ZIGGY、ツアーファイナルで魅せつけた独自の進化と自信
Rolling Stone Japan / 2021年5月27日 17時0分
2021年5月22日(土)大手町三井ホールでZIGGY のワンマン・ライブ"ZIGGY TOUR2021「SDR」"が行われ、最新アルバム『SDR』の曲を中心に全21曲を披露した。
2017年のデビュー30周年を機に再始動してから精力的な活動を続けるZIGGY。4月21日(水)にリリースされた通算18作目のニューアルバム『SDR』を引っ提げて4月からスタートしたツアーは、緊急事態宣言発令を受け金沢、大阪公演が延期となってしまったものの、この日でファイナルを迎えることとなった。ここ大手町三井ホールでのライブは今年1月3日に行われた新春LIVE以来となる。
開演直前のBGMには、The Rolling Stones 「Sympathy for the Devil」「You Cant Always Get What you Want」等が流れて、これから始まるライブがどんな雰囲気なのかを示唆していた。定刻の18時に暗転してThe Quireboys「7 OClock」が爆音で流れ出すと、メンバーがステージに上がる。ツアーメンバーは、カトウタロウ(Gt)、Toshi(Ba)、CHARGEEEEEE...(Dr)、佐藤達哉(Key)という、『SDR』レコーディングに携わったミュージシャンたち。CHARGEEEEEE...が金髪を振り乱しながらタムをドカドカ回して、バンドがセッションを開始。『SDR』同様にインストナンバー「CHAOS70」がオープニングを飾った。しばらくするとド派手な羽付きのナポレオンハットを被ったヴォーカル・森重樹一が登場。「東京ー!」と叫んで、「SWING, DRIVE, ROCKNROLL」でライブがスタートした。
アルバムタイトル『SDR』はこの曲「SWING, DRIVE, ROCKNROLL」を3文字に略したもの。森重が憂歌団の内田勘太郎と会った際に言われた、「ロックやブルースは、スウィングしてドライヴするところが、ポップ・ミュージックと違うところ」との言葉に感化されたことをきっかけに生まれたという。SWING、DRIVEしながらも、〈命短し恋せよ乙女〉とキャッチーなサビのメロディを繰り出してくるところに、長年支持されてきたZIGGY流ロックンロールの神髄が感じられる。総立ちとなった観客は合唱できないものの、ステージに向けて拳を上げて盛り上がっている。続いて飛び出したのは、1stシングル「IM GETTIN BLUE」。〈どしゃぶりの雨が 通り過ぎる頃には〉と歌うフックは、梅雨の季節も相まってより感情移入しやすい気がした。間奏明けの落ちサビでカトウのギターが刻む8ビートに、Toshiのベースがうねりながら絡みつく。観客の手拍子に包まれる中、情感を込めた森重の歌声がバンドと1つになって最後のサビへと突入する。どこまでも広がっていくサウンドスケープと会場の一体感が感動的で、演奏が終わっても拍手が鳴りやまず。序盤のハイライトシーンとなった。
森重樹一
「ついにファイナル!よく集まってくれたね!この緊急事態宣言の中、みんなありがとう。せっかく来てくれたからには思いっきり楽しもうぜ!」との森重のMCから、どっしりとしたヘヴィなサウンドで始まった「この夜の向こうに」。神経を逆撫でするような高音のアヴァンギャルドなギターソロが会場をカオスへと誘う。「傷痕」では、荒れ狂うバンドの演奏の中、ステージを縦横無尽に動き回りアクションを決めながら歌う森重。そのアグレッシブなステージングと歌唱力は驚異的だ。豪快なサウンドでスケールの大きさを感じさせた「鉛の空の下でも」、佐藤のピアノがポップな味付けをしていたロックンロール「Let the good time roll」、カトウのギターが先導する「ROCKNROLL QUEEN」と、『SDR』収録曲を連発。充実したアルバム曲が、息のあったバンドの演奏と歌で大きなホールのステージに映えている。
「今日、リハーサルをやったときに、つくづく次の曲は日比谷野音でやりたいなあ、と思いました。本当に日比谷野音、大好きなんですよ。東京の中でも最高にオープンでハッピーな会場だと思います。今のZIGGYでやったらきっとすごく素敵なライブになると思う。それができるように、とにかく一日も早くこの状況が収束してくれることを祈ります」との言葉から、レゲエ調の「もっと好きにやるよ」が歌われた。ここまでのサウンドから一変した横ノリの演奏が心地よく、しゃがれた歌い回しもじつに曲とマッチしていた。〈もっと好きなようにやれよ〉、と客席に呼びかける森重もじつに気分が良さそうだ。リラックスした曲ながら、しっかりとメッセージもあるこの曲は、たしかに野音の夕暮れ時に聴いたら最高に気持ち良いだろうな、と思った。
