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中学受験から医学部へ、長い道のりの裏側 学力はあっても怠惰な性格は治らない 桜井信一の攻める中学受験

産経ニュース / 2024年5月4日 10時0分

中学受験の目的は様々です。その中に「先々医学部に入学させるために中学受験をする」という家庭があります。実際、都会の医師家庭の子どもたちは中学受験組が多いでしょう。

また、親が歯学部や薬学部を出たというケースも子どもに医学部を勧めるケースが多いと聞きます。私の周りにも医歯薬の子は医学部というケースが複数実在します。

特に親が開業医の場合、その設備投資を自分の代で終わらせるのはもったいないという理由で、いつか子どもに跡を継がせたいという願いはあるでしょう。よく聞く話です。

もちろん逆もあります。有名人を例にすると、なんと井上陽水さんの親は医師、中島みゆきさんもMISIAさんもTRFのSAMさんもGLAYのHISASHIさんも平松愛理さんもAKB48の岡田奈々さんも親は医師です。でもこれは特殊すぎます。今回は、医歯薬の子は医学部というケースで話を進めていきます。

まず、親が医歯薬だからといって子どもが優秀とは限りません。いや、私が知る範囲ではほぼ優秀なのですが、例外的にお母様が奮闘しているケースがあるのです。「あなたが医学部に合格してくれないと義母さんがわたしのせいにするんだからっ!」とプレッシャーをかけてくるのです。

祖母の考えはこうでしょう。「息子は頭がいいんだから、孫ができないのは嫁の責任、けしからん」とばかりに無言の圧力をかけてくるのです。

お金はたんまりあるのです。子どもに学力がないだけ。本音は大学の裏に勝手口はないかしらなんて思っているかもしれませんが、恥ずかしくてそんなことを周りに聞けません。だから嫁が走り回るのです。有名な英語や数学の先生を探しては、面談に走るのです。

しかし、現役の段階ではまだ甘さがある場合が多い。せっかく中学受験して進学校に入ったのだから、私立の強みを活かして指定校推薦を取りに行かないといけない。最低でも推薦入試やAO入試で決めないといけない。どうしても医学部に入れないといけないのですから、ここで放り込んでおかないといけないのです。

私は強く言いたい。子どもを医学部に入れるために中学受験した場合で、旧帝大の医学部は明らかに厳しいという場合は、早い段階で推薦を調べ、何がなんでも現役で私立医に合格させなければいけません。

ところが、親は国公立大だからという理由で「地方の国公立でも」と頭によぎってしまう。ここが間違いの始まり。長引く予感。案の定、現役は箸にも棒にもかからず。

そもそも、地方の国公立大の医学部は全然入りやすくない。難しいことに何ら変わりはないのです。

心機一転浪人生活になり、駿台か河合かと迷います。医学部といえばやっぱり駿台市ヶ谷か? いや待てよ、雰囲気を考えるとうちの子は河合向きか?こういう思考になるのです。またもや長引く予感。

どうしても医学部に入れないといけないんでしょっ!英語も数学も偏差値60でしょ!物理も化学も苦手でしょ!そもそも怠惰でしょ!

ここで『医学部専門予備校』という選択は頭のどこかになかったのでしょうか。

普通はない。だって、4月から12月までの学費が最低でも600万円。高いところだと800万円。夏期講習で個別指導を補強する可能性もあるし、お正月からの直前講習で個別指導を受けて添削してもらう可能性も大。他に交通費に昼食代と夕食代。1千万円でお釣りと考える方が気が楽か?という金銭感覚は普通は選択肢にない。

さらに、医学部専門予備校はボンボンの行くところというイメージがある。椅子は社長が座るような革製か?というイメージ。もうこれ、ダメ息子じゃんと思ってしまうのです。駅から医学部専門予備校への道は「親富孝通り」という誤解があるのです。

これが最後の手段にしてしまう理由。本来は最初に持ってこないといけないお金持ちたちの力技なのに、早ければ一浪、よくあるのが二浪三浪あたりで医学部専門予備校に辿り着くのです。

医学部に受からないのは何が原因か。本当に頭が悪いのか?そんなことはないと思うのです。幸せすぎるために学力の邪魔になるほど怠惰な性格。これを親が直せない。このまま駿台だ河合だと言っても受かるはずがない。

この怠惰な性格のなかに、わずかでも真面目さとやる気が残っているうちに医学部専門予備校に放り込まないといけないのです。そうすれば道が開ける。医学部専門予備校には怠惰な性格を直す専門家がいるのです。医学部専門予備校の武器と大きな落とし穴。

長くなりましたのでそこはまた次週。

筆者紹介

桜井信一(さくらい・しんいち) 昭和43年生まれ。中卒の両親のもとで育ち、自らも中卒になる。進学塾では娘の下剋上は難しいと判断、一念発起して小5の勉強からやり直し、娘のために「親塾」を決意。最難関中学を二人三脚で目指した結果、自身も劇的に算数や国語ができるようになる。現在は中学受験ブログ「父娘の記念受験」を主宰、有料オンライン講義「下剋上受験塾」を配信中。著書に、テレビドラマ化されたベストセラー『下剋上受験』をはじめ、『桜井さん、うちの子受かりますか』、馬淵教室と共著の『下剋上算数』『下剋上算数難関編』などがある。

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