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強竜が2強の下馬評を覆す? 中日が波乱を起こすこれだけの理由。不安要素は…

REAL SPORTS / 2021年3月24日 12時0分

7年連続Bクラスから一転、今季、中日ドラゴンズは2年連続のAクラス入りを目指す。大野雄大と福谷浩司が健在の先発陣。中継ぎ陣の顔ぶれはリーグ随一。12球団でも屈指の守備力を誇る内野陣。待望の打てる捕手として期待される木下拓哉の存在。今季もドラゴンズに期待できる要素は尽きない。では優勝争いに食い込むために求められるポイントとは?

(文=栗田シメイ、写真=Getty Images)

8年ぶりのAクラス入りを果たした昨季のドラゴンズ

開幕前の低評価を覆し、実に8年ぶりのAクラス入りを果たした昨季の中日ドラゴンズ。

得点数、出塁率、OPS(打撃指標)でリーグ最下位、本塁打に至っては5位の阪神、広島に40本の差をつけられたわずか70本という数字ながら、投手力で勝ち取った3位となった。

特にエース大野雄大が神がかり的な投球で10完投を記録し、右のエース格となった福谷浩司も先発で再ブレイクを果たした。7回からは祖父江大輔、福敬登、ライデル・マルティネスの勝ちパターン3枚が鉄壁のリレーで白星を拾っていった。昨季の開幕前とは変わり、解説者の順位予想でも中日を上位に押す声が多いのもこの「大、福、マル」の存在が大きい。

今季はオーナーからも優勝発言が飛び出すなど、勝負の一年となる。正直、大型補強の読売ジャイアンツ、大物ルーキーの佐藤輝明に超強力外国人がそろった阪神タイガースの戦力が、他球団に比べ一枚も二枚も上だというのが妥当な見方かもしれない。ただ、長年の竜党である筆者としては昨年も同様のコラムを記したように、ドラゴンズに期待できる要素を探っていきたい。

上位争いのポイントを左右する外野陣の出来

まずは野手陣。ストーブリーグでの補強はかなり消極的だった。ポイントゲッターだったソイロ・アルモンテという実績ある外国人助っ人の退団は、得点力の意味でかなりマイナスだろう。離脱も多かったアルモンテだが、チームの好調時はアルモンテがスターティングオーダーにいた時と重なった。相手投手陣へ与える圧力、主砲ダヤン・ビシエドのマークを軽減する意味でも、アルモンテの存在は大きかった。アルモンテの穴を埋めるのは苦労しそうだ。

変わりに加入したマイク・ガーバー外野手はコンタクト力の面などで未知数だが、層が薄い外野手の事情を考えると出てきてもらわないと困る人材だ。

他の新規加入の顔ぶれをみても福留孝介、山下斐紹(育成)、ルーク・ワカマツ(育成)とファン補正をかけても戦力面では現状維持、もしくは少しダウンという見方が妥当だろう。

全体でみると昨季から続き、長打力不足は否めないことが予測される。仮に20本を期待できる大砲を1人でも補強できていれば、上位と肉薄できる可能性は高まったはずだ。タラレバは開幕前の毎年恒例になりつつあるが、主力に油がのっている今年に関しては、フロント陣にはFAや外国人獲得で気概を見せてほしかった、とも思う。

そうなれば戦力の底上げには自ずと若手からの突き上げが必須となる。上位争いのポイントを挙げるなら、この点に尽きるといっても大袈裟ではない。首脳陣からの期待も大きい3年目の飛躍を誓う根尾昂、天才肌の岡林勇希、大砲候補の石垣雅海、昨季ルーキーながらに大器の片鱗を見せた石川昂弥、俊足・巧打が売りの滝野要。このあたりから一人でもレギュラー争いに加わるようなことがあれば面白い。合流時期が読めないガーバーの動向も考慮すれば、序盤にニューフェイスがどれだけ試合に絡むことができるか。特に根尾はキャンプからオープン戦にかけて飛躍のキッカケをつかみそうなだけに期待が高まる。

外野陣はセンターの大島洋平を除けば、絶対的なレギュラーが不在なだけに両翼にフレッシュな若手が絡んでくればチーム内の競争も活性化するはずだ。

守備力では12球団でも屈指のメンツの内野陣

内野陣はダヤン・ビシエド、阿部寿樹、京田陽太、高橋周平がレギュラーに座ることが予測され、ディフェンス面だけみれば12球団でも屈指の布陣といえるだろう。特に京田、高橋に関しては既にリーグトップクラスの守備力を誇り、三遊間は強みとなっている。

長打不足に泣いた昨季を考えれば、高橋と京田の打力が順位に大きく影響する。3割打者となりチームの顔となった高橋だが、昨季の本塁打は7本。ポテンシャルを考えれば、もう少し長打も期待したいというのもファン心理だろう。

