ASEANにおける教育サービス貿易の促進は地域の経済成長を活性化させる~日本アセアンセンターが教育サービスに関する報告書を発表~
PR TIMES / 2020年3月26日 19時15分
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国際機関日本アセアンセンター(AJC)が、社会的サービス貿易を促進するために行っている3つの社会的サービスに関するリサーチの1つとして教育サービス[1]がある。
教育サービスの主な経済的課題は、労働市場のスキル要件を満たす人材を育成し、生産性と競争力を高め、その結果、経済成長を促進することであると、AJCの報告書「ASEANにおけるサービス貿易の促進:教育サービス(https://www.asean.or.jp/ja/trade-info/pst2_papers/)」は述べている。
ASEAN諸国は、教育サービス貿易における大方の種類やモードに参加しているが、それは主にサービスの恩恵を受ける輸入側としての参加である。第2モード(海外における消費-サービス提供にかかる4つのモードの1つ)においては、2000年の144,000人に対し、2017年には、全ASEAN諸国から285,000人以上の学生が外国に留学した。第2モードによる高等教育の輸出に関しては、2017年にASEANは約200,000人の留学生を受け入れ、そのほとんどがマレーシア(100,000人)、シンガポール(53,000人)、タイ(32,000人)の3か国に留学していた。これらの輸出は、「海外ブランチ・キャンパス」(International Branch Campus, IBC)の人気と密接に関連している。
量では最も大きいが、価格の面で2番目に大きい貿易フローは、インターナショナルスクールの移転(第3モード―商業的拠点)である。ASEAN域内のインターナショナルスクールの数は、政府が地元の子供のアクセスを徐々に自由化したことに伴う入学者数(2015年の300,000人から2019年の520,000人)とともに、近年飛躍的に増加した。 2019年、ASEANにおけるインターナショナルスクールの授業料収入は50億ドルを超えた。
第4モードによるASEAN貿易である自然人(教授、教師、研究者の一時的な海外派遣)の移動は、主に輸入であって、かつ、商業的拠点(第3モード)の急速な拡大によって、顕著に増えている。 数多くのインターナショナルスクールを有するASEAN 6か国で働く33,000人の外国人教師は、推定8億ドルの年間給与コスト(および第4モードによる輸入)を生み出している。
第1モードによる貿易(距離を伴うサービスの国境を越えたフロー、主に高等学位または証明書を取得するためのオンライン教育)は、当初の兆しとは異なり、まだ軌道に乗っていない。
ASEANの教育にかかる貿易の拡大は、自由化と規制緩和により可能になった。 いわゆるHoekman 指数の値は、ASEANサービス枠組み協定(AFAS)の自由化約束に基づき、第4モードを除いたすべてのASEAN諸国で平均すると0.84(1になると完全自由化)になった。多くの国では、第1モードおよび2の貿易に対して等しく開放的である。他のモードでの貿易にも影響を与える第3モードの輸入は、AFAS内でも最も自由化約束が行われておらず、教育にかかる貿易の自由化の全体的な指標を低下させている。
自由化は海外直接投資を高等教育に引き付けるための必要条件だが、十分条件ではない。外国の高等教育機関(HEIs)の活動に対する明確かつ安定した透明性の高い規制枠組みの確立など、投資リスクを減らし外国投資を誘致する機会を増やすための補完的な措置も必要となる。質の高い外国の大学を選び、誘致して、ホスト国になるには、政府の関与が必要な場合もある。
政府のもう1つの重要な政策課題は、教育サービスにおける貿易の利益を増やし、貿易のリスクを回避または軽減することである。これらは、サービス貿易のモードによって異なる。もし外国にいた卒業生が帰国するなら、第2モードによる輸入で人的資本が増大する。そうでなければ、彼らは海外における熟練労働者になってしまう。政府は、海外における優秀な熟練労働者のメンバーの帰国を促したり、母国と有益な交流をしたりすることを奨励することで、卒業生の帰国を促進し(例えば、外国の学位を認めるなど)、優秀な人材の流出を減らすことができる。外国の高等教育機関の商業的拠点は、地元の学生に対し、母国を離れることなく価値の高い外国の学位を得ることができるというオプションとインセンティブ(低価格)を与えることによって、第2モードの高等教育の輸入を減少させる可能性がある。また、海外ブランチ・キャンパスが国内では履修できない科目に特化した場合、スキル不足を緩和できる可能性もある。
ビザや移民政策などの貿易政策を超えた制約がある場合や、他のモードの実施に制限がある場合、商業的拠点を開放することは貿易を刺激するのに十分ではないかもしれない。海外供給の品質と「学位製造機(degree mills)」の参入に関する懸念は、参入を監視し、品質保証のインフラを整備することにより軽減されるべきであろう。この点において、高等教育における品質の担保と調和を主眼に置いたASEAN品質保証フレームワークの採用が役に立つと思われる。
重要な教育政策の課題は、熟練労働者と雇用者による高度な活動に対し、既存の投資家を維持し、彼らのアップグレードを奨励し、かつ、新たな投資家を呼び込む鍵となる。
[1] 他の2つは、健康関連サービスおよび環境サービスである。前者のリサーチは、すでにAJCによって公開されている(https://www.asean.or.jp/en/trade-info/pst2_papers/)。
<<国際機関日本アセアンセンター>>
正式名称:東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センター
ASEAN10 カ国政府と日本政府により 1981 年に設立。 貿易・投資・観光・人物交流の 4 分野を中心に、ASEAN 商品の輸出促進、日系企業 の進出支援、人材育成、日 ASEAN 間の観光促進等を通して、日本と ASEAN 諸国との 関係促進に貢献する国際機関です。
URL:https://www.asean.or.jp/ja/
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