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アジアトップ校学生モチベーション調査

PR TIMES / 2013年9月3日 14時49分

アジアトップ校学生には“就社”を意識付けるアプローチを

 経営コンサルティングを手がける株式会社リンクアンドモチベーション(東証一部、代表:小笹芳央、以下LM)の研究機関『モチベーションエンジニアリング研究所』は、アジアのトップ校の大学生にアンケート調査を行いました。



【結果サマリー】
■「就社」意識の高い日本人と比較すると、アジアトップ校学生は「就職」意識が高い
注目したいのは、日本人と反対の結果になっている「事業内容」の低さと「仕事内容」の高さです。会社が何をしているかよりも、自分が何をするのかに対しての関心が高いことを示しています。日本人学生が就職活動において、どの「会社」に入るかを重視するのとは異なり、アジアトップ校学生はどの「仕事」をするのかを重視するということです。

■上司に対して求めることは、「キャリア提示」についてのみアジアトップ校学生の方が高い
「上司に求める要素」の重要度は全体的に日本人の方が高くなっていますが、「キャリア提示」についてのみアジアトップ校学生の方が高い結果となりました。「特徴理解」や「課題把握」で差が大きくなっていることから、上司を自分の面倒を見る人とおくかどうか等、上司像の違いがありそうです。

■「ひとつの会社に長く勤める」と考える学生も一定数いる
望ましいキャリアパスについてたずねたところ、「ひとつの会社に長く勤める 36.0%」「複数の会社に勤める 42.7%」などの結果になりました。明確なキャリア目標をもった自立的なアジアトップ校学生ですが、1 つの会社で腰を据えて働きたいという学生も一定数いることがわかりました。「グローバル経営幹部候補」を採用したい日本企業と、「1 つの会社に長く勤めたい」一部のアジアトップ校学生のニーズは、合致する可能性があると言えます。


詳細と考察は、下記をご覧ください。


【はじめに】
「グローバル採用元年」と呼ばれた2011年以降、多くの日本企業が「優秀な外国人社員」を「グローバル経営幹部候補」として採用すべく、「グローバル採用(特にグローバル新卒採用)」に力を入れ始めました。
それから2年、採用した外国人新卒社員は、想定していたような成長を遂げてくれているのでしょうか。
企業にインタビューすると、「すぐに辞めてしまった」「なかなか業務や職場に適応できない」「日本人新卒社員に比べて成長が遅い」などの声を聞くことが多く、多くの企業で「グローバル新卒採用」に成功したとは言えないのが実情です。

しかし、ビジネスのグローバル化が進んでいくこと、また日本における労働力人口が減少していくことは避けられない事実でしょう。「グローバル新卒採用」をいかに成功させるか。日本企業にとって今後も重要な命題であることは間違いありません。
本レポートでは、採用直結型インターンシップ「Asian Job Express (=AJE)」に参加したアジア5地域のトップ校学生にアンケート調査を実施し、就職に対するアジアトップ校学生と日本人学生の意識の違いを明らかにします。その結果をふまえて、アジアトップ校学生にそのポテンシャルを日本企業でいかんなく発揮してもらうために意識すべきポイントを考察します。


【調査概要】
調査目的
◆アジアトップ校学生の就労観、キャリア意識を明らかにする
◆アジアトップ校学生が日本企業で活躍するためのポイントを明らかにする

調査対象
~アジアトップ校学生~
◆対象者  :採用直結型インターンシップ「Asian Job Express (=AJE)」の参加学生(就職活動生)
◆対象地域:中国、香港、インドネシア、シンガポール、ベトナムの5地域
◆対象校  :中国(清華大学、北京理工大学、北京外国語大学、西安交通大学、上海外国語大学、西南財経大学)          香港(香港大学、香港中文大学、香港科技大学)          
      インドネシア(バンドン工科大学、インドネシア大学、ガジャ・マダ大学)          
      シンガポール(シンガポール国立大学、南洋理工大学)          
      ベトナム(ベトナム国家大学、貿易大学、国民経済大学)
◆回答者数:254名
◆調査期間:2013年3月1日~2013年3月18日
◆調査方法:回答用紙をメールにて回収