今季は本塁打への意識を変えるとコメントを出しているが、高橋が20本塁打以上を記録するようなことがあれば、打線の怖さは全く違ってくる。現状では2番、下位を任される可能性が高い京田も、課題の出塁率、早いカウントから簡単に凡退するようなシーンを減らしたい。昨季.298と規定到達者で最下位だった京田の出塁率が.340付近まで上がれば優勝争いも現実的なところにくるのではないか。

名捕手が愛を持って厳しく指導した木下拓哉の覚醒

打者の中でキーマンを2人挙げたい。1人は長年の正捕手不在問題を一気に解決するインパクトを残した木下拓哉だ。

昨季ナゴヤ球場で取材を行った際、伊東勤ヘッドコーチ、中村武志バッテリーコーチの名捕手がかなり厳しく木下に指導している姿が印象的だった。入団時から能力は評価されていたが、ついにその期待に応える活躍をみせた。リード面でも大きな成長をみせ、盗塁阻止率では12球団1位を記録。球界随一との呼び声も高いフレーミング技術でも投手を助ける。

ドラゴンズには珍しくチャンスに強い打者でもあり、本塁打も期待できるのも木下の魅力だ。木下が下位打線に座ることで得点の匂いは異なった。待望の打てる捕手として、シーズンを完走してほしい。

あとは打線のジョーカーとしてアリエル・マルチネスにも期待したい。本職は捕手だが、ビシエド離脱時には一塁も務めた。アリエルは豪快なフルスイングが売りで、通年で出場すれば20本塁打すら期待できる選手とみている。守備位置の関係で使い所が難しいが、レギュラー陣の顔ぶれをみればレフトとしても使いたくなる。それほど打撃でのスケールも大きく、チャンスにも強い。何より長打力不足を解消できる存在でもある。編成面でのアリエルの起用法は大きなポイントとなりそうだ。

若手投手の抜擢やリリーフの整備は与田剛監督の最大の功績

強みである投手陣に関しては大きな不安はない。オープン戦では先発陣の炎上も目立ったが、シーズンは別物とみている。

先発ローテは、大野、福谷、柳裕也が中心となる。そこに左のエース候補の小笠原慎之介、ブレイク候補の清水達也、特大のポテンシャルを誇るジャリエル・ロドリゲスに、ケガ明けの梅津晃大、勝野昌慶ら期待の若手に、松葉貴大、笠原祥太郎の両左腕が控える形となる。シーズンを通して投げぬいた投手が大野と柳しかいない点は不安が残るが、枚数は多いだけに、豊富な先発候補の調子を見ながらの運用になっていくだろう。

中でも小笠原と梅津には2桁勝利を目指してほしい。両者ともに十分そのポテンシャルは持っているはずだが、ケガや調整不足の関係で大ブレイクを果たせていない。

セ・リーグでは数少ない本格派として2人がローテを守れば年齢層のバランスも良くなる。小笠原は2019年の後半戦に見せたストレートの力が戻っており、今季にかける強い思いを感じさせる。昨季は梅津も登板は少ないながらも強いインパクトを残す熱投をみせ、怖いのはケガの再発くらいだ。2人のエース候補を含め、150キロ近い速球派の投手が先発陣にも複数出てくるとは数年前では考えられなかった。若手の抜擢やリリーフの整備は与田剛監督の最大の功績といえる。

中継ぎ陣の顔ぶれはリーグ随一。欲をいえば…

中継ぎ陣の顔ぶれもリーグ随一と評価してもいい。昨季大車輪の活躍を見せた福が出遅れ気味なのは少々気がかりだが、新外国人のランディ・ロサリオ、岡田俊哉、又吉克樹ら実力派が控えるだけに不安要素は少ない。セットアッパーには最多ホールドの祖父江、クローザーには160キロ右腕のライデル・マルティネスが控え、9回は盤石。左腕不足が懸念点ではあるが新外国人のロサリオに、木下雄介(※編注ケガで離脱)、フォームを変えて復活をかける鈴木博志ら控え層は厚い。

あえて欲をいえば、昨季からの+アルファが一枚欲しい。2年目の岡野祐一郎、橋本侑樹、ドラ2のルーキー・森博人あたりが出てくれば、勝ちパターンの負担も減る。

オープン戦の順位は9位と奮わなかったが、あくまでオープン戦。そこまで気にする必要はないとみている。昨季後半は34勝でリーグトップの成績をあげたことを考えれば、序盤でつまずく悪癖さえ回避できれば優勝争いに加わっても不思議はない。外国人助っ人の合流時期が読めない球団が多いなか、キューバ勢にビシエドという主力級が既に来日していることも強みとなる。

繰り返しになるが、若手の台頭なくして大きな上積みはない。仮に出てきても通年での活躍は計算ができないゆえに、トレードを含めたシーズン途中の戦力補強といった柔軟な対応をフロントには求めたいところだ。

節目の85周年を迎えるドラゴンズ。“2強”の下馬評を覆し、波乱を引き起こすことを期待したい。

<了>






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