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〝ビッグ発言〟大騒動の中、ジャニーズ退所 何らかの力か、スマスマ出演は話にもならず… 話の肖像画 歌手・田原俊彦<23>

産経ニュース / 2024年4月24日 10時0分

緊張の面持ちで記者会見に臨んだ=平成6年2月

《平成6年の記者会見で、妻との結婚・出産などプライベートなことに関し、「何事も隠密にやりたかったけど、僕ぐらいビッグになっちゃうと」と発言。するとメディアが一斉に〝ビッグ発言〟と報じ、「思い上がっている」などと批判、激しいバッシングを受ける》

これに至る布石があるんです。結婚前の半年間、約30人の報道陣に毎日、自宅周辺を張り込まれました。あまりにひどいので憤り、マンション屋上から水を掛けたり、生卵を投げたりしたんです。ロケット花火を向けたことも…。まるでマンガだけど、それほど憤慨していた。芸能人の生活をのぞくことが日本人は好きなんでしょうか?

そもそも結婚なんて、メディアで発表するものではないし、結婚披露宴も見せるものではない、と僕は思った。もちろん、結婚発表をする方もいらっしゃるし、あの当時はやらなければいけないという時代でしたね。

今なら、ファクス一枚で「結婚しました。2人で力を合わせます。ご指導、ご鞭撻(べんたつ)をよろしくお願いします」ですみますが…。あの時代はそうでなく、記者発表しろ、みたいな空気がありましたね。

僕がひどいと思ったのは、嫁さんが妊娠しているのに、記者に囲まれ、追い掛けられたことです。彼女が転んで流産でもしたら一体、どうするつもりなのか、と怒りが湧いてきました。

彼らは夜、うちの隣のマンションにも勝手に入り、こちらを撮影した。カメラに赤いランプがつくから、すぐ分かるんです。

僕たちとしては、メディアに囲まれて生活にならない。病院や近隣の方にも迷惑がかかる。だから、「表に一回出ないと駄目だな」と思い、記者会見をしたわけです。

《田原さんにとって、真摯(しんし)にメディアに向き合った1時間の記者会見、のはずだった…》

僕の〝ビッグ〟という言葉が切り取られ、大きく報じられました。執拗(しつよう)なメディアに「ノー、ノー」と言い続け、記者発表をしなかったせいか、見事に手のひらを返された形。うまいことやられましたね。「さっ、ほら、やっつけろ!」って。

僕はその後、引けばよかったけど、引きたくなかった。言うことを聞かない自分がいたんです。でも大騒動になってしまって…。

《ジャニーズ事務所(現SMILE―UP.)を退所したのはその年だ》

〝ビッグ発言〟とは関係ないですよ。辞めさせてもらったのは、そのころから「もうそろそろだな」という気持ちが僕の中であったから。自分の人生、自分の足で歩いていくのも面白いんじゃないかと思ったんです。

ショーなどの仕事は実際、僕自身がやるかどうか決めていたので、マネジャーや、事務所社長のジャニー喜多川さんがどうのこうのじゃなかった。彼はどんどん若い子たちを育てるのが仕事のプロデューサーですし。

ふたを開けて分かったことは、退所でジャニーズのタレントと共演がなくなったということです。面白いよね。何らかの力が働いたんでしょう。でなきゃ、おかしいじゃないですか。今でいう忖度(そんたく)。まさか、そんなことはしないと思ったけど…。

バラエティー番組「SMAP×SMAP」に出演の打診をしたら、話にもならなかったもんね。あれは面白かった。僕がジャニーズを辞めたから駄目なのであって、他のタレントさんなら普通に出るわけじゃないですか。10~15年で諦めましたよ。そういうことなんだ、って。

ジャニーズ事務所がなくなり、状況が緩むんじゃないですか。時代も変わり、テレビが今、一番偉いわけじゃない。これだけSNSが普及し、いろんな人たちが意見を言い、いろんな志向の人たちが生きていけるようにもなった。ある意味、フラット(平等)な世の中になってきたと思います。(聞き手 黒沢潤)

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