~日本人ビジネスパーソン~
◆対象データ:適性検査「BRIDGE」過去受検データ
       「2010年度新入社員ワークモチベーション調査」データ


【調査データ】
1.就職活動時に重視するもの
◆企業に求める要素
就職する際に企業に求める要素を8項目に分類し、それぞれの重要度を5点満点で集計しました。


明らかな違いとして、アジアトップ校学生は日本人よりも「施設環境」や「制度待遇」を重視しています。どんな仕事環境が整っていて、どの程度の報酬を得ることができるのかをシビアに評価していると言えます。
注目したいのは、日本人と反対の結果になっている「事業内容」の低さと「仕事内容」の高さです。会社が何をしているかよりも、自分が何をするのかに対しての関心が高いことを示しています。日本人学生が就職活動において、どの「会社」に入るかを重視するのとは異なり、アジアトップ校学生はどの「仕事」をするのかを重視するということです。
言い換えれば、日本人は就職活動とは名ばかりで「就社」意識が高く、アジアトップ校学生は文字通りの「就職」意識が高いということになります。


◆上司に求める要素
上司のどのような行動がモチベーションを高めるかを8項目に分類し、それぞれの重要度を5点満点で集計しました。


上司に対する重要度は全体的に日本人の方が高くなっていますが、「キャリア提示」についてのみアジアトップ校学生の方が高い結果となりました。「特徴理解」や「課題把握」で差が大きくなっていることから、上司を自分の面倒を見る人とおくかどうか等、上司像の違いがありそうです。


◆職場に求める要素
どのような職場がモチベーションを高めるかを8項目に分類し、それぞれの重要度を5点満点で集計しました。


職場に対する重要度は全体的に日本人の方が高くなっています。


2.キャリア意識
◆キャリアプランの有無
キャリアプランについて、明確な目標を持っているか?


アジアトップ校学生の9割以上がキャリアプランについて何らかの目標を持っています。
「プロを目指して働きながら資格を得る」「知識を深めるために、数年間働いた後にビジネススクールで勉強する」などの回答が目立ちました。


◆キャリアパスのイメージ
望ましいキャリアパスのイメージに近いものはどれか?


ジョブホッパーのイメージが強いアジア人新卒社員ですが、「1つの会社に長く勤める」が3割を超えました。それぞれの選択理由としては
1社:安定、企業への忠誠、帰属感
複数社:多様な経験、成長スピード
独立 :自己実現
が挙がりました。


明確なキャリア目標をもった自立的なアジアトップ校学生ですが、1つの会社で腰を据えて働きたいという学生も一定数いることがわかりました。「グローバル経営幹部候補」を採用したい日本企業と、「1つの会社に長く勤めたい」一部のアジアトップ校学生のニーズは、合致する可能性があると言えます。


(参考)アジアトップ校新卒社員の日本企業への不満の声
日本企業とアジアトップ校学生の志向性が合致する可能性を示唆しましたが、現実的には多くの企業で「グローバル新卒採用」に伴う問題が起こっています。日本企業に入社したアジアトップ校新卒社員は、日本企業に対してどのような不満を感じているのか、AJEのOBGである現役のアジアトップ校新卒社員にヒアリングしました。

(1)キャリアの時間観のズレ
 ・「2、3年で母国での経営に携われると思っていたのに、全くそんな気配がない」
 ・「他社で働いている同級生は既に『Chief』を名乗っているが、自分はまだ何も肩書きが無い。
  もっと早くキャリアアップできると思っていた」

(2)求められることに対する違和感
 ・「専門性を評価されて入社したと思っていたが、専門性とは関係の無いこと(礼儀など)ばかりを
  フィードバックされる。このままでは自分の強みを活かせないのでないかと不安になる」
 ・「自分の仕事をしっかりと遂行していれば、『元気か』どうかはあまり関係ないと思うが、
  必要以上に『元気さ』が重視されている気がする」

(3)ロールモデルの不在
 ・「社内に自分と同じような境遇の社員がいないので、どのような活躍の場があるのかわからない」
 ・「お手本にすべき外国人社員の先輩がいないため、キャリアステップが見えなくて不安になる」