「自分たちの中でレパートリーが育っていく感じをみんなと一緒に体験できるのがすごく嬉しい。『SDR』はそれだけとても豊かな素敵なアルバムになったと思います。是非、(ツアーの)シーズン2をやりたい。もっともっと自由に、みんなと共有できるように、歌はどんどん変わって行くし、歌詞もどんどん変わって行って欲しい。10年前の歌詞がずっと同じままで歌われるというのは、なんとなく俺にとっては嘘くさい、演出っぽい、つくりものっぽい。そういうのは嫌だ。できたら音楽は自由にのびのびと、みんなと一緒に、みんなの中で育ててもらえたらすごく嬉しい」。歌い終わった後のMCから、現在進行形のZIGGYを楽しんで欲しいという今の森重の心境が伺えた。
ライブ後半、激しいシャッフルビートに乗せた「錆びた扉を」では、日本的な暗い情念を歌い上げて、ちょっと異質な空間を作り上げた。そうかと思えば次の「BOOGIE WOOGIE TRAIN」では、文字通りブギーサウンドでブルースハープとギターの掛け合いを見せ、「EASTSIDE WESTSIDE」では高速パンクチューンで煽る。さらにキャッチーなギターリフから「WISKY,R&R AND WOMEN」で怒涛のグルーヴを炸裂させて会場を巻き込んでいく。唯一無二のロックンロールバンド、ZIGGYの本領発揮だ。
改めてのメンバー紹介から、「もっともっと、みんなで良い音楽を作りましょう。そしてもっともっとたくさんの人にZIGGYの音楽を聴いてもらえるよう頑張ります! それまでみんな元気でいてください!」と語りかける森重。30年以上のキャリアを誇りながら、まだまだ衰えることのない音楽へのパッションを感じさせる言葉に、会場中から割れんばかりの拍手が贈られた。
ルーズなロックンロール「月が昇る頃には」では、客席で手拍子しながらマスクの中で口ずさんでいるようなファンの姿も見られた。激しいリズムとハードロックテイストでドライヴする「I STAY FREE FOREVER」、「ROCK AND ROLL FREEDOM!」を立て続けに歌い、音楽に自由を求め続けるロックンローラーとしてのアティチュードを示して、上半身裸になっての熱演で本編を締めくくった。
アンコールでは、再びオープニングのナポレオンハットをかぶって登場した……かと思いきや、なんと今日ファンから届いたプレゼントだという。まったく同じビジュアルで、客席からもどよめきが。「この帽子をかぶって次の曲を歌うと、ピンとくるから(笑)」との言葉から、「⾺⿅につける薬はどこに」へ。ピアノの残響音から始まった趣向を凝らしたカラフルな音像で、夢の国で聴いているような、想像力を掻き立てるユニークさがあった。『SDR』の最後を飾るドラマティックな「パラドクスの庭で」に続き、ラストナンバーとなったのは代表曲の1つ「DONT STOP BELIEVING」。イントロでピアノがスローに旋律を弾いてから始まるアレンジが、より一層メロディの良さを際立たせていて、ツアーファイナルに相応しい爽快感のあるクロージングナンバーとなった。
エンディングは、森重によるカウントから、全員で「ZIGGY最強ー!!」と声を合わせ(観客は心の中で)拳を突き上げて、ツアーファイナルは大団円となった。終わってみれば、ニューアルバムから全曲が披露されていた。セットリストからもライブ中のMCからも、”今のZIGGYが最高で最強”という自信と、尽きせぬロックンロールへの情熱が感じられた一夜だった。
<公演情報>
"ZIGGY TOUR2021「SDR」"
2021年5月22日(土)大手町三井ホール
=セットリスト=
1. CHAOS70
2. SWING, DRIVE, ROCKNROLL
3. IM GETTIN BLUE
4. この夜の向こうに
5. 傷痕
6. 鉛の空の下でも
7. Let the good time roll
8. ROCKNROLL QUEEN
9. もっと好きにやるよ
10. 数え切れないTenderness
11. 抱きしめていよう
12. 錆びた扉を
13. BOOGIE WOOGIE TRAIN
14. EASTSIDE WESTSIDE
15. WISKY,R&R AND WOMEN
16. 月が昇る頃には
17. I STAY FREE FOREVER
18. ROCK AND ROLL FREEDOM!
アンコール
EN1. 馬鹿につける薬はどこに
EN2. パラドクスの庭で
EN3. DONT STOP BELIEVING
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