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アジア人最大規模の「全身性強皮症」全ゲノム関連解析に成功

QLife / 2024年2月14日 13時39分

東アジア人の全身性強皮症GWASは過去に2つしかなく、規模も小さかった

 理化学研究所(理研)を中心とする研究グループは2024年1月31日、難治性全身性自己免疫疾患の全身性強皮症(SSc)におけるアジア人最大規模の全ゲノム関連解析(GWAS)を行い、新規疾患関連一塩基多型(SNP)を同定し、病態形成における機能を解明したと発表しました。

 SScは発症に複数の遺伝因子と環境因子の相互作用が関与する複合性疾患と考えられており、関節リウマチ・高血圧・糖尿病などもこれに含まれます。複合性疾患における遺伝因子の同定には、未知の遺伝因子を含めた網羅的解析「GWAS」が有用です。SScにおいても欧州人を中心としたGWASは、疾患リスク遺伝子の同定と病態解明に貢献してきました。

 一方、欧州人とは遺伝的背景の異なる東アジア人におけるSScのGWASは過去に2つしかなく、欧州人GWASと比較して規模が小さく統計学的検出力に限界があったことから、東アジア人SScの遺伝的背景の解明は十分に進んでいませんでした。

日本の患者1,428人の末梢血由来DNAを用いて全ゲノムの遺伝子型を決定

 研究グループは今回、厚生労働省研究班を中心に全国の多施設で参加を募った患者さん1,428人から同意の上で提供された末梢血由来のDNAを使用してマイクロアレイによる遺伝子型タイピングを実施し、全ゲノムの遺伝子型を決定することに成功しました。

 今回、約3,000人の日本人全ゲノムシークエンス(WGS)サンプルを含む参照パネルを用いて解析したため、正確な推定に基づいた遺伝子型の決定に成功したということです。さらに、SScに関連する臨床情報として、血中の自己抗体・臨床亜型・間質性肺炎をはじめとする合併症の有無などの情報も同意の上で提供されました。

6つの疾患関連SNPの同定に成功、B細胞を標的とした薬剤の有効性も確認

 解析の結果、3つの新規疾患関連SNPを含む6つの疾患関連SNPの同定に成功しました。遺伝子上に存在する一塩基の違いをSNPと呼びます。SNPは身長などの形質や、さまざまな疾患と関連を示すことが知られています。同定されたSNPは、いずれも免疫学的に重要な領域や、疾患の男女差を説明し得る領域など、SScの病態形成において重要な領域にありました。

 さらに、同定したSNPを詳しく調べた結果、リツキシマブやトシリズマブなど「B細胞」を標的とした薬剤がSScに有効であることを遺伝的に説明できる知見も得られたとしています。

強皮症の「発症・治療反応性・疾患経過予測」などへの応用に期待

 今回の研究により、日本人をはじめとする東アジア人強皮症における疾患関連SNPが同定されました。これは今後の強皮症研究につながる発見と言えます。

 研究グループは「今後のGWASの発展と、より改善されたSNPの選定により、疾患発症予測のみならず罹患臓器や治療反応性、疾患経過の予測といった実臨床に有用なポリジェニックリスクスコア(疾患の発症や抗体が陽性などリスクの大きさの指標)の構築も期待される」と、述べています。(QLife編集部)

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