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中国経済浮揚を目指す中国政府の切り札とは?

Record China / 2024年4月2日 16時30分

今回の全人代報告の消費関連政策で目を引いたのは下取り促進策だ。中国の個人消費の喚起というと、飲食や観光消費がクローズアップされるが、自動車や耐久消費財などの大型消費の喚起も重要だ。計画報告では「自動車や内装などの耐久財消費を安定させ、現地の実情に即して自動車取得制限政策を改善する」と大型消費の振興の必要性を説くとともに、「自動車や家電など従来の消費財の下取りを奨励し、耐久消費財の下取りを推し進める」とし、消費者が保有する耐久消費財を下取りすることで、新しいものに買い替えやすくするムードを作り上げようとしている。

6日に新華社が配信した「質の高い発展に焦点を当て経済の反転・上向き基調を固め強める 5部門の主要責任者が中国経済のホットな問題に答える」と題した記事は、消費喚起政策にも触れ、「あくまで市場を主とし、政策の支援と誘導を通じて、各方面の積極性を十分に引き出し、『古いものを捨てやすく、新しいものに買い替えたくなる』という有効な仕組みを形成する」という中国商務部幹部の話を引用した。

筆者が中国で留学生活を始めたばかりの2000年代初めは、電気製品などが壊れたら修理する人が多かった。筆者が日本で買った腕時計が止まったとき、中国人学生から学内の修理屋に行くといいとアドバイスされ、修理したことを覚えている。その後、徐々に「直すよりも買った方がいい」という考え方が出てきたためか、以前は街の至る所にいた修理屋も姿を消していった。今回の下取り・買い替え措置は「直すよりも買う」という動きに拍車をかけるものとなるだろう。

国務院の「大規模な設備更新と消費財買い替え・下取り推進行動プラン」が13日に発表されたが、新華社はこのプランの意義について、「大規模な設備更新と消費財買い替え・下取りを後押しすれば、先進的生産能力の割合の持続的引き上げを図って、質の高い耐久消費財をもっと多く住民の生活の中に普及させることができ、消費の促進、投資のけん引もできれば、先進的生産能力の増加、生産性の向上も図れ、さらに省エネ・炭素低減の促進、隠れた危険の軽減も図れる。企業を潤し、住民も利し、一挙両得といえる」と報じた。つまり、消費財の買い替えは「供給側」と「需要側」を刺激するのに役立つということだ。

周知のように、中国は2016年ごろから「供給側構造改革」を掲げ、生産能力の新旧交代を推し進めた。これは、企業が新たな設備投資を行うことによって、より質の高い製品を生み出すことを狙ったものだ。今回の全人代では、「新たな質の生産力」という概念が中国の公式メディアに登場したが、それは質の高い製品を生み出すための、環境に配慮した設備の導入を企業に促すものだ。その根底には消費者のニーズの高度化がある。13日に発表された「プラン」は、人々の買い替え需要の喚起を狙ったものだ。

このプランの消費活性化策は「人々のニーズの高度化→古い設備の更新→新たな設備投資→高度な製品への買い替え→消費の活性化」の図式になる。

以上、今回の全人代の文書で示された消費振興策について述べたが、それは市場を活性化させ、人々の多様化した、個別化したニーズを喚起するための「市場の手」だ。中国政府は金利を下げるなど金融面での緩和策を取り、企業の設備投資や人々の大型消費の活性化を図っている。

政府の「市場の手」の効果によって中国の景気が本格的に回復するか、企業の経済活動のパフォーマンスや政府の今後の対策を見る必要がある。

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