東京電力福島第一原子力発電所事故から10年。あらためて放射能汚染について考える『フクシマ 土壌汚染の10年――放射性セシウムはどこへ行ったのか』が発売
PR TIMES / 2021年4月22日 12時45分
~『土壌汚染―フクシマの放射性物質のゆくえ』(2013年刊)の続編として、放射能汚染の経過と現状、新たな問題などについて、多くの研究者により行われたその後の現地調査・研究成果をまとめた一冊~
世界最悪レベルの原発事故となった東京電力福島第一原子力発電所事故。発生から10年が経ち、帰還困難区域を除いた地域の除染は道路も含めてすべて終了。帰還困難区域の中に設けられた特定復興再生拠点区域には役所や住宅が整備され、新しい街が形成され始めています。一方、事故で飛散し降った放射性物質(フォールアウト、放射性降下物)による放射能汚染により、未だ福島県内外の4万人弱が避難生活を余儀なくされたままです。事故により最も汚染された地域の大部分は森林を含む農業関連地で、その面積は汚染地域の8割以上を占めます。
このたび、福島で暮らしていた人々を含む多くの人が知りたいと考える放射能汚染の経過と実態ついて、事故直後から研究者たちが現地で継続的に行ってきた調査結果に基づき解説する『フクシマ 土壌汚染の10年――放射性セシウムはどこへ行ったのか』(NHK 出版、2021年4月26日刊)が発売されます。
[画像1: https://prtimes.jp/i/18219/309/resize/d18219-309-935344-0.jpg ]
原発事故がきっかけで、福島の農作物は風評被害にさらされました。そこで、「本当に危ないのか、危ないとしたらどんな作物なのか」という疑問に答えるため、著者の中西友子氏は研究者を大々的に組織し、広範囲にわたって放射性物質を追跡調査してきました。本書では、10年間の調査の積み重ねをもとに、汚染の仕組みを解明した確定報告を行い、類例のない調査結果を信頼できるデータとして示しています。
原発事故発生以降、連日ニュースで取り上げられたベクレル、シーベルト、半減期、セシウム、除染などのワードを覚えている人も多いと思います。本書は、こうしたワードも含め放射性物質とは何かという基礎知識に加え、土壌、農作物、家畜、野生動物、果樹や茶、森林など広範囲に及ぶ放射能汚染の実態と影響を明らかにするために福島で行われたさまざまな調査、研究、実証とその結果をレポートするとともに、新たな問題点を提示します。
福島復興のため、この10年間に行われたさまざまな調査と結果を通し、福島だけの問題ではない我が国で起きた世界最悪レベルの原発事故による放射能汚染の実態と影響について、改めて学ぶための一冊となっています。
■調査例
・半減期が30年と長い放射性セシウム(セシウム137)の影響や挙動を調べるためのコムギの葉や土壌、ウグイスの調査。
・安定同位体セシウム(セシウム133)と放射性セシウムを比較するためのソバの生育調査。
・土壌中の放射性セシウムの動きの検証するため汚染米が報告された水田土壌を用いた実験やホウレンソウのモニタリング、阿武隈川など4河川の比較や土壌の除去方法についての実証。
・作物の放射性セシウムの吸収抑制に効果が高いカリウムの散布によるイネを使った実験。
・気象条件により建物や山林、土壌などから土ぼこりとして降ってくる放射性セシウムの影響を調べるためのコマツナ、大豆を使った検証。
・農地と同じように汚染された畜産現場(牧場)の放射能汚染の処理から持続的牧場経営をめざした研究開発。
・家畜調査として行ったシバヤギ、ウシを用いた実験、家畜が体内から放射性物質を排出できることを示すためのウマを使ったクリーンフィーディング。
その他、福島から遠く離れた神奈川県や静岡県で確認された茶樹の汚染と除染、全国で4番目の広さで県の7割を占める森林汚染の移り変わり、森林汚染に関連し行われた河川や溜め池などの調査など。
【著者】
中西友子 (なかにし・ともこ)
星薬科大学学長、東京大学名誉教授。1978年、東京大学大学院理学系研究科化学専門課程博士課程修了。理学博士。専門は放射線植物生理学で、放射線や放射性同位元素を用いたリアルタイム・イメージングによって植物中の水の動態を解析する世界唯一の研究者。日本ゼオン在籍時にカリフォルニア大学ローレンス・バークレイ国立研究所に留学。2001年から16年まで東京大学教授、19年から現職。猿橋賞、日本放射化学会賞など受賞、フランス国家功労勲章受章。スウェーデンチャルマース工科大学名誉博士。著書に『土壌汚染─フクシマの放射性物質のゆくえ』(NHKブックス)、共編著に3部作のシリーズAgricultural Implications of Fukushima Nuclear Accident, Springer,2012, 2016, 2019など。
■『フクシマ 土壌汚染の10年――放射性セシウムはどこへ行ったのか』構成
はじめに
序章 「放射能」を理解する――汚染をめぐる基礎知識
第一章 土壌の汚染と除染の方法――セシウムはどう固定されるか
第二章 吸収の抑制と排出の仕組み――セシウムはどう取り込まれるか
第三章 果実への蓄積と二次汚染――セシウムは植物内でどう動くか
第四章 森林の汚染から河川への流出へ──セシウムはどう運ばれるか
補論 セシウムボールと放出源
おわりに
あとがき
■商品情報
[画像2: https://prtimes.jp/i/18219/309/resize/d18219-309-935344-0.jpg ]
出版社:NHK出版
発売日:2021年4月26日
定価:1,430円(本体1,300円)
判型:B6判
ページ数:224ページ
ISBN:978-4-14-091268-3
URL:https://honto.jp/netstore/pd-book_30861849.html
https://www.amazon.co.jp/dp/4140912685
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