【考察】
1.アジアトップ校学生と日本企業との間のギャップの原因
アジアトップ校学生のアンケートや新卒社員のヒアリング結果をふまえ、彼らと日本企業の間になぜ入社後のギャップが生じてしまうのかを考えてみます。LMグループにおいて蓄積した新卒採用の知見、また異文化コミュニケーションに関する知見から、大きく2つの原因が挙げられます。

◆組織の前提の違い
アジアトップ校学生にとって組織のスタンダードは「欧米型のテトリス式組織」であり、「日本型のアメーバ式組織」には馴染みがない状態です。企業とのつながり方、キャリアに対する考え方に大きな違いを生む根源であり、入社前に丁寧にすり合わせておくことが必要不可欠です。


◆採用におけるコミュニケーション不足
グローバル新卒採用では、企業と学生の相互理解を深める機会が、国内新卒採用に比べて圧倒的に不足しています。


赤枠部分が企業と学生との直接のコミュニケーション機会です。国内新卒採用と比較して、グローバル新卒採用のプロセスでは 企業と学生との直接のコミュニケーション機会が圧倒的に少なくなっています。
組織観やキャリア観において大きな違いがあるアジアトップ校学生こそ、採用プロセスにおいて丁寧にコミュニケーションを積み重ね、深い相互理解の末に入社を迎えることが求められるはずです。しかし、現実的には正反対の採用プロセスになってしまっていることが、グローバル新卒採用を成功に導けていない原因と考えます。


2.ギャップの解消に向けて
アジアトップ校学生にとって、前頁で説明した「組織の前提の違い」は大きな問題です。彼らの多くはテトリス式組織を前提に、特定の職務経験を通じて専門性を高めていくキャリアプランを描いています。そのような彼らが、その「違い」を知らずにアメーバ式組織が主流の日本企業に入社すれば、「キャリアプランが描けない」「期待されている役割がわからない」といった不満につながります。
グローバル採用をきっかけとして、テトリス式組織への変更を模索することも一案としては考えられるでしょう。しかしながら、アメーバ式組織は日本企業の経営の根幹に関わるものであり、一朝一夕に変えられるものではないことも事実です。現段階では、アジアトップ校学生にアメーバ式組織への適応力を高めてもらうことが現実的な解となるのではないでしょうか。


◆採用フェーズで求められること
コストの問題はもちろんありますが、可能な限り国内新卒採用と同じレベルのコミュニケーションプロセスを設計したいところです。「組織の前提の違い」を丁寧に伝えるとともに、日本企業だからこその魅力を訴求します。

アメーバ式組織に適用するためのポイントに「全体最適」の発想があります。自社の理念やビジョン、事業内容など「会社への興味」を高めてもらうこと、言い換えれば健全な“就社”意識をもってもらうことが必要と言えるのではないでしょうか。アジアトップ校学生のハイスペックを調達するという意識ではなく、日本企業への共感を促すメッセージを発信するという意識をもって誠実にコミュニケーションを重ねる以外にグローバル新卒採用の成功はないでしょう。


◆育成フェーズで求められること
アジアトップ校新卒自身には、柔軟な役割変更を前提としたアメーバ式組織で求められる「報・連・相」などのスキルは、その必要性の理解とともに習得させることが不可欠です。また、明確な職務記述書がなかったとしても、職場の上司や先輩からの期待を伝える場を設定することで自身の役割理解を促すことは可能でしょう。(評価とは切り離して実施する360°サーベイ研修など)

一方で、受け入れる側の日本人社員には、ローコンテクスト対応の強化が求められます。日本的ハイコンテクストな「よろしく!」では決して通じません。
“十を知ってもらうために十を伝える”コミュニケーションを丁寧に積み重ねることが、アジアトップ校新卒社員との相互理解を促進し、彼らのポテンシャルを最大限に発揮してもらうことにつながるのです。


お互いの違いを知るとともに、違いに対応するためのコミュニケーションを重ねること。グローバル採用の成功は、相互の誠実なコミュニケーションの姿勢が決めると言っても過言ではないのです。

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