが多いからです。

ヒラノマリ『人生を変える睡眠術』(大和出版)
ヒラノマリ『人生を変える睡眠術』(大和出版)

ここでも、キーワードは「深部体温」です。汗をかいて、それが衣服の布に吸収されたり、蒸発したりすることで、深部体温が下がって眠りやすくなるのです。

でも、半袖短パンでは、手足を覆っている布がないので汗を吸収できなかったり、そもそもあまり汗をかかなかったりして、深部体温が下がりにくくなります。

また、冬はモコモコ素材のパジャマに頼らないことです。モコモコ素材は化学繊維なのでうまく汗が発散されず、皮膚とパジャマの間に水分がたまって逆に冷える原因になってしまいます。冬こそ、通気性のいい綿素材のパジャマをおすすめします。

レッグウォーマーも役に立ちます。靴下をはいて寝ると深部体温が下がりにくくなってしまいますが、レッグウォーマーならその心配はありませんし、寒さもかなり防げます。

足首やふくらはぎを冷やすと全身の血流が悪くなるので、できれば夏でもレッグウォーマーを使っていただきたいです。

電気あんかも、寝るときに体を温めるために使うのはいいですが、一晩中ずっと使うと深部体温が下がりませんし、汗をかいて寝冷えの原因になることがあるので、途中でスイッチを切りましょう。

お湯を使う湯たんぽなら、自然に温度が冷めていくので問題ないと思います。

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ヒラノマリ(ひらのまり)
スリープトレーナー、睡眠健康指導士
自身も不眠症を経験したことから睡眠学に興味を持ち、大学卒業後は大塚家具に入社。一般のお客様からホテル、保養所、大使館などのベッドや寝室全体のコンサルティングを経験する。現在は日本で唯一のアスリート専門の睡眠のパーソナルトレーナー『スリープトレーナー』としてメジャーリーガーの藤浪晋太郎投手、プロ野球選手、Jリーガー、オリンピック選手などに試合時に合わせた睡眠アドバイスから寝具・パジャマ選びまで行っている。

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(スリープトレーナー、睡眠健康指導士 ヒラノマリ)